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第三十話   天上にて

 天上の雲を絨毯じゅうたんにして、心地よく主神は寝そべっておいでになりました。下界では日夜、人間どもが慾深く、自分達の主張をしております。

『ふ~む…どうも正義は旗色が悪そうじゃのう。隅のほうで小さくなっておるわ。威張って我がもの顔をしておるのは地界よりつかわれし悪の者どもじゃ…。困ったことよ』

 霞を食べ、今まで心地よく笑っておられた神の顔は幾らか悲しげになりました。そうなりますと、ほんのひと握りの雲の絨毯は、にわかにその大きさを増し、雲海のように広がったのでございます。そして、瞬く間に下界を見えなくしたのでした。

『地界は、かなり送り込んでおると見える。下界で平和に暮らす者どもには済まぬが、地界からの者どもを駆逐するには、やはり下界が争いとなろうのう』

 主神は深々と溜息をつかれました。その溜息ためいきから生まれたのが、嘆きの葉でございます。溜息はたちまち一枚の光り輝く葉に変わり、主神が二本の指をお立てになり、なにやら呪文をつぶやかれますと、その輝く葉はスゥ~っと雲の下へと消えたのでした。それを合図にお日さまがどうかしたの? という顔でいぶかしげに姿を見せられ、輝きをお増しになります。主神は、かくかくしかじか、どうのこうの、どうたらこうたらと詳細を報告され、お日さまはああ、そう…と余り興味がないご様子でお聞きになっておられました。といいますのは、光のエキスとなるいい話や素晴らしい話には興味を持たれるのでございますが、こうした悪い話はご自身の光を減じる因となりますから聞かぬ態で興味をお示しにならないのでございます。というようなことで、ひととおりお聞きになりますと、あなたにお任せしますわ、それじゃ、これで…と、そそくさとお消えになってしまわれました。こうなれば、主神としてはどうしようもございません。両腕を深々とお組みになられますと、微動もせず瞑想に入られたのでございます。その途端、雲の絨毯は光り轟き雷鳴を響かせ始めました。主神のお身体は全身が光と変化へんげし、虚空のあちらこちらから光の筋が主神のお身体へと吸い込まれていきます。いよいよ、天上にて下界掃除の準備が始まったようでございます。


                      完

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