その叫びは光に消えて
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
皆が、今正に最後の激突を始めんとする2人を見上げた!
跳び上がった両者は、最大限のパワーをホビーに込める! 真奈の両手のウォーターガンが、シオンの両脚の紙鉄砲が、激しい閃光を放つ!
真奈はおもむろに両手を腰のガンホルダーへ! そして、両手に長銃を携えしまま、小指を使い左右のポケットに備えられた小銃を再び引き抜き、持つ!
人差し指で長銃、小指で小銃を握る異形の持ち方! 片手に二丁、両手で計四丁の銃を同時に携えしこの姿こそ… 正に呼んで字の如く… 『四丁流』!!
「…だぁああああああ!!」
手に携えし四丁の銃を頭上に掲げ、力を注ぎ込む!
―― 流 れ 込 め ! ア タ シ の 中 の 全 て の 想 い !
四丁の銃口より注がれし真奈の想いが、碧き輝きを放つ一つの水晶球の様な球状の弾丸を造り出す!
―― ひ と つ に な っ て 、 光 り 輝 け !
一瞬にしてその球場の弾丸は、真奈自身を内部に取り込み、彼女の身長の何倍もの直径を持つ巨大なエネルギー体へと一気に膨張する!その碧さは偉大な様で優しい海の碧さ! 正しく、海面を、深海を、大海そのものを丸く内に取り込むかの如き碧さ、存在感、力強さ… つまりは海魂!! 彼女の強き想いが生み出した魂の碧き海塊の巨大銃弾!!
そのエメラルドの弾丸名…
『エメ・ド・スフィローデ』!!!!
巨大な球状のエネルギー体を纏い自らが弾丸となった真奈に対し、シオンは見にも止まらぬ速さで身体を横に五回転させ、自らの後方に向け五回の蹴りを放った!
そう…!
たった今、シオンは自らの後方に『五本の真空トンネル』を生み出したのである!! 再び『伍徳RIDE』を放つべく!!
―― 全 く 、 い い 加 減 分 か り が 悪 い ! ア ン タ は 要 ら な い 人 間 な ん だ ・ ・ ・ 私 に と っ て !
5本の真空トンネルが圧縮され、5重に折り重なった光速のエネルギーがシオンに取り込まれる!
―― 真 奈 !
―― シ オ ン !
…叫ぶ!!!!
「 伍 徳 ゥ ・ ・ ・ R I D E ォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! ! 」
「 エ メ ド ォ ・ ・ ・ ス フ ィ ロ ー デ ェ エ エ エ エ ! ! ! ! 」
超光速に達したシオンがグラデーションの軌跡を引きながら真奈に向かう!!
同時に真奈は、巨大なエネルギー体を纏ったままシオンへと突撃する!!
シオンが、真奈が纏う巨大なエネルギー体に激突!! 眼を開けることさえままならぬ程の閃光がグラウンドと校舎の壁を塗り尽くし、衝撃波が窓ガラスを叩き、雷雲の中にいるかのようなホビー魂の干渉音が鳴り響く!
ひたすらに押し合う『五徳RIDE』と『エメ・ド・スフィローデ』!
シオンの『伍徳RIDE』は規格外のパワーを持つが、真奈の『エメ・ド・スフィローデ』も負けてはいない。
…が!!
エメ・ド・スフィローデを纏った真奈… 後退!! それもグングンと…、圧倒的に…、シオンの伍徳RIDEに力負けし、押されていたのだ…!
超音速? 超光速? 超神速? 五重の超光速エネルギー…、光を超えた速度の3125倍まで加速させる別次元的なパワー… 『伍徳RIDE』が圧倒的過ぎたのだ!!
そして…
「………ッ!!!?」
突如、ホビー魂の干渉音に混じって響いた『異質な亀裂音』が皆の耳朶を撃つ。 何事かと目を凝らす巴心と彩祐佳。
…異変は直ぐに分かった。
真奈が纏うエメ・ド・スフィローデに… 亀裂が生じていたのだ! 二人は絶句した… あれほどのパワーを込めたエメ・ド・スフィローデが破られようとしていた…! まるで、碧いガラス玉がプレス装置の絶対的、絶望的な力になすすべ無く潰されていくかのように…。
だが、その時…
「そォオオらぁああああああ!!」
突如、咆哮を上げる者一人! …針嶌玲!
彼は、ゲイラカイトに乗る高速移動形態『ライディングスタイル』を取り、シオンと真奈が押し合っている方面へと一直線に飛行!
そしてなんと、今にも破られんとするエネルギー体『エメ・ド・スフィローデ』の内部へと、少量の干渉波を爆ぜさせながら潜り込み、中心部の水乃真奈の隣へと飛び込んで行った!
「真奈ァ!! 『ミキシング』だァ!!」
『ミキシング』…、通常、別のファイター同士のホビー魂は干渉、反発しあう性質を持つ。敵味方の区別に関係なく、別のファイター同士ならば例外は無い。
しかし、互いに信頼関係を築いたホビーファイター同士ならば、意識的に自らの精神を相手に同調させることで干渉、反発を抑える事も可能なのだ!
そして、精神を同調させたファイター同士は、互いのホビー魂を掛け合わせることで莫大なパワーを生み出すことも出来る! これは俗に『ミキシング』などと呼称されるチーム戦専用の連携技術である。
「俺がお前を負けさせねぇ!! …だから押し返せ!!」
真奈は無言を返事とし、玲との同調を更に高める! 二人のホビー魂は水面に垂らした二色の絵の具がかき混ぜられるかの如く混ざり合う!そして、その二色が完全に混ざり合った瞬間、化学変化的に別次元のパワーが生み出され、膨大な光のうねりが真奈と玲との間から溢れ出し中空を染め始めた!
「何…それ?」
シオンは暗い声を出す。 目の前いっぱいに広がる膨大な光の奔流が、眼に焼きついて鬱陶しい。 その輝きが妙に綺麗であることも鼻に付く。
そして、自分自身が、真奈に… いや、真奈と玲の二人分のパワーに押し返され始めている事が腸を煮えさせる!
「何で!?」
――こっちは一人で、相手は二人。…そうだとしても、『伍徳RIDE』が力負けするなんて…!
ジリジリと、自分の身体が目の前の『エメ・ド・スフィローデ』に押し返されてゆく!そして少しずつ、膨大なエネルギーが自分の蹴り足の鉤爪を、爪先を、足首を順々に飲み込んでゆく!
――押し返される!? 飲み込まれる!?
シオンにとってそれは受け入れがたい事実であった。
――そうだ、サトルは!?
焦りを浮かべたシオンは相方のサトルの存在を思い出した。真奈の相方である玲が目の前に駆けつけたのなら、自分の相方であるサトルはフリーになはずだが…。
「シオンさん!」
耳に届く聞き慣れた声! 視線を下に下ろすと、サトルがロケットのブースターの様に、四つの糸電話からオレンジの光を後方に噴かせながら飛び上がって来ていた!『ライディングスタイル』による高速移動を持つ玲に比べ、移動速度で大きく遅れをとるサトルも、ここでようやく援護に駆けつけることが出来たのだ!サトルは『エメ・ド・スフィローデ』に接近すると、糸電話四つ全てをそれへと向ける!
「ここまでッスよ!!」
四連装の砲台と化した糸電話が一斉にオレンジの光粒を連続して吐き出す! 四連装砲台による一斉連射は圧巻! 光粒が雨霰と『エメ・ド・スフィローデ』に殺到し続ける!
が… その夥しい数の光粒は『エメ・ド・スフィローデ』より溢れる光の奔流に飲まれ霧散消滅! それを減衰させることさえ叶わなかった。サトルは顔を歪め苦い声を吐き出す!!
「俺はそんな…、こんな風にィィ…!? ここぞって時で… ここぞって時でぇええええ!!!!」
サトルに二人を止められない以上、シオン自身がこのまま力負けすれば、『エメ・ド・スフィローデ』に飲み込まれる事は確定。この巨大なエネルギー体に飲まれれば、受けるダメージは計り知れない。自身の残存ホビー魂には若干余裕を感じるものの、スピリットダウンまで持っていかれる可能性も十分にある。
もし自分がここでスピリットダウンしてしまえば、状況は一対二。 一気に形成が覆される。
突如現れた『敗北』という二文字が、胸中を内から圧迫する不快感にシオンは眉をひそめた。
――負ける…? 私にとって『要らない存在』であるコイツに…。
胸中に毒づいた直後、心の内壁に塗りたくたれたセメントの一部がバラリと剥がれ落ちる。剥がれたセメントの隙間から見える、ヘラヘラと笑い続ける真奈の顔…! 瞬間、シオンの胸中で何かが焦げた!
「何がミキシング? 『私に出来無い事』でも、アンタは…、アンタは『出来るって見せびらかせたい』だけ!?」
シオンは許せなかった! 人と信頼関係が築けることを『仲間との連携』によって誇示してくる真奈が…!
「『自分は仲間と信じあってる』ってアピールして…、それで私に勝とうって…。 そういうのは…。 私が…、『一番嫌いなやり方』なんだァアアアアアアア゛!!!!」
その怒気が彼女の蹴り足に凝縮され、鉤爪が更に輝きを強めたその瞬間…
張り裂けんばかりの亀裂音が大気を震わせた…!!
『エメ・ド・スフィローデ』… 崩壊!!
碧く輝いていた球体がバラバラに砕け、内奥からは碧き光粒がドウドウと溢れ霧散してゆく。
…それは、二人分の信頼の力が、たった一人の怒気に敗北した瞬間であった!
シオンの蹴り足は、打ち砕いた『エメ・ド・スフィローデ』から溢れる光粒の霧の中を神速で突き進み…、鉤爪を食い込ませる… 碧き球体の中心部にいた敵に!!
手応があった! 碧き光粒の霧で前方はよく見えないが、蹴り足で敵を捕えた! 感触は少し『固い』ので、捕えたのは真奈の肉体ではなく、手に携えたウォーターガンの方か。『エメ・ド・スフィローデ』が破壊されてから、蹴り足が突き刺さる一瞬で長銃を盾にして直撃を防いだ判断速度は見事。 しかし、『伍徳RIDE』のパワーの前ではもはや無意味、満身創痍となればなおさらだ。
――このまま押し潰せる!
そう思った瞬間。 碧き光粒の霧が僅かに薄まり、視界が開ける。 シオンは自らの蹴り足の先を視界に収め… 驚愕!
目の前には黒き服を纏った男子… 針嶌玲! 玲は、ゲイラカイトを盾にして、シオンの蹴りを受け止めていたのだ!
――真奈じゃなかった!? でも!
シオンは取り乱さない! このまま、目の前の玲から倒すまで! 『伍徳RIDE』のパワーもってすれば、盾にしているゲイラカイトごと蹴り潰し、スピリットダウンまで持っていくことも可能!
だが、直後…
「………ッ!?」
彼女は背中に不快な感触を覚えた! まるで背中に固い棒の先を押し当てられたかの様な…。
シオンには直ぐには事態が分からなかった。だが、背中から伝播する攻撃的な意思が電流の様に髄を流れ、彼女の脳が未知の危機に震えを上げる!
シオンは反射的に首を捻り背中側へ視線を流す!その眼に映ったのは、赤と白のバンダナを被る見慣れた顔… 水乃真奈!!
背に押し当てられていたのは、真奈のウォーターガン…。 水乃真奈は、上下逆、逆さの姿勢で四丁の銃をゼロ距離で背中に突きつけていたのだ!!
そこから先は避けることも、声を出すことも、何故真奈が背後に居るのかを考える時間も無かった…!
四丁のウォーターガンが一斉に光弾を連射! 次々と吐き出される光弾が、ゼロ距離で背中と脇腹に直撃してゆく!
……真奈は『エメ・ド・スフィローデ』が破られる瞬間を見計らっていた!そして、それの破裂と同時に溢れ出る光粒の霧に姿を隠しながら、玲と押し合っているシオンの頭上を通り、背後を取っていたのだ!
「…悪いけど、シオン。 アタシはハナからぶつかり合いで勝てるなんて思ってなかった。 アンタは人を拒絶した…。 その意思は近付こうとするアタシを真っ向から否定するんだ。」
ひとしきりの連射の後、四丁の銃はパワーを凝縮させ、光を銃口に蓄える!
「だからこうして……… 『アンタと同じ方向』を向いてやる!!!!!!」
銃口の先に凝縮された碧き光が爆ぜるように発射され、シオンの身体を強打! それを最後に、シオンは力なくグラウンドへと落下していった…!
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次話も見てくれよな!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




