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長い夢  作者: ペンネーム
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第1話

広田 寿裕 ひろた としひろ(男)

自称学園進学高校3年 医進コース所属

人見知りな性格であるが、プライベートスペースに入った人には饒舌になる。

他人に興味がなく、人間関係の構築が苦手で、ほとんどが受動的で来るものは拒まず去る者は追わずを信条に生きてきた。

補足情報として、男子なのに男女問わず可愛いと言われている。時々ふざけて男子から女子扱いを受けることもある。


梶並 穂乃香 かじなみ ほのか (女)

自称学園進学高校3年 医進コース所属

人見知りはあまりしない用に見える。自分の意見はしっかりと持っている気が強いタイプの女性。

面接のような場所では模範となるような言動ができるが、自分という人間をアピールできていないと言われる。

補足情報として、かなりの美人で可愛いのでモテているらしい。


倉貫 理咲 くらぬき りさ(女)広田と同じ医進コースで2年間隣の席に座っている。


岩満 卓己(男):高3になってから医進コースに所属して新たに友人になった。


P:梶並の幼馴染、幼稚園の頃から梶並のことが好きなようだ


H:梶並の友人。高3から医進コースに入ってきた。


W:広田の友人。医進コースには入っていないが、よく広田と昼食を食べる仲だ。


S:倉貫の友人。


宇崎:フィギュアスケートの選手。多分今回しか出ない。


高校1年の冬に文理分けがあって僕は理系を選択した。普通の理系ではなくて理系の中でも特別な医進コースに所属することにした。医進コースはそのクラスに所属する人全員が医学部への進学を目指すというクラスだ。


両親は共に医師だったから僕も自然と医師になるのかという受動的な考えで医学部を目指していた。クラスメイトの中には立派な意思を持って医師を目指す人がいたが、少数派だった。少数派といっても僕が覚えている限り一人だったような気がする。その人はTさんっていうんだけど、母が難病に罹っているからその難病の治療法を見つけたいと言っていた。正直そのような理由で医師を目指す人がこんな近くにいるとは思わなかったから素直に尊敬した。


所属する高校は一学年360人規模だったので、その中から医学部を目指したいという人は学年で30人くらいはいた。もちろんそれだけたくさんいるから知らない人がほとんどだ。そんななかで自称進学校である我が高校は高校2年の初夏に修学旅行のようなものに行く。行先はイギリスだ。表向きの目的は英語でプレゼンをしに行くことだ。プレゼンはおまけみたいのもので、観光ができるから修学旅行みたいなものということだ。しかもクラスの人と一緒の班ではないのだ。ほかの人は仲が良い人と一緒になれたようだが僕はそうはならなかった。特別仲が良いわけでもなく悪いわけでもなく、昔同じ部活に至って言う程度の距離の人たちと、あとは知らない女子で構成されている班だった。修学旅行もどきではとくに思い出になるようなことはなかったが、友達が2人できた。


一人は石坂るりという女の子だ。別の班だったが仲が良い友達が居て、その友達を経由して話すようになった。笑顔が可愛いマスコットみたいな女の子で、コミュ力が非常に高い。正直話せる気はしなかったけど、意外と話せて仲良くなれた。


もう一人は坂中 大樹という男子だ。この人はクラスメイトのとある男子に似ているとか言って向こうから話しかけてくれた。自分では似ているかどうかはわからないけど、それがきっかけで仲が良い友達ができてよかったと思う。


修学旅行といえば外せない話題がある。そう、男子が集まって話すことと言えは、恋バナだ。男女問わず夜に集まって話すことは自然とこういった内容になるのかもしれない。坂中くんの好きな人とか、○○の彼女の話とか、誰々が盗撮してバレたとかそういう話。あとは誰かが童貞を卒業する予定だとか…


みんなにはいろいろなネタがあるみたいだったけど、僕にはそんなものはないので大人しく聞きことに徹していた。みんなの恋愛事情や性事情を知るいい機会になった。自分の所属する高校は恋愛などといったこととは縁がないと思っていたが、意外とそうでもなかったようだ。


日本に帰るために空港に行った時に、石坂さんにライオンを持ってもらって写真を撮ったんだけど、これがまた可愛くて… 宝物にしようかと割と本気で考えてしまった。お返しとばかりに僕もライオン持たされて写真を撮られてしまったけど、その程度で石坂さんの写真をゲットできるのは安い買い物をしたと思う。自由時間が終わって飛行機への搭乗を待つ間に色々なことを話せた。


僕は身長のことで悩んでいたのでそのことを相談したら、「そんなに気にしなくてもよいと思うけどな。私からしたらトッシーは十分身長高いし大丈夫だよ。私はもっと大きくなりたいから少し譲ってほしいな~。」と言われた。確かに僕と石坂さんは10㎝くらい身長が違う。だけどそれは僕と石坂さんを比べれば問題がないだけで、比べる対象を広げれば問題は大有りだと思う。「うーん、女子は身長低くても良いんじゃないかな。石坂さんは可愛いからそこは武器になると思うし。でも僕は男子だからな。もっと身長ないと彼女出来た時に困る。だって女子ってハイヒール履くじゃん。負けちゃうじゃん!!」と僕は答えた。石坂さんは笑いながら「大丈夫だよ。きっと彼女さんはそういうことは気にしないでくれると思うよ。それにトッシーには素敵な笑顔があるんだから、自信をもって!」と励ましてくれた。素敵な笑顔とはなんだろうと思いつつ大人しく励まされておいた。


それからは飛行機に乗って日本に帰った。飛行機では寝れないと最初は思っていたけど疲れていたからかよく寝ることができた。本当にいつの間にか日本上空にいて驚いた。飛行機の中で思い出に残ったことは、アイスとハンバーガーを食べたことだ。J〇Lの飛行機の機内サービスには出るらしい。とても美味しかった。ただ、上空は寒いのにアイスを食べるのは少し疑問だった。本当に食べるのに一苦労した。そんなこんなで修学旅行もどきは終わってしまった。


ここから日常に戻ることになるが、修学旅行が終わってもクラスには知っている人はほとんど居なかったため、人見知りする僕にとっては地獄の始まりみたいなものだ。ついでに言えば僕はあまり頭が良い方ではなかった。だから帰りのHRに行う小テストで交換採点する時が苦痛だった。隣の倉貫さんに採点される。しかもその人は頭がいいという特典付きだ。「惜しいね」とか「残念でした」というセリフがグサグサと心に刺さる。教科が古典だったから私大専願の僕にとってはあまり関係が無いのだが…。そんな倉貫さんに何故か僕は気に入られているみたいだ。というか可愛がられているように感じる。


「宇崎というフィギュアスケートの選手に似ているけど広田くんのほうがイケメンだよ」とか、「ほんと可愛い」とか、ほとんど話したことないのにも関わらずこんなことを言ってくる。僕はテレビをほとんど見ないから宇崎のことも全く知らないから反応に困る。


昼食の時間の時にランチパックを頬張っているときに話しかけられたからそのまま振り返ったら、その取り巻きも可愛いと言ってくるようになってしまった。理不尽だ。自分の不注意が悪いのは理解しているけど、流石に17歳にもなって可愛いと言われるのは恥ずかしい。きっと顔が赤くなっていたと思う。生まれてこの方かっこいいって言われるより、可愛いって言われる方が圧倒的に多かったから驚くことはないけど、慣れることはないな。


さて、僕が所属しているHRクラスには医進コースと名はついているけど、授業を一緒に受ける機会はほとんどない。だからクラスメイトのことをほとんど知らないまま一年が過ぎていく。唯一のクラスメイトを知る機会は医系小論文とHRの授業くらい。そこでは色々な人の意見が聞けて純粋に楽しいし、多くのことを学べる。隣の倉貫さんとは小論文の授業で少しだけ仲良くなることが出来て嬉しかったのはここだけの秘密。


そんな医系小論文の授業で気になる人ができた。気になると言っても、かなり現実的に考える人なんだなって思った程度だ。その人は梶並 穂乃香というクラスメイトの女子である。梶並さんは男女の友情は成立するかという問いに対して成立しないと答えた。僕も極限状態なら男女の友情は成立しないと思うけど、たぶん質問には曖昧な答えでしか返答できない。少し気になったのは男女の友情は成立しないのならば、彼女は男友達はいないと思っているのかということだ。だが、これを聞けるほど仲良くもないし、仮に仲が良かったとしても、気まずくなるだけなので永遠の謎になりそうだ。




梶並さんのことは実は中3の頃から知っていた。彼女のことを知る切っ掛けとして腐れ縁のPという人がいる。Pは梶並さんに幼稚園の頃から片思いをしているらしい。そんなPがいきなり「バトンチアを見に行こうぜ」と言い出すので頭がおかしくなったと思ったのだが、どうやら本当の目的はバトンチアを見ることではなく、梶並さんを見たいという理由だったようだ。僕を誘ったのは一人で観に行くのが恥ずかしいというのと、僕を言い訳に使いたかったからのようだ。


特に断る理由もなかったが、僕に何か奢ることを条件についていくことにした。目的地に着くとバトンチアの前にマジカルベルマジックとかいう女性が歌を歌っていて、僕はその日で一番感動してしまった。Pには申し訳ないが、実を言うとバトンチアよりも強く印象に残ってしまってバトンチアの発表をほとんど覚えていない。


まぁ、それはさておき、梶並さんの顔はPをからかうためにしっかりと記憶しておいた。僕が始めて梶並さんを見たときに思ったことは、可愛いことは理解できるがチワワみたいな可愛さを持っているて犬の顔にしか見えず、恋愛感情は抱くことはないだろうというものだった。噂によれば梶並さんに告白した人は皆振られているらしい。このような噂が流れるのでとてもモテるようだった。僕にはちょっと理解できないような話だった。




そんな梶並さんと高校2年生の1年間同じクラスだったが、ほとんど会話をしたことがない。唯一あるとすれば体育祭のリレーの時にバトンの受け渡しミスをしてしまい、転ばせてしまったことを謝ったことくらいだ。席が遠かったこと、僕が人見知りすることが話さなかった理由かな。そんなこんなで高校2年が終わった。


高校3年になって何人かが医進コースから抜けてまた何人かが医進コースに入ってきた。

当然席も変わったが、周りの人はほとんど変わらなかった。変わったところは梶並さんとSさんの席が近くなったことだ。流石に2年目なので周りの人と話せるように努力した。相変わらず隣の倉貫さんはすぐに可愛いといってくるので少し苦手になった。男に対して可愛いとはどうなのだろうか。しかも何故アザラシみたいなのか…

嫌われてはいないのだろうけど、男としてはかっこいいと言われたいと思う。


高校3年では医進コースの半分くらいの人、すなわち理科の選択科目で生物を選択している人と同じ授業になることが多くなったのだが、人見知りする僕にとっては関わる人は前と全く同じ状態のままだった。6月のある日担任から配布物を受け取った時に突然目の前に人が通ったのに驚いて「きゃあ」という女子の悲鳴みたいな声をだしてしまった。目の前で見ていた人に慌てて「きゃあじゃない。今の忘れて、お願い。」と言ったのだが、笑われてしまった。その笑ってた人は梶並さんだった。とても恥ずかしかった。きっと顔が赤くなっていたと思う。


HRの時間に自分がどのような医者を目指すのかという目標や興味のある専門領域について話し合う授業があった。僕はそこで2人のクラスメイトと目標について話し合っていたら、どこからか視線を感じた。当たりを見回すと梶並さんと目があった。梶並さんは僕の方を微笑みながら見ていて、少し怖かった。


1学期の期末テスト期間になると、医進コースの人は勉強熱心になる。推薦が関係しているからだ。斯くいう自分も推薦を狙っていたので放課後に教室に残って勉強していた。どうやら医進コースの人たちは家で勉強するか自習室で勉強する人が多いのか、ほとんど教室に人はいなかった。残っていたのは今年から医進コースにきた岩満くんとHさんと梶並さんと勉強しにきたWくんだった。その日から岩満くんとよく話すようになった。岩満くんやWくんと話していると梶並さんも会話に混ざってくるようになった。僕は梶並さんに対して人見知りをしてしまい、逃げるように教室の中を転々と席を移動して勉強していた。Hさん以外の全員がついてくるので少し疑問に思ったがよくわからなかったから考えるのをやめた。


当然みんなで集まって勉強しているのだから雑談になる。その話題の一つとして、みんなをある座標平面にプロットしてみようというものが上がった。X軸をSかMか、Y軸を男らしいか女らしいかで評価する座標平面だ。ちなみに正の方向がS/男と定義されている。岩満くんは梶並さんは第一象限にいるって言っていて、Wくんもそれに同意していたが、僕にはどうもそんな風には見えなかった。というのも会話や反応から女子にしか思えなかったからである。ドSであることに関しては触れずに、「Tさんは普通に女の子してると思う」っていったら「こんなこと言ってくれるのはとしくんだけだよ」と言われた。その時は気づかなかったがいつの間にか渾名をつけられていたようだ。しかも梶並さんもHさんも声優さんのこともトシくんと呼んでいるので、僕のことなのか声優のことを話しているのかよくわからない。


まぁその話は置いといて、そんなバカな話をしながら期末テスト中の放課後を過ごした。メッセージの話題が一時期上がった時があったが、メッセージはコミュニケーションのツールとしてではなく、連絡手段としてしか考えていなかったから、僕は「どうせ僕には連絡こないからなー」と言っていじけていた。その時に梶並さんから「追加してあげよう」みたいなことを言われた。社交辞令だろうと思いつつ「よろしく」と答えたら、その日のうちにメッセージで友達追加されていた。


その日から学校でもメッセージでも梶並さんと話すようになった。梶並さんと話すようになってから急激に仲良くなった。初めは勉強が終わって流れで教室に残ってたメンバーで帰って、その後岩満くんと梶並さんと僕という3人グループで毎日帰るようになった。



梶並穂乃香:梶並でーす

      追加しました~

      よろしく~


広田寿裕 :広田です

      よろしく~


梶並穂乃香: ( 厂˙ω˙ )厂うぇーい


広田寿裕 :( 厂˙ω˙ )厂うぇーい


僕はメッセージを始めてからそこそこ長いけど、あまり個人チャットをしたことがないから正直ノリについていけなかった。とりあえず相手と同じことを言っておけば良いのではと思って、そのままコピペで返信することにした。


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