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第四十二話 ご意見探訪

 欠伸あくびをしながら新聞をたたんだ竹松末男は、妻の美弥をそれとなくながめた。美弥は食後の洗いものをしていた。

「なんか、アフリカでは、また紛争らしいぞ。テロも起こってる…」

「ふ~~ん」

 美弥は政治にはまったく興味がない。軽く聞き流す返事を末男に返した。湯呑みの茶をひと口、飲んだとき、末男はふと、疑問が浮かんだ。

「兵器がないと戦えないよな…。まあ、せいぜい殴り合うくらいだ」

「んっ? ええ、そうね…」

 美弥は洗い物を終わり、ネルドリップ式でコーヒーをれ始めた。

「太古の昔から、食べるためにけものとか魚などを獲る道具として武器が生まれたんだよ。それが歴史の中で、人を殺傷する武器と食べるための武器が分かれた訳だ」

 美弥は洗い物を終わり、コーヒーカップを運んで末男の前のソファーへ座った。

「なるほど…」

「人を殺傷する武器は時代とともに、どんどん進化して兵器になった」

「本来の目的を離れて、間違った方向へ進んだ訳ね」

「そうそう…」

 二人はコーヒーをすすった。

「紛争や戦争には原因がある。それを突き詰めていけば、解決策は必ず見つかるはずなんだ」

「難しいことは、よく分かんないけど…」

「まあ、聞いてくれよ。争い合う組織とか国とかの言い分の違いが原因じゃないんだ」

「どういうこと?」

「さっき言ったとおりさ。言い分が違ったって、争う兵器がなけりゃ紛争や戦争は出来ないだろ?」

「まあ、そうよね…」

「得てして、低開発国とか開発途上国でトラブルが起きている。その原因はなぜか? という訳だ」

「原因を掘り進めていくのね。少し犯人探しのサスペンスみたいで面白そう」

「馬鹿! 茶化すんじゃない」

「ごめん…」

 美弥はふてくされてコーヒーを啜った。

「君があやまるこっちゃないけどさ。原因は先進諸国の武器援助とか輸出にあるのさ」

「それは、そうね」

「国の利権とか、いろいろからんで大変なんだろうけど、解決策は国連で地球レベルの武器輸出禁止条約を作ることが、まず第一歩だろうな」

 末男は言い終え、またひと口、コーヒーを啜った。

「あくまでも、理想よね。そうなると、いいけど…」

「ああ…」

 末男はテレビのリモコンを手にし、ボタンを押した。すると不思議なことに、見なれた家の全景が映し出された。

「あれっ!? これ俺んじゃないか?」

「そうよね…」

 美弥もいぶかしそうに画面に見入った。そのとき、画面に一人の女性が、マイク片手にしゃしゃり出た。

『竹松さん、有難うございました! 貴重な音声は放送局を通じ、国連本部へ届けられます。以上、ご意見探訪を終わります。藤崎がお送りしました!』

「ええ~~~っ!!」

 二人は同時に大声を上げた。

 よくよく考えると、末男は放送局から依頼を受け、了承した事実をうっかり忘れていたのだった。末男のポケットには局から預かった送信機が入っていた。


                完

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