表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/100

第二十二話 どうなる?

「どうなるって? ははは…私がおきしたいくらいのものだ。それが分かれば、死ぬことなど、怖くもなんともない!」

 戸山はそう言うと、グイッ! とグラスの酒を飲み干した。その左隣に座る新貝は腕組みをしながら、それも一理あるな…とうなずいた。

「分かる人などいないということですね…失礼」

「どうなるかは分からないが、私は夢を見たことがある。もし、そのとおりなら、死後の世界はあるのかも知れない」

 戸山は一年前、夢を見た。目覚めたとき、その夢は鮮明に戸山の脳裡に残っていた。

 死んだはずの兄が戸山に金を返そうとしていた。場所は部屋の玄関前だった。戸山は、いいから貰っておいて欲しいと片言で話していた。そういや、思い当たることがあるぞ…と、戸山は思った。

 戸山が住む近くの龍神沼には龍神を祭る鳥居があり、水の中に浮かんでいた。その沼には昔から伝わる話があった。沼岸から鳥居の中へ貨幣を投げ入れ、それが通り抜ければ願いがかなうという言い伝えだった。幼い戸山は金をもっていなかった兄に金を渡した。兄は見事に鳥居を通過させた…。ふと、戸山はそのことを思い出したのだった。

 ダウンライトのオレンジ光が戸山にグラスに反射した。戸山は静かにカウンターのグラスを手にし、酒を口に含ませた。あのときの金を兄は返そうとしたんだ…と戸山には思えた。その話を新貝にしたのである。

 カウンター越しにグラスをくバーテンの顔が見えた。二人の会話は当然、バーテンにも聞こえていたが、バーテンは聞こえていない態で拭き続けていた。

「どうなる? フフフ…どうかなりますって…」

 聞いていないはずのバーテンがグラスを拭く手を止め、戸山の空グラスにウィスキーを加えながら急に二人を見た。戸山と新貝は驚いたようにバーテンの顔を見た。

「私は二十日前に死んでますから…」

 バーテンは慰めるような目つきで二人にそう言った。

「ええっ!!」

 二人は同時にグラスをカウンターへ置いた。そういえば、バーテンの顔は蒼白く、店内には誰も客がいないことに二人は気づいた。二人の酔いは一気にめた。


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ