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第三十九話 はれのちくもり、とおもったら、またはれぎみ

 航太は幼稚園児です。ある日の夕方、航太はテレビの天気予報を観ていました。

「航ちゃん、ごはんよ!」

「えっ! もう? …パパは?」

「パパは出張だって言ったでしょ!」

「うん、それはきいたよ。でも、なぜそれで、ごはんがはやくなるの?」

「パパはね、今日は帰ってこないの!」

 ママの睦美は少し疲れぎみのせいか、くどい子ね! というわずらわしそうな顔で航太を見ました。

「そうなんだ…。これさ、すぐおわるから、ちょっとまって!」

 航太は睦美へ、リターンエースですぐ返しました。若い女性の天気予報士が天気概況を話しています。

『低気圧は遠ざかりますから各地で晴れるでしょう。ただ、高気圧の速度が遅いため、ところにより雲が残るでしょう」

「あしたは、はれだ…」

 航太は天気予報を聞くのが最近の趣味になっていました。子供の趣味は高じやすいものです。最近では、必ず自分の絵日記にお天気を書きしるしていたのです。それも半端じゃないほどのりようで、実に詳細でした。

 夕食が終わり、子供部屋へ戻った航太は、さっそく書き出しました。

「はれのちくもりだ。…いや、そうおもったけど、はれてきたんだった。まてよ! …はれてきたけど、はれるまではいかなかったんだった…」

 航太はお天気欄に、 ━ はれのちくもり、とおもったら、またはれぎみ ━ と書きました。

 その夜、航太は夢を見ました。夢の中の航太は雲の上で眠っていました。

『起きなさい、航ちゃん!!』

 航太はその呼び声で目覚め、うっすらとまぶたを開けました。すると、お日さまがニッコリと微笑ほほえんで、航太をながめていました。不思議なことに、いつもはまぶしいお日さまが、ちっとも眩しくありません。

『航ちゃんは感心ですね! いつも、お日さまはあなたを見ていますよ! これからも、あなたのお天気予報を楽しみにしています。あしたは、きっと先生にめられるわよ』

 声がなんだかママに似ているな…と航太は思いました。

「航ちゃん、起きなさいよ! 遅刻よ!」

 航太が薄目を開けると、お日さまじゃなくママが航太を見下みおろしていました。もう次の日の朝になっていたのでした。

「うん…」

 航太は、ゆっくりとベッドから出ました。その日、航太は夢のとおり、先生に絵日記のお天気予報を褒められました。


                    完

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