ただ、潰す
左利きに矯正し、作者名を『ENMA.STATE』から『ENMA.STATE-LHC』へと改めました!
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
――当てられた…!? あの水の刃に…! でもなんで!?
そう。 なぜ水乃真奈は想定外の方位からのシオンの攻撃より速く、ワイヤードスプレッドを振ることが出来たのだろうか?
「まさかもう見切ったのか? シオンの『真空SKIP』の…、 その性質を…。」
シオンがゲイラカイトを当てられた際の先の攻防、そしてワイヤードスプレッドで斬られた際の今の攻防を見たショウは静かに語った。
離れた位置から瞬間移動的に距離を詰める移動技…
シオンの立ち回りの基本動作… 『真空SKIP』…
任意の方向に蹴りを行うと共にシオンが持つ特殊な性質のホビー魂を飛ばす。そのホビー魂は空間に溶け込むと同時に周囲の粒子を押し広げ、『ごく希薄なホビー魂だけで構成された目に見えないトンネル』を作り出す。それを作り出したシオン本人が内部に飛び込むことで、超真空効果による『抵抗・慣性・質量』の無効化により、物理的限界を… 生物の知覚限界をゆうに超えた速度で彼女の身体は移動するのだ。一種のバキュームチューブトランスポートである。
そう、これが瞬間移動の正体。恐らくは特殊性質のホビー魂を持つシオンだけが習得可能な技にして、遠距離攻撃を持たない彼女にとっての唯一無二の武器!! 『真空SKIP』!!
…だが
「――『真空SKIP』には二つの弱点がある。一つは、移動の前にはトンネルを作る動作、つまり一瞬とはいえ『蹴りを放つ動作が必要』であるということ。そしてもう一つは、移動速度が速すぎるせいで方向転換ができない。つまり、『殆ど曲がれない』ということ…。」
地に倒れたシオンを見ながらショウとミソラは語り始める。
「針嶌さんと水乃さんは木の影に隠れて、ファイト中に知り得た『真空SKIP』に関する情報を共有し合い、その技を攻略するための作戦を立てていたのでしょうね。」
「だろうな。でなければ、ああはならないと言える。 …あそこまで上手く連携が冴えることなどな。」
二人の連携はこれら『真空SKIPの弱点』を突くことによって成り立っていた。
『シオンが、玲のゲイラカイトの予測攻撃を躱して攻撃すべく真奈の左側面に回り込んだと同時に、真奈のワイヤードスプレッドが直撃した攻防』において、真奈はシオンと対峙しながら、二つのことを心掛けていた。
一つは『シオンと対峙しながらも、常に玲も視界に入るように立ち回ること』
もう一つは『シオンが消えたら、直ぐに両手の銃にワイヤードスプレッドを展開し、頭上から自らの左右側面に向け振り下ろすこと』であった。
『玲が視界に入るように立ち回る』ことで、玲に近づくサトルの糸電話を確認し、直ぐ様撃ち落とすことで、玲への攻撃を防ぐ。こうすることで、玲は上記の様に『シオンを狙う』ことに集中することが出来るのだ。
そして、『シオンを見失うと同時に頭上から左右側面目掛け振り下ろし攻撃を行う』ことで、左右、または頭上、つまり自分の視界の外に『真空SKIP』で移動し、それらのいずれかかから攻撃を仕掛けてきても、『シオンの位置を確認する前に迎撃する』事が出来るのだ。
自身の前方は、玲が確実に仕留め、頭上と左右は、『左右への振り下ろし攻撃』で即時迎撃。 自分が常に地上にいれば、下から攻められることはない。
残るは背後だが、実は『背後への即時迎撃手段』は必要ない。
ある地点から、ある物体の裏側へ移動するルートを引くには、必ず『ルートを曲線にする』か『直線を1箇所折り曲げる』かの2択しか存在しない。つまり、『弧を描いて移動する』か『直線移動を2回行う』かの2択だ。しかし、シオンの『真空SKIP』は、真奈の『ハイドロスラスター』のように滑らかにカーブすることも、琉樹の『エアダイブ』の様にスキなく連続発動できる小回りがあるわけでもない。つまり、『殆ど曲がれない真空SKIP』により真奈の背後に瞬間移動するという事象は起こり得ないのだ。
戦いの中で知り得たこれらの情報を分析し、作戦を立て、連携を組み立てた真奈と玲の状況対応能力は感嘆に値…!
サトルは、真奈の一撃により倒されたシオンを一瞥し、直ぐ様真奈に猪突!
「くぅッ…。 ならぁ!」
――俺が針嶌玲、シオンさんが水乃真奈に仕掛ける状況に相手が連携で対応してくるなら…、 俺が水乃真奈にだけ集中的に仕掛けて、針嶌玲をシオンさんに任せればいい。 こちらから状況を変えてやれば、さっきの連携では対応できないハズ…!
サトルは水乃真奈に攻撃を仕掛けていく! 一方のシオンは無言のまま起き上がり玲に正対!
「またお前が相手っつーんだな。 来てみろよ、今度は俺がブッ叩き落とす番だぜ?」
玲は、目の前のシオンのその更に後ろで繰り広げられる真奈とサトルの射撃戦を視界の端に捉えながらも、シオンに意識を集中させる。真奈はこれまでにかなりのダメージを受けているハズだ。出来る事なら直ぐ様シオンをスピリットダウンさせ、数的優位に立ちたいところである。
突如、シオンは垂直蹴りの様に、右脚を天に蹴りあげる!
――来る!
『真空SKIP』の出だし動作『蹴りの空振り』だ。玲はゲイラカイトを盾のように前方に突き出し身構えるが、目の前のシオンが姿を消す気配がない。「フェイント?」と胸中に疑問を浮かべた直後、シオンは垂直に蹴りあげた右脚を踵落としのようにその場で勢い良く振り下ろす。振り下ろされた右足は、振り子のように地面をかすり、その勢いのまま後ろへ流れる。後ろに蹴り上げられた右足のその先には…、射撃戦を繰り広げる真奈とサトルがいた!
…つまり。
――俺狙いじゃねぇ! 水乃だ!!
此処からは正に一瞬… 瞬間的な出来事だった!
後ろに蹴り上げられた鉤爪は、空を切り裂き後方の真奈とサトルの戦場までトンネルを押し広げる!玲は隙かさずゲイラカイトを突撃させるが、それが命中する一瞬前に、バックステップをとったシオンはその姿を消失させ、次の瞬間には真奈のすぐそば、右隣に出現!気付いた真奈は直ぐ様対応して見せようとしたが、時既に遅しィ!!
シオンは上体を深く前に折る!そして前に倒した上体を一気に持ち上げ後ろに反らせる!するとシオンの全身が後方に急回転し、左脚が力強く跳ね上がる!サマーソルトキックだ!回避は間に合わず、真奈はそれを反射的に右手の長銃で受け止める!両者の間より広がる衝撃波に髪を靡かせ、ショウは胸中に唸った!
――やはりか! 『伍徳RIDE』!!!!
瞬間、サマーソルトの蹴圧により真奈の身体は弾丸の如く風を切り、遙か上空へと吹き飛んだ!シオンは蹴り上げの勢いのままに、後方に全身を五回転させた後、姿を消す!
玲は蹴り上げられた真奈を見上げ、そして息を飲んだ。 真奈のその更に高高度に人影が見えたからだ!
地上からでは点に見える小さな人影は、真奈に向け急降下!それは、先程のサマーソルトキックによる一撃と同時に作り出した『真空トンネル』を潜り、蹴り上げた真奈を追い越す速度で高高度へと飛翔したシオンであった!真奈に向け急降下したシオンは、脚で獲物を鷲掴みにする隼の如く、真奈の胴に蹴りを見舞う!!
「お゛ォウッ…!!」
急上昇する身体に急降下の勢いを乗せた踏みつけ!凄まじい衝撃に真奈の口から苦い息が漏れた!
シオンは真奈を踏みつけたまま地表に向け超高速で落下!断熱圧縮により赤く熱された空気の膜を纏いながら落下する2人は、正に大気圏を駆け降りる流星の如きか!
それは瞬く間に地表へと激突!轟音と共に衝撃波が周囲に走り抜け、グラウンドの砂が爆ぜるように飛散する!
玲は… その砂を浴び、真奈の声にならない声を聞き… 絶句した。
――オイ冗談だろ…!? 蹴りあげて、蹴り落として。 最後にあんな勢いで地面とプレスするとか…
一方、玲の双眸より驚愕の意を読み取ったショウは、胸中に語る。
――驚くか、玲? だが、今のは『伍徳RIDE』ではない。今の叩き落としは…、ただの『処刑台の作成と、そこへの移送』だ。
地上に真奈を叩きつけたシオンは、間をおかず再度高く跳び上がる!玲は更なる驚嘆を発した!
「なんだ…!?」
遙か上空よりシオンに向け伸びる5つの光の帯…!
…先程、真奈を蹴り上げた直後の後方への五回転の際に発生させたモノ。上空への五連サマーソルトにより発生させた、『五本の真空トンネル』…。
それはまるでシオンの身体から天へと伸びる5本の柱のようである!
…真空トンネルによる直線限定の神速移動技『真空SKIP』の限界速度は、光の速度にさえ達する…。
その『真空SKIP』の速さの源たるトンネルを5本、その背に背負うシオンがゆっくりと、重く、眼下の真奈に声を落とす…。
「 全 く 、 程 を 知 ら な い ヒ ト っ て の は ・ ・ ・ ど う し て こ う ま で 鬱 陶 し い ? 」
質量も慣性も超越させる真空トンネルは5本同時に、周囲の『有の空間』より圧縮され、そこから生まれた速度エネルギーが一気にシオンの背中に雪崩れ込む!!
そしてその速度エネルギーを背に受けたシオンが真奈に向け超光速度急降下を仕掛ける!!
『光の速度を生む真空トンネル』の圧縮エネルギーは『光さえも超越する速度』を生み、それを5本ぶん同時に取り込むシオンの体内では5つのパラレル空間が同時に折り重なり合い、それが崩壊するのと同等のエネルギーが生まれ、光を超えた速度の5倍…、 否… 否ァッ!
その身体は光を超えた速度の3125倍にまで加速するのだァ!!!!
超光3125倍速!!!! 故に一撃必殺!!!! 故に回避不能!!!! 『処刑台』に叩き付けられた時点で真奈の命運は尽きたのだ!!!!
『伍徳RIDE』とは正しく、五重五倍五乗のデストラクティヴパワー!!!! 全てを破砕し押し潰し粉砕せしめん超光速五重爪蹴圧撃であるのだ!!!!
「 伍 徳 ・ ・ ・ 、 R I D E ! ! ! ! 」
…地面に叩き付けられ呼吸もままならず、意識も朦朧とする中、真奈は見た…
シオンの服の色が、肌が髪が、そして足先の鉤爪の輝きが真っ直ぐ引き伸ばされ溶け合ったようなグラデーションの軌跡が迫る様を…。
人間弾丸が自分を圧殺せんとする様を…。
瞬間、グラウンドから暴力的な閃光が膨れ上がり激震が迸る! 爆風が皆の身体を叩き、鼓膜が破れんばかりの轟音が大気圏を突き破った…!!
「 こ れ で ・ ・ ・ 、 終 わ れ る ・ ・ ・ 。 」
視界を塗りつぶす光の中、シオンの呟きだけが刺すような明瞭さで響いたのだった…。
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次話も見てくれよな!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




