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異世界行って、騎士団長やります!   作者: 神崎冬花
王国活動編
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5話 スキル習得

ブックマークありがとうございます‼

 私達はギルドに戻り、ギルド職員からゴブリン討伐の報酬を貰って一息吐いていた。

 私は職員に注文したグレープジュースをちびちび飲みながら貰った報酬を机の上に転がしていた。

 ゴブリン10匹の討伐で10000ユグドラシル……。ユグドラシルって長いからシルに略称しよう。

 10000シルだから1匹1000シル。この世界のお金の価値がわからない私にとっては大金なのかもわからない。

 日本円と同じとは思えない。

 私が持っているこのレイピアで1万シル。ゴブリンを10匹討伐したら買える。

 アイアンアーマーは15万シルだったから、150匹……。

 うん割に合わない。完全にブラック企業である。

 どうしよう、早くも心が折れそうだ。


 話は変わるが、私の仲間になったこの2人。

 マーガレットとマリア。

 マーガレットは魔力制御は出来ないという欠点がある。マリアはプリーストになったばかりらしく、回復魔法はまだかすり傷を癒やす程の力しか無いらしく、神聖魔法もアンデッドの足止めが関の山なのだそうだ。

 マリアはまだいい。問題はマーガレットの方だ。

 魔力制御が出来ず、魔法が暴走する。暴走というのは威力と範囲が本来より大幅に上がるのだそうだ。

 一見良さそうに思えるが、魔力を制御出来ないということは魔法も制御できないと言うこと。暴走して術者も巻き込まれることもあるそうだ。

 ……。


「ねえ、マーガレット、魔法の暴走ってどれくらいの確率?」


 もしかしたら成功するときもあるかもしれないと淡い期待を込めて質問したのだが、


「ええと、3回に1回ぐらい……です」


 3回撃ったら1回は暴走するってことね。どうしよう、もうこの子爆弾そのものに見えてきた。

 

「……ま、まあもう遅いから、これからのことは明日考えようか」


 気がついたらもうすっかり日が暮れていた。時計が無いから正確な時間はわからないが、体感時間では今は恐らく19時半ぐらいだろうか。


「あ、はいわかりました。じゃあまた明日お願いします!」

「あ、あの、今日はすいませんでした……」


 マリアとマーガレットが言いながら小走りでギルドから出て行った。


 2人がいなくなってから、私は机に突っ伏した。

 疲れた。この一言に尽きる。

 元帰宅部の中学生の体力なんてこんなものだろう。

 あぁ、寝たい。今すぐベッドに飛び込みたい。丸一日ぐらい寝たい。

 

 しばらく机でグッタリし私はギルドを出た。

 そして街中を歩き、私はある重要な事に気づいてしまった。

 私寝るとこない!


 そう、寝るところが無いのだ。この時の私はパニックに陥り、宿に泊まるという考えにいたらなかった。

 

 結局私ホームレスじゃん!ど、どうしようこれ。

 私は眠気を振り切り、考える。この時私が行き着いた選択というのは――



△▼△▼△▼



「わははは! まさか1日に2回も会うとはな。

 しかもその理由が家が無いって……ぶはははは‼」


 私はガゼルの店に来ていた。理由を説明したら、大笑いされた。


「いいぜキノ、自分の家が出来るまでいくらでもうちに泊まるといいさ!」

「あ、ありがとうガゼル。ほ、本当に……」


 ガゼルが太っ腹な事を言ってくれた。


「じゃあキノは2回の部屋を使ってくれ。階段上がったら左にあるからな」

「う、うん」


 言われたとおり私は2回に上がり部屋に入った。

 装備を外し、大きめのベッドに入る。

 さっきはあんなに眠たかったのに今ではすっかり目が冴えてしまった。

 

 異世界に転移し冒険者になり、ゴブリンを討伐した。信じられないが、これは今日1日の出来事であった。

 あまりに濃い1日だった。我ながらよくこんなにも動ける物だな、と感心した。


 異世界に転移したことに関してはもうあまり気にしてない。

 それよりも気になることが1つある。

 そう、時折頭の中に響く『あの声』。あれが聞こえた時には私にはいろんな事が起こった。

 まずまったくわからなかった言語と文字を習得したこと、そしてもう1つは『攻撃予測』という能力を手に入れたことだ。

 あまりにも急だったので気にする余裕が無かったのだが、今思うとあれは一体何だったのだろう。

 ……呼びかけたら答えてくれるだろうか。


 おーい、ええと、天の声さーん。聞こえますかー。聞こえるなら返事してほしいです。


 《天の声ではありません。個体名:キノの固有能力『天使の加護』です》


 返事キタァァァ‼

 馬鹿なことしてるなあとか思ってたのに返事来ちゃったよ。

 ええと、天使の加護さん? 固有能力って何ですか?


《固有能力とは、その能力を最初から持ち生まれた者に付く物です》


 おおん。つまり私って最初から天使の加護さんを覚えていたという事ですかい?


《その認識で問題ありません。ただこの世界に来るまで固有能力『天使の加護』は封印されていた模様です》


 ほほお、つまりこの世界に来て私の能力が解放されたと、なにそれかっこいい。

 じゃあ天使の加護さんはどういう能力何ですか?


《並列思考です》


 並列思考ってことは私を含めて、私の中に自我が2つあるようなものか。

 ううん強い、のかな? じゃあ言語習得とか攻撃予測とかはどうやって入手したの?


《『天使の加護』の能力で、主の願いを叶える能力・スキルを習得することができます》


 前言撤回、チート能力ですわ。

 ええと、じゃあ試しに、魔法を覚えたい。


《要請『魔法を覚えたい』。全種魔法を習得しました》


 いや出鱈目すぎ⁉ 秒で覚えたんだけど⁉ しかも全種って……なんか真面目に魔法を習得した人に申し訳ないんだけど……。

 じゃあ次は、強くなりたい。


《要請『強くなりたい』。スキル『怪力』・『加速』・『強靱』習得しました。この3つの能力は常時発動させることが出来ます。常時発動させますか?》


 は、はい。

 私はとんとん拍子に話しが進んでいってるのに困惑しながら承諾した。

 

 瞬間体が軽くなった気がした。

 試しに軽く壁をデコピンならぬ、壁ピンすると、当たった壁の所が四散した。

 あ、後でガゼルに謝ろう。そう思いながら私は四散した壁を見る。

 綺麗にへこんでいた。日本人にはまず無理な芸当だ。やばい天使の加護さん容赦ない。

 自重もなにもあったものじゃない。

 恐らく今の私の強さは常人を軽く超えているだろう。

 やばい、今私ものすごくクエスト受けたい。


 まあいいや。それは明日で。それより天使の加護って言うのめんどくさいから名前つけてもいい?


《構いません》


 承諾してくれた。

 自慢ではないが私はネーミングセンスは結構ある方だと自負している。

 天使の加護さんに似合う名前をつけてあげよう。


《……》


 心なしか天使の加護さんがうれしそうなのは気のせいだろうか。

 まあいいや。名前はもう決まった。

 天使の加護さん、君の新しい名は……。









 『ナビ子さん』だ‼











《……感謝します》


 あれ、なんか残念そうなのは気のせいだろうか。

 

 

 私はそこまでいった時には、眠気が再び私を襲ってきた。

 もう少し話していたいが今日はここまでにしよう。


 私は布団を頭からかぶり目を閉じる。

 明日から楽しみだなぁ。とそんなこと思いながら私は意識を手放した。


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