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激戦炸裂ホビースピリット!!  作者: 本文・挿絵・管理『ENMA.STATE レベル2』  協力『ジオラマ偶像』
第4話『人の生きる場所』
26/29

ぶつかって… ぶつかって… 伝え合って――

『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!

サイトはそのままだ!!


※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。

玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。

玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。


…ただ、静かだった。 夕刻のグラウンドに吹く風が土を撫でる微かな音だけが響く。


 「………。」


 シオンは無言で、冷めた眼で見下した。グラウンドに倒れたまま微動だにしない水乃真奈を…!


 「…終わったな。」


 ラブアワーハンズのリーダー、ショウが語り始める。


 「『伍徳RIDE』…。 一般的なホビーファイターが繰り出す高威力技とは比較にならない威力を有するそれは、食らったが最期。二度と立ち上がることは出来ない。」


 その後に続くは例によってミソラ。


 「正に、呼んで字の如く、一撃必殺ですからね。私も『伍徳RIDE』を受けて継戦できたホビーファイターは見たことがありません。」


 「…でも流石に、 …やり過ぎッスよ。シオンさん。 今日の『伍徳RIDE』はいつもよりヤバかった。」


 サトルは戦いの手を止め、微笑とも苦笑いとも付かない表情を浮かべる。


 「ッッ…………。」


 巴心と彩祐佳も言葉が出なかった。このファイトの間、真奈は幾らかダメージを蓄積してきた。その上での、『蹴り上げ』『踏み付け』『地上激突』、そして『伍徳RIDEによる、超光3125倍速による突撃蹴り』。とても真奈が耐えられるとは思えない。間違いなく継戦不可(スピリットダウン)しているだろう。


 「…あと一人。」


 シオンは倒れた水乃真奈から眼を離し、ザッと地を蹴り旋回。 一人残った異物、針嶌玲に正対する。


 「…くぅぅ!!」


 玲は険しい目付きで歯を覗かせ、シオンとサトルを交互に睨んだ。


 真奈がやられ、状況は一対二。 相手チームより先に頭数を減らされたが故の数的不利が玲に伸し掛る。

 その上、現状は『チーム単位での総合与ダメージ』でも決して優勢ではないのだ。

 頭数で負けても総合的に勝っていれば、攻め方次第で逆転も十分に可能。しかし、その双方ともに有利に立てていない現在、状況は絶望。


 ――でも、負けられるかよ…!


 このファイトに負けると、真奈は、『2度と近付くな』というシオンの要求を飲まなければならなくなる。そうなれば、真奈がシオンとの友情を取り戻すことは不可能。真奈はそんなリスクを冒してでもシオンとホビーファイトを行い、魂をぶつけ合い分かり合う事を望んだ。 …負けは許されない。 



 二方向より音を立てて歩み寄るシオンとサトルの存在感が刃物になって玲を刺し、流血の様に冷や汗が滲む…!


 ――気圧されてる… 俺が! でも、そういうのは俺の意義じゃねぇッてのによ! クソォ!


 「…ゲホッ   ――ケホ、ゲホッ゛!」


 その時、静寂のグラウンドに木霊す、苦しそうに咳き込む声。その場の皆の意識が、その者に集中する。すると、その者の――彼女の指先が、首が僅かに動く…!


 「あ…、真奈!」


 巴心は叫んだ!

 水乃真奈は、倒れたままゆっくり首を持ち上げ、続いて両腕で支えるようにして上体を起こしてゆく。


 「…ぅぅう。」


 苦い唸りを吐き、足を踏ん張り立ち上がる…! 呼吸、重心とも乱れ、意識がはっきりしているのかも定かではない…が、ただ一つ確かなことがあった。 彼女からは僅かに精神波が迸っていた。 まだ、精神エネルギーが、ホビー魂が彼女の身体には残されていた…!!


 「信じられん…。 『伍徳RIDE』を受けて、まだ保つか…!」


 「あの水乃真奈という方の、どこにそのような力が…?」


 ショウ、ミソラ共に目の前の現象を信じられないが故の驚愕の声音。


 「ハア、ハア、ハア…。  うッ…。 ありがと…。 ギリギリ『アンタの盾』が間に合った…。 アンタのホビーが速くて助かったよ…。」


 「…気にすんな、 それより大丈夫… なのか?」


 そう… 伍徳RIDEを受けてなおも真奈が立ち上がれた理由は玲のホビーの速さと、その形状によるものだった。 シオンが真奈に伍徳RIDEを放つ直前、玲は『シオンの背から伸びる5本の光の柱』を見た。その異常な光景から直感的に『得体のしれない危機感』を感じ取った。 直後、その危機感のまま考えるより先に真奈に向け最大全速でゲイラカイトを飛ばし、その面形状…『盾』のような形状を利用し、真奈の身体を上から覆った。その『盾』にシオンの攻撃が命中したのだ!

 しかしやはりシオンの伍徳RIDEの破壊力は凄まじいものだった…!

 玲の『盾』で守られたにも関わらずその真奈は満身創痍。もしも、玲の判断が遅れていれば真奈に伍徳RIDEが直撃し、立ち上がることもできなかったであろう。シオンの伍徳RIDEとはそれほどまでに異常なほどの破壊力を持った技なのだ!


 身体をグラつかせた真奈を見て、玲は直ぐ様駆けよる。肩を貸し、真奈の身体を支えると、彼女は言った。


 「ハア、ハア…。 アタシは『まだ』…やれる…。 だって、『まだ』シオンに… アタシの想いも…、何にも伝えてないじゃん…? だから、今は『まだ』…、大丈夫…!!」


 ――大丈夫、なわけねぇよな。


 玲の目に『大丈夫』の根拠が映るハズがない。満身創痍は明白。呼吸は乱れ、顔色も良くない。だがしかし、真奈が纏うホビー魂から…、そこから迸る精神波から『まだやれる』と訴えかける強さを玲は感じた。


 「玲…。」


 「なんだ?」


 「次の攻防で、終わらせるから…。 勝つにしろ負けるにしろ…。」


 「………はいよ。 でも…」


 『無理はするな』という言葉が出かけ、玲は口を綴じる。今、無理をしてでも全力を振り絞らねば真奈が抱える強い意志が、後に真奈を後悔させる。 『無理はするな』という言葉で真奈の意思を邪魔することを玲は望まなかったのだ。


 玲は無言のまま、真奈の意思を自らの覚悟として取り込む。そして、支えていた真奈の腕を肩から下ろし、自らのゲイラカイトを構える。真奈も、グラウンドに落としていた2丁のウォーターガンを拾い上げ、深呼吸と共にホビー魂を漲らせてゆく。


 真奈はシオンを直視し口を開いた。


 「待たせたね、シオン。」


 「うん、待った。 人を待たせるにも程がある…アンタは。」


 言い終わると同時…、真奈、シオンともに、すぐに動けるように構える。


 「さぁて、ケリ付けんゼェ?糸坊主。」


 「その言葉、そのまま返したい気分スよ。チャラ男さん。」


 玲、サトルも同じく構える。 最後の攻防を前にして…!



 ファイト開始時よりもさらに沈んだ太陽が真っ赤な光をグラウンドへと投げかける。その赤光を浴びながら、巴心は静かに真奈を見つめた。


 ――その想いが、覚悟が、強いって事は私でも分かる。 そう思えるから、きっと上手くいくよ、真奈…!





 そして、四人動く! 真奈とシオンが、玲とサトルが…


 激突…  再開!!!!



 「――だぁあああああ゛ッ!!!!」


 その咆哮で、全身に染み付く痛みと倦怠感けんたいかんを引っぺがし、自らの意思、全神経を、そして両手の長銃をシオンへと向け…、 真奈は撃つ! 鋭く飛ぶ光弾からは満身創痍の感など無し! そして、その光弾を右に跳んで回避し、空中で身体を横回転させながらバックスピンキックの動作を取るシオン! 脚を振り終わると同時に彼女の姿は消失!真空SKIPだ!


 シオンは、不可視の真空トンネルを通り、真奈の左側面に瞬間接近!真奈は即座に反応し、左方に急旋回しながら左腕の長銃よりいち早く迎撃の光弾を放つ。だが、シオンは狙いの甘いその一発を上半身をよじって回避。直ぐ様、両脚を巧みに使って、舞うような連続蹴りを放った!両足の紙鉄砲が――鉤爪が、様々な角度で白い軌跡を描き真奈を襲う!


 「いい加減、しつこい!」


 シオン叫ぶ! 対して真奈は歯を食いしばり、躱せるものは躱し、躱せないものは銃身で防御し捌いていく。


 「アンタは要らない!! アンタとの記憶も要らない!!」


 怒気を吐きながら、右脚の鉤爪を一際強く光らせ、懇親のハイキックを放つ! 真奈は両腕の長銃でその重い一撃を受け止める! ホビーの接触面より迸る激光に顔を照らされながら、シオンは更に声を荒げた!


 「要らないって… 聞こえるように私が言って… アンタはそれを分かるハズなのにィ…!」


 「分かるよ、シオン! だから…!」


 「だから迷惑だ!!」


 「わかってる!!」


 真奈は、銃身を傾け受け流すように蹴りの圧力を捌いた!そして、直ぐ様バックステップにより距離を開けながら光弾を発射!

 シオンは斜め上に跳び上がってそれを回避。立て続けに放たれる射撃を蹴りで打ち消し、放物線を描きながら空中より接近していく!


 急接近するシオンを見、真奈は反射的に長銃の銃身を盾にしようとした…が。不意に、思案が過ぎる。


 ――逃げてるだけ、受けるだけじゃ何も伝えられない! これは、アタシの想いを伝える戦い…。 それが分かるなら、アタシの心をホビーに乗せて、こっちからぶつかる事が…!!


 瞬間…、一際大きな閃光が真奈とシオンの間より煌めき、轟音と共にスパークが爆ぜる!!

 飛び蹴りを放ったシオンの鉤爪とぶつかり合っているもの、それは…、碧き刃!真奈が携える長銃の銃口より伸びる『ワイヤードスプレッド』!!


 そう、今… 守りは捨てた!! 此処からは、ただ攻めるのみ!!


 「どうして私にこだわる!? どうせアンタには、友達なんて山ほどいるくせにさァ!!」


 「友達は数じゃない! それに…、アタシだって山ほど友達がいるわけじゃ…」


 「だいたいそう言うよ、アンタみたいな人はァア!」


 真奈の言葉に被せるように言い放ち、押し出すように弾き飛ばす!ふっ飛ばされた真奈は、後方宙返りで体制を立て直し、間髪入れず『ハイドロスラスター』により前方へと加速!シオンへと猪突する!右腕の長銃より光弾を連射して弾幕を張りつつ、左腕の長銃にはワイヤードスプレッドを展開!完全に、格闘戦を仕掛ける動きである!


 「シオン! アタシは、『あの時』のアンタの一方的な絶交を受け入れたわけじゃない!」


 「そう言って、今更アンタの都合で私に寄る? ただ不快を与えるためだけに!」


 真奈は懇親の力で攻撃を繰り返し、シオンもまた想いを込めて蹴りを放ち続ける! 真奈とシオン、2人の人間が、魂を乗せた衝突を繰り返す!


 「そうゆう風に考える理由が知りたいから、 …だから!  …アタシは!」


 「よくそう言う! それも演技? 情に厚い人だって他人から思われたいだけの!」


 両者は互いにぶつかり、互いに弾かれ、そしてまたぶつかり合う…!! 少しでも相手の体制を崩そうと攻撃を放ち続け、少しでも有効な角度を攻めようと動き回る!!

挿絵(By みてみん)

 真奈とシオンは延々と激突を繰り返しながらグラウンドを駆け抜け、上空を跳び回り、そこかしこで衝突の干渉波を爆ぜさせた!


 「シオン! アンタこそ、もういい加減にしてよ! あの時も、今も、分からないことを…、分からせようともしないでッ!!」


 その叫びに呼応するように、真奈の振ったワイヤードスプレッドの切っ先がシオンの胴を掠り、ホビー魂を削り取る!だが、シオンはそれに怯むこと無くさらに激しい接近戦を仕掛けていく!


 「『知らない』『分からない』って…嘘をいつまで!? あの頃のアンタが言った嘘… 今でも全部覚えてる!」


 「えっ…!?」


 「他人の言葉とか態度とか、私はそういうのを信じることが出来なかった…。でも、それでも…、もう一度人を信じてみようと思った。 それをアンタはァア゛!!!!」


 怒号と共にシオンが放った懇親の一撃は、ワイヤードスプレッドを軽々と打ち返し、真奈の身体を弾き飛ばした! 弾かれた真奈は体制を立て直しながら反論する!


 「違う!! アタシは嘘なんて言ってない!」


 「人は際限無く嘘を言える、演技が出来る生き物…! 誰でもその事を知るから、自分の言葉が嘘じゃないって自分では証明できない!!」


 疑心で栓をしたシオンの耳に、もはや真奈の言葉は届かない…。その事実に打たれ、真奈は目に影を落とす。だが、それでも戦意は失わず、更に激しい激突を繰り返しながら言葉を発し続ける!


 「そうだよ、アンタの言う通りかもしれない!人は幾らでも嘘を言える、演技が出来るってことは当たり前だし、周知の事実。ただ、その周知に目を瞑ったフリをしないと生き辛いってだけで…!」


 「そうだ!そうだから!!」


 「じゃあアンタは、今までずっとそういう考えを前提にして、そういう見方だけで人と関わってきたの!?」


 「…ッ!?」


 真奈の問いの意図を理解できず、シオンはいぶかしんだ!真奈は構わず言葉を続ける!


 「アンタのバンドチームの人達、言ってたんだ! 『壁を感じる』、『自分のコトを何も話さない』、『どこか信用されてない』ッて!」


 「だから何!? 利用されているかもしれない、馬鹿にされているかもしれない、本当は嫌われているかもしれない! 馴れ馴れしく打ち解けたら、みんなに嫌な思いをさせるかもしれない…!  それに…。」


 シオンは胸中に『要らない記憶』を思い浮かべながら真奈に反論するが…

 直後、真奈が叫びを張り上げた!!!!




 「人を疑い続けて、壁を作り続けて!! ・・・そうやってアンタは、『どれだけの人を傷つけて来た』!!!!」




 これまでとは違うその覇気にシオンは僅かに動揺する。


 「…『傷つけて来た』? 私がァ…!?」


 直後、一瞬の動揺で僅かに動きが鈍ったシオンの左肩を、真奈の射撃が深く掠り、ホビー魂を抉り取る!


 「あうぅッ!!」


 「理由もなく『人が信じられない』ってだけで疑われて、拒絶された人達の気持ちを考えたことがあるの!!?」


 「それは…。 だって…!」


 シオンは言葉を詰まらせる。 確かに思い返せば、『疑われた人』の気持ちを考えたことは無かった…。 真奈は更に続ける。


 「アンタの言うことも間違ってない!アタシだって、無責任に『人を信じろ』なんて言えない! でも人を疑うって事は、人を傷付けるって事で…! それは知らなきゃ…、受け止めなきゃいけない!!」


 シオンは、何も言葉が出てこなかった。 もし、自分が疑って拒絶してきた人達の中に、『嘘を持たない人』が居たとしたら、その人は傷ついたのでは? そして、その人を傷つけたのは自分ということになる?


 「でも…。」


 シオンは、真奈の言葉を否定するように蹴りを放ち続けたが、真奈はそれに押されること無く叫んだ!!




 「人の気持ちも考えないで…、自分を守るために人を疑って…、人に付けた傷を見ようともしない…!

  それがアンタだっつーんだよ!!!!!!!!」




 真奈の言葉がシオンの心に食い込むと同時、ワイヤードスプレッドがシオンの蹴りを押し返し、彼女の身体を弾き飛した!!


 …傷つけられる痛みを知る筈の自分が、人を傷つけていた!?


 「でも、そんな…。 でも…。」


 …認めたくない! 人を傷付けたいなんて思ったことはない! それに、自分をこういう人間にしたのは…


 「でも………   でも!!  それをさせたのは、アンタだろうがァアアア゛!!!!」


 シオンはその一声を最後に口を閉じ、上空へと繰り出す!!

 真奈もまた、全く同時に上空へと向かった!!

『激戦炸裂ホビースピリット!!』

 次話も見てくれよな!!


 ホビーファイト… スピリット・・・

 クラーーーーーッシュ!!!!

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