女子高生は甘いものがお好き オマケ
穂香ちゃん激オコプンプン丸
「ふざけんなっ!」
穂香が喫茶店で寛いでいると、突然どなり声が響いた。次いで、ガツンと何かを殴る音と、女性の耳障りな悲鳴が辺りに響き渡る。と同時に、穂香が座っている席に男がぶつかり、頼んでおいた珈琲が、振動によって倒れ溢れる。
見れば、まだ若くチャラそうな男性が、一人の女性を殴りかかっていた。
「俺と別れるってどういうことだよ!」
「いたい、いたい!」
「ふざけんじゃねぇぞ!」
髪を金髪に染め、幾つものピアスをはめた男は、女性の髪を掴み、殴りかかっている。慌てて近くにいた店員が止めるも、女性を睨む鋭い目付きは直らない。
「次、別れるっていったら、ただじゃおかねぇからな。行くぞ」
「……」
「おいっ!!」
「わ、わかった!分かった……」
男性が拳を振り上げる姿を見て、女性は慌てて頭を抱えながら返答した。
そのまま、女性がレジで金を払い、二人は店を後にする。
「いやねぇ、DV?」
「あんな男いるのね、かわいそうに」
「警察に通報した方がいいんじゃない?」
近場にいた主婦たちの会話が耳に入る。
だが、そんなことよりも、穂香にとっては目の前の溢れた珈琲の方が問題だった。
ぶつかったことに対し、あの二人は気づいていないようだったが、溢れた珈琲は隣に置いてある食べ掛けのザッハトルテにかかってしまっていた。
至福のティータイムを邪魔された穂香は、無言で席を立つ。
「お、お客さま、別の品をご用意いたします」
「いいえ、結構です。あの男に弁償してもらいますから」
にっこりと微笑んだ穂香は、しっかりと代金を払って、その店を後にした。
とあるマンションの一室に、男のどなり声と殴打音が響き渡る。
「殺すぞてめぇ!!」
「う……うぅ……」
どなり散らすのは、先の喫茶店で暴れた男だ。殴られている女性の顔には大きな内出血が出来ており、口の端を切ったのか、血を流して踞っていた。
「なんでそう別れる別れるって、頭のわりーこと言ってんだ、よっ!!」
「ぎゃあっ!」
男の蹴りが、女性の太ももにあたる。
肉を叩く音が鈍く響き、耐えられず女性は悲鳴を上げる。服を着ているから分からないが、身体中にはこの男によってくつられた幾つもの打撲後が散らばり、青アザと内出血の赤が入り交じってしまっている。
「おまえは、俺がいればそれでいいよな?だろ?」
髪を捕まれ、目線を合わせられる。泣きじゃくる女性が返事をしないと、舌打ちをして乱雑に床に投げた。
その様子を、一人の女性が観察していた。
「酷い有り様ね」
「うわっ!?」
唐突に聞こえてきた見知らぬ女性の声に、男は跳び跳ねる。そこにいたのは、既に魔女化しドレス姿となった穂香であった。
「な、なんだよ!誰だよお前!!」
「こんなに内出血しちゃって。お肉は叩けば柔らかくなるけれど、こんな乱雑な叩きかたじゃ、質が落ちてしまうじゃない」
「はぁ!?」
女性をみて意味不明なことを漏らす穂香に、男性は憤る。だが、ついと穂香の目がその男性に向けられた瞬間、ぞくりと悪寒が走った。
長いまつげに縁取られた目は、既に赤く染まっていた。
「お、お前、魔女……?」
「さぁ、どうだとおもう?」
爽やかに笑う穂香が、そっと男の頬を触る。そのまま、親指を男の右目に思いっきり突き刺した。
「ぎぃっ!?」
「私のティータイムを台無しにして。そんなに食べられたいんだったら、きっちりと体で払ってもらうわね」
あえぐ男にそう宣言した穂香は、右手で指を鳴らした。影が部屋中を覆い、反射的に女性は目を瞑った。
「……え?」
そして、目を開けた後。
そこには、誰もいなかった。
「お肉の正しい仕込み方を教えてあげるわ」
穂香は自分の空間の中、縛られて床に転がる男に対しそう言った。
「先ずは血抜きね。頸動脈切るらしいのだけれど、泣き叫ぶ声も聞きたいから」
ナイフが、四肢の指を全て切り落とす。決して少なくは無いが、すぐ死ねる量でもない。
「ぎゃああああ!!いだい!いだい!!」
「ああ、体を綺麗にしなきゃ。その装飾品は邪魔ね。大丈夫、盗んだりしないわ」
泣き叫ぶ男の耳に着いているピアスを引きちぎる。
赤い肉が付着するそれを、男の口の中に入れてやった。
「あとは、お肉を柔らかくするために叩かなきゃ。さ、みんな頼んだわよ」
穂香が一歩下がると、ウサギたちがハンマーを持ってぞろぞろと現れる。群がられた男は必死に逃げ出そうともがくが、その前に、振り上げられたハンマーが叩きつけられる。
何回も、何回も、何回も。
赤く腫れようが、内出血を起こそうが、筋繊維が引きちぎれようが、浸出液が滲み出て来ようが、骨が砕けようが、顔以外の場所を、何回も何回も叩かれる。
然して、トロトロに柔らかくなった男を、穂香は満足げに見つめた。
「あら、まだ死んではダメよ?楽しくないもの。大丈夫、私の力で生き続けさせてあげる」
「……た、ひゅ……、げ……」
「嫌よ」
息も絶え絶えな声を笑顔で拒否し、影を使って男を釣り上げた。宙ぶらりんになったが、柔らかくなった肉がブチブチと引きちぎれてしまう。
「しょうがないわね」
穂香がため息をつくと同じに、影が男の口の中に入る。暴れる気力もない男をよそに、みるみるその影は進み、やがて肛門から突き出した。
「あら、皮を向くことを忘れてた」
ざりざりと、まるで林檎の皮を向くかのようにナイフが男の皮膚を剥ぐ。薄ピンク色の肉と、プツプツと黄色い脂肪が露になっていく。
「あなたみたいな男でも、有効活用できることがあってよかったと思わない?さ、血抜きが終わる頃にまた来るわね」
「ひ、い……、い、い……」
全ての皮を剥がれ、笹巻のように影でぐるぐる巻きにされた男は、その後1週間はそのままでいた。
穂香がいなくなったそのあと。
男は激痛に耐え続けた。ずっとウサギたちに見つめられているなか、昼も夜も分からずずっと。それはまさに地獄のようであるのに、穂香の魔法によって死すら赦されることはない。
やがて、全身の血が抜け、カラカラになった男の元に、穂香が現れた。
「綺麗に出来たわね」
「…………」
生きてはいるが、目は虚ろで何も写さない。穂香が現れる前に、とっくに男の心は磨り減り、砕けきってしまっていた。
「あとは、粉末にしちゃいましょう」
反応のない男を、床に下ろす。ウサギたちはおろしがねをもち、男の回りに集まった。
「さ、最後に、断末魔を聞かせてちょうだい?」
穂香が指を鳴らす。すると、男のめ目に光が宿り、正気が戻った。
「え?え?」
それと同時に、うさぎたちがおろしがねをかけ始める。
「い!?いだ!!いだぁあああああ!!なんで!?やめ、やめろおぉおあああああああああ!!!」
先から少しずつ、少しずつ。ザリザリと削られる激痛に、男は動けもせずに感受する。
「ぎぃぃぃぃぃいいいいいい!!!あああああああああああああああ!!うぎ、ぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あなたはソースに使ってあげる。美味しいチョコレートソースの完成ね。良かったじゃない、ちゃんと弁償することが出来て」
最後に、口に入れられたピアスに向かって微笑んだあと、穂香はヒールでピアスを思いっきり踏みつけた。
粉々にくだけ散ったピアスに満足した穂香は、早速ウサギにザッハトルテを作らせた。
兄「ティータイムを邪魔されて怒った穂香も可愛いよ」
兄さん一回もでなくてごめん。食い意地張った穂香ちゃんも可愛いです。精神的にも肉体的にもぐっちゃぐちゃに料理する穂香ちゃんはまた書きたいです。