世界を救うまであと少しお待ちください。
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糞、糞、糞ぉぉぉぉおお!
トイレ、トイレはどこなんだ?!
便意を抑える意識は最早朦朧としたまま、急ぎ足にその目印を探す。
「というかどこだよここ、さっきからずっと森の中じゃねぇか!」
彼は森の中で迷っていた。
あと幾許もしないうちに自分は漏らしてしまうだろう。
だがしかし、バックトゥネイチャーだけはしないと、固く決意していた。
「面接官さん、すんません。俺、漏れそうなんでここでンコします。」
― 今思えば面接中にそれを堂々と解き放つことで場を収められたかもしれない!
「面接まで時間があるけど、いつ呼ばれるかもわからないし、ここでするか。」
― 廊下で待合している間に、平然とシットしてしまえば間に合ったかもしれない!!
「部活動は野球部に所属しており、活動時はキャプテンとして「ブリブリ」」
― 平然とした受け答えさえできていれば話しながら漏らしてしまっても問題はなかったのかもしれないッ!!!
今思えば、あの場を丸く収められる方法はいくらでもあったんだ。
それが常識的にどうなのかであるのかを考える余力は少年にない。
彼は現在必死で戦っているのだ。
半ば視野狭窄を起こし、いっそズボンを下ろしてその場でリバースをしてしまいたい衝動に
― 少し漏れちまったかもしれねぇけど
― あの時、俺は戦ってたんだ・・・
― あの時の俺を嘘にしていいのか?Tィィィィ!!
あの日も彼は確かに襲いくる強大な敵を前に立ち向かった。
出したものは少しどころの騒ぎではなかったのだが、確かに逃げ出さなかった結果であった。
今度こそは同じ間違いを犯さない!
やわらかいものが漏れ出しそうになりながらも、彼の固い決意は揺るがなかった。
何より、彼は温水洗浄便座がないとダメな人間であった。
「うぉぉぉぉぉおおお!!」
その疾走の先に見たものは一台の大きな馬車であった。
人だ、最寄りのトイレの場所を教えてもらおう。
いまだにここが映画村か何かだと思い込んでいた彼はとにかく必死だった。
よく見ればその馬車は人型のモンスターとも呼べるソレに襲われていたのだが、とにかく話をするために突っ込んだ。
「すみませ-おわっ?!」
人型モンスターは少年Tに標的を移した。
「人の」
「話を」
「聞けよッ!!」
こいつらはいったいなぜ襲ってくるのだろう。
俺が一体何をしたんだろう。
早く、早くイカナイト・・・
なぜか、目の前の異形とも取れる人影が執拗にお腹や尻を狙ってきている気がして、少年は殺意を覚えた。
「俺の邪魔を・・・するなっぁぁあぁ!」
会心の一撃!
ゴブリンを たおして レベルが 1 あがった!
その調子でゴブリン一行を倒していくT
彼が救い出した馬車には目麗しい女性がひっそりと、その英雄の活躍を眺めていた。
「あれは、私の勇者様・・・・」
吊り橋効果で一目で惚れた皇国の姫
のちに彼女と冒険を共にし、生涯の伴侶として人生を共にすることになることをまだTは知らない。