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激戦炸裂ホビースピリット!!  作者: 本文・挿絵・管理『ENMA.STATE レベル2』  協力『ジオラマ偶像』
第4話『人の生きる場所』
23/29

アヘッド・オブ・フォーカス

『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!

サイトはそのままだ!!


※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。

玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。

玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。

 「オイどうした、真奈?」


 直ぐ近くより発せられた男の声が過去の情景を霧散させ、意識を現実に引き戻す。意識が過去を巡っていたのは時間にしてみれば一瞬だが、その間に多くの情景が胸中を流れた気がする。眼前の玲の顔がハッキリと網膜から脳に取り込まれ、真奈は慌てて返事を返した。


 「ううん! 何でもない。」


 「そうか。んじゃそろそろ行くかな。」


 先程、真奈がバブルファインダーで気泡の煙幕を展開し相手の視界を封じたスキに、2人は校庭の隅にある大木の裏へ身を隠していたのだ。


 「ここから飛び出したら一気に散開。後はわかってンよな?」


 「うん、オーケー…!」





 一方――


 「こんな時にアレなんスけど、シオンさんはどうして軽音部に入ったんスか?」


 校庭の中央で視線を左右に巡らせながらサトルは前触れ無く問いかけた。 ファイト中に聞くようなことではないと思ったが、不意に生まれた衝動が口を急かせた。数秒の間をおき、彼女は言葉を返す。


 「音が無いと歌えないから。」


 「音…?」


 「無伴奏歌唱(アカペラ)って苦手で…。」


 「…あ、はい。 なんか意外ッス。」


 「…やっぱり迷惑だよね。 私がいると。」


 「えっ!? …いや、そういう意味で言ったんじゃないッス。 俺はただ…」


 「みんなは私に『音』をくれる。代わりに私はみんなに『歌』をあげる。 バンドってそういうモノでしょ…?」


 「はい。 まあ、そうなんスけど…。」


 そのとき、視界に写る大木より飛び出した2つの人影が、後に続く言葉をサトルに飲み込ませた!


 「…来たッス!」


 サトルは直ぐ様身構える!そして、彼の声に反応するように、シオンもまた飛び出した人影に正対した!真奈と玲は、大木の陰から左右に分かれるように飛び出し、その勢いのまま左右に大きく散開する!真奈はハイドロスラスター、玲はライディングスタイル、全速力の散開!


 「――挟撃ッ!」


 サトルの口からその言葉が漏れた瞬間、真奈は2丁の長銃より光弾を連射し、玲も高速移動形態(ライディングスタイル)から遠隔操作形態(リモートスタイル)に移行し、ゲイラカイトを次々と突撃させて来た!

 挟み込むような位置取りで次々と放たれる攻撃は、背中合わせになったサトルとシオンを嵐のように襲い反撃の暇も与えない!


 真奈と玲は巧みな位置取りで、サトルとシオンの2人が同時に射線に入るように動いているのだ。こうすることで2人が放つ攻撃は、サトルに躱されてもシオンの背後を捕らえ、逆にシオンに躱されてもサトルの背を撃つことになる。

 サトルがそのことを理解した瞬間、刀身を横に寝かせたような横に大きく広がる碧光が迫ってきた!真奈が横薙ぎに射出した光の刃である!


 ――あのサイズの攻撃じゃ、俺が躱してもシオンさんの背中に当たる…!


 サトルは直ぐ様、右腕より伸びる糸電話を横薙ぎに振り抜き、光の刃を弾いて霧散させる!背中を預け合うシオンを攻撃から守り、「――よし!」と胸中に呟いたその時…


 「うあああぁあ!!?」


 胴が折れるような強烈な衝撃が自身の背を打ち、視界に写る天地がメチャクチャに入れ替わりだした!


 ――直撃をもらった!!?


 背後からゲイラカイトをぶつけられ、その衝撃で自分の身体が弾き飛ばされ地面を転がっているのだと瞬時に理解する!直ぐ様、糸電話を触手のように使って跳ぶように起き上がりながら声を張り上げる!


 「上ッスよ!!」


 まずは挟撃から逃れ体制を立て直すべく、シオンと共に上空へ跳び上がろうと判断したのだ。だが、元いたはずの位置に彼女の姿は既になく、サトルは上を見上げる。

 すると頭上には既にシオンの姿があった。どうやら、挟撃から逃れるためにワンテンポ早く跳び上がっていたようである。

 サトルも挟撃から逃れるべく地を蹴り上方へと跳び上がる。シオンの対応速度に感嘆するも、「逃れたのなら一言くらい声掛けて下さいよ」と口から文句が出かかり、彼女を一瞥する。


 シオンは、地上より真奈が発射する光弾をスピンキックで霧散させ、直後その姿を掻き消す。そしてやはり、真奈の眼前にて姿を表し、激烈な接近戦を仕掛けていった。


 シオンの蹴りを受け止めた真奈は、直ぐ様牽制の射撃を撒きながら後退を始める!そして、当然の如くそれをシオンが追い始める!先程と同様、シオンが攻勢!


 ――何はともあれ、シオンさんは確実に水乃真奈を追い詰めているッス。水乃真奈がスピリットダウンするのも時間の問題ッスね。後は俺が針嶌玲を押さえることが出来れば、このファイトは…、勝ち!


 サトルは着地の直後、バンダナ下から覗く右目で玲を睨むと同時、四本の糸電話を彼に向け伸ばしていく!すると、玲は手刀を当てるように右腕を縦に振った!これまでの攻防により、この動作は、上空を漂うゲイラカイトによる頭上への強襲の予兆だとサトル理解していた!


 ――来る…!


 サトルは直ぐ様右に回避運動を取る!そしてこの直後、サトルが元いた場所にゲイラカイトが急降下する…   ハズだが、来ない。  『フェイント!?』と直感し、ゲイラカイトが漂っているであろう上空に視線を転じようとしたその時…


 「うあぁ!!?」


 視界外より木霊する激突音と悲鳴!そして、砂を吹き散らす衝撃波!『シオンさん!?』と叫びながら視線を向けると、グラウンドを転がる彼女の姿があった!おそらく、真奈に攻撃を仕掛けようとした瞬間に、玲によって背中からゲイラカイトをぶつけられたのだろう。そう、玲は、サトルと対峙する風に見せ、初めからシオンを狙っていたのだ!


 ――アイツを押さえきれなかった… でも!!


 玲の攻撃をシオンに通した自責に駆られたサトルは、全速力で4つの糸電話を操作! 一瞬にして玲を全方位より包囲する!


 「アナタは…、俺が…


 だが、『俺が…』の後に続く言葉がサトルの口から出ることはなかった。玲を完全包囲したの4つのカップに、突如飛来した光の弾が次々と着弾し、衝撃でカップは弾き飛ばされる!それを見たサトルは風を切る勢いで振り向く… エメラルドの光弾が飛んできた方位を…!


 「水乃真奈ァ!」


 サトルの叫びを浴びる真奈は、無言のまま微かに頷くような動作を取る。そして彼女の視線の先の玲も、真奈の意思を感じ取り微かに頷き返した。まるで、互いに何かを確認しあっているかのように。


 「この2人…!」


 シオンは地面から起き上がりながら真奈と玲を睨む。


 シオンが真奈に攻撃を仕掛けようとした瞬間に、死角に居た玲によりゲイラカイトをぶつけられ、その玲のスキをサトルが突こうとした瞬間を、真奈が防いだこの攻防。

 これら、全て作戦通りだとでも言うのだろうか?そんな浅知恵に振り回されるのは…  そういうのは許せなかった…!


 手の上で転がされた気分になったシオンは真奈を暗く睨み怒気を送る。すると、その気を受け取った真奈が応える様にシオンに向け左右の長銃より光弾を発射!

 碧光が…  憎むべき人間が吐き出す、胸の奥を煮えさせる光がまたも迫る…


 「してやったって…、言う?」


 煮えた余剰熱が、後の語気を跳ねさせた!


 「――その顔がさァ!!?」


 迫る二発の碧光を叫んだ勢いで蹴り散らす!そして直後、その姿を掻き消すシオン!



 …それは同時だった。 『真奈の眼前にゲイラカイトが落下する』のと、『真奈の左側面にシオンが姿を表す』のは…!

挿絵(By みてみん)

 同じ手に二度掛かるシオンではない。 真奈の眼前に出現するタイミングに合わせ、玲がゲイラカイトをその場所に降下突撃させてくるなら、真奈の『正面』ではなく『側面』から攻撃すればいいだけのことなのだ。

 玲は、シオンが瞬間移動を終了し攻撃動作に移る『タイミングに合わせ』、移動の終了地点が真奈の眼前だと『予測して』攻撃しているに過ぎない。

 予測で来る相手には、予測をズラして対応すればいいだけのこと。


 真奈も、玲も、今この瞬間、シオンが真奈の左側面から攻める状況は想定外!


 必中は確信…、 蹴り潰せる!



 シオンは、目の前の真奈の横姿に懇親の右足のハイキックを――




 放とうとしたときには既に、シオンの視界は上から下に碧一色に染められ、聴覚は滝に打たれるような轟音に支配された!肩、胸、腹へと一気に衝撃が流れ、一瞬遅れてそれらの箇所から彼女のホビー魂が光の粒となって大量に溢れ出る…!



 衝撃で吹き飛ぶ彼女の身体。 空中で姿勢を立て直すことも忘れ、半ば放心状態のまま放物線を描き、派手な音を立てグラウンドへと落下する。


 ――当てられた…!?  あの水の刃に…!  でもなんで!?


 そう。 なぜ真奈は想定外の方位からのシオンの攻撃より速く、ワイヤードスプレッドを振ることが出来たのだろうか…?

『激戦炸裂ホビースピリット!!』

 次話も見てくれよな!!


 ホビーファイト… スピリット・・・

 クラーーーーーッシュ!!!!

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