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第六話    電磁バリア

 2065年・・日本は海域及び空域に完璧な防衛網を敷いていた。国会は紛糾し、一時は改憲論も出た憲法九条も危ういところで逆転ホームラン的勝利となり守られたが、それから早くも30年が経過していた。さて、そうなれば、国防の根幹と領土の保全を如何なる観点に求めるかが論議の対象となった。

「馬鹿言っちゃいけない!! ウッ! …」

「…だ! 大丈夫ですか!? 先生!」

 委員会の質問の席で、ある国会議員などは余りの剣幕で卒倒し、病院へ担ぎ込まれる事態も起きたりした。しかし、結果として与党は野党側との五分の折衝で防衛大綱の改定とそれに伴う法改正を実現し、国会で可決成立させた。野党側も譲るべきところは譲り、政府与党も妥協すべきところは妥協した挙句の成立であった。

 ここは、衆議院、本会議場である。白富士首相は施政方針演説で熱弁をふるっていた。

「防衛でございます。我が国を今風で言うところのシールドで守ります。電磁バリアであります。電磁バリアは目に見えない訳でございます。日本列島をドーム状のシールド、すなわちバリアでスッポリと囲む訳でございます。いつぞや隣国と物議をかもし、めたこともあります海空の識別圏をラインといたします。この中へは、一発のミサイル、一機の航空兵力、一艘いっそうの軍艦、一匹の怪獣をも進入できなくする訳でございます。陸上の防衛力は自然、地震等の国土及び生活保安等の組織を除きすべて海空へ移管いたします。今般、国家行政組織法の改変整備に伴い、設置されました防衛保安省内の三組織、すなわち航空、海上、陸上保安庁、特に海、空保安庁の充実を図って参る所存でございます。怪獣に日本は屈しないのであります」

 議場のあちこちで、野次ならぬクスクス…という笑声が湧き起っていた。

「むろん、日米同盟は堅持し、両国の関係をより密にする努力を怠ってはなりません。集団的自衛権の行使につきましては、2020年に解決いたしました憲法の許容範囲内での後発支援、すなわち軍事物資、軍事燃料補給等の戦闘の危惧が及ばない範囲での支援による自衛権行使の方針を堅持して参る所存でございます。我が国は怪獣に食われる訳には参りません。また、食うことも出来ません。平和に越したことはございませんが、♪身に降ぅるぅ~~火の粉はぁ~払わにゃならぬぅ~~♪なのでございます」

 白富士首相が得意の渋いのどで唄い、演説を終えた。議場は爆笑の渦となった。

「静粛に願います!!」

 大仏おさらぎ議長の声はき消され、効果がなかった。いつしか、議長も笑いの渦に引き込まれ、笑っていた。


                第六話 完

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