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第十話    変な人

 「あんたねっ! 勝手すぎるんだよ! もう少し、待ってくれてもいいだろ! ほんとに、もお~! 足が早いんだから!」

 山裾やますそに沈もうとしている秋の夕陽を見ながら、勘一はつぶやいた。それを隣家の嫁、民江がうかがい見ていた。

「また、話してるよ、勘さん…。ほんと、変な人だよ。アレさえなけりゃ、いい人なんだけどねぇ~」

 そこへ旦那の芳三が顔を出した。

「どうした?」

「ああ、お前さん。ほら、アレ、見てごらんよ」

 芳三は民江が指さす方向を見た。勘一は山裾に半ば姿を隠した夕陽に向かって、まだブツブツと小言を垂れていた。

「大丈夫かねぇ~、あの人!」

「勘さんか…。まっ! アレだけだからなあ。見て見ぬふりでいいだろうよ」

「そうだね、いつものことだから…。でもさあ、なに言ってんだろうね?」

 民江は首をひねった。

「さあなあ~? なにか、願いごととかだろうよ、きっと…。さあ、めしにしてくれ、飯に!」

「あいよっ! いい人なんだけどねぇ~」

 二人は奥へ姿を消した。隣では勘一が、まだ、ブツブツと話していた。

「そうでしたか…。忙しいんですね、あなたも。こっちの都合で語っちまって、申し訳ない…」

 芳三夫婦だけではなく、誰が見ても勘一は変な人だった。だが、真実は変でもなんでもなかった。太陽は勘一と語っていたのだった。

『いいえ、では…。また明日!』

「あっ! おいでに?」

 勘一は明日も晴れると確信した。


                    完

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