人間と魔力の関係性、及び人間の文化についての設定
まず最初に理解しておくべきこととして、異世界と現実世界の違いというのは、魔物がいるかいないか、ということと、魔法がどれだけ認知されているか、という事の二つに分けられる。
異世界では、「世界機構」の補助によって魔法がより使いやすく、身近なものになっているため、一般的に生活道具の一つであり、武器であるものとして魔法は認知されている。
また、エネルギー資源としての点でも魔法は優秀で、実際のところ簡単な魔力の操作で物を動かしたりもできるため、電気、蒸気といった機械類はこの世界では使われず、代わりに魔力によって動く魔道具が一般的に使用される。
一応街では水、火、光といったものはいつでも使えるようになっており、それなりに便利な生活が送れている。というのは、鉱山から多くの魔石が産出されるからである。
魔石とは、水、火、光、闇、風といった様々な自然物を秘めた石のことであり、魔力を通すことで対応した効果が現れる。
街頭などの設備は魔力を補給するバイトの人間が行っており、最大魔力の大小で給料も変わってくる。よって、職を失った人間でも魔力補給係、という仕事に就くことでその日暮らし程度なら出来るようになっている。
人間の国では日々魔力に関する研究が行われており、魔力の液体化に関しては特に多くの研究者が様々な考察を残しているが、実際に成功したものはいない。
固体化は既に成功しており、固体化した魔力は燃えることから即席燃料として使われたり、また魔法によって戦う戦士などはそれを噛み砕くことで魔力を回復させる。
人間の中では多くの宗教が見られるが、サバ砂漠より南にあるアーティクルトを初めとした国々では戦女神教、龍神教、悪魔将教が力を持ち、サバ砂漠より北にあるセルディット等では破邪封神教、海蛇教などが広まっている。
因みに、北の国々では海が近く漁業が発展しそうにも思えるが、実際の所は海龍やクラーケン等がいるためさほど進出できず、ビート、麦、玉ねぎ、蕎麦などの農作物を中心に育てている。
しかし、広大な土地を持つため決して貧しい訳でもなく、麦から作られる発泡酒やビートから作られる砂糖などにより、むしろ嗜好品の類は充実していると言えるだろう。
また、東の国に蕎麦を多く輸出しており、そこからもかなりの収入を得ている。
対して南の国々では温暖な気候を生かした牧畜が盛んで、天国、と呼ばれる気候に住む凶暴性のない牛やヤギ、豚のようなものを連れてきて、様々な動物製品を作っている。
また、農業はそれほど発達はしていないが、ジャガイモを主食としてトマトやナスなどの栽培も少しずつ広まりつつある。
人間の国で総じて言えることとして、農業、牧畜、その他の工芸品や林業においては地球の中世ヨーロッパと同程度の水準となっており、漁業はやや劣っているといえる。また、魔力を使うことにより快適な生活は送れているが、その利便性故に何者かが科学を齎すまでは発展は見込めないだろう。