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激戦炸裂ホビースピリット!!  作者: 本文・挿絵・管理『ENMA.STATE レベル2』  協力『ジオラマ偶像』
第3話『旧友の歌声』
17/29

そして… 火種は作られる

『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!

サイトはそのままだ!!


※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。

玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。

玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。

 帰路へ着くべく体育館を出て正門へと歩む真奈達4人。高く登っていた太陽はその高度と角度を僅かに落とし始めていた。

 学園の出口、つまり正門が見えてきたあたりで、4人のうち真奈一人のみ足取りが若干重くなる。まるで、向かい風に押し戻されるように…


 ――このままこの正門を潜れば、アタシとシオンの繋がりは今度こそ完全に無くなってしまう。確かに、修復不可能なほどに壊れた友情なら、このまま完全に消失させたほうがいいのかもしれない。アタシもシオンも今以上に傷付くことはない。

 でも、そのことは確かなのに…、『何か』引っかかる。それじゃダメな気がする…。



 アタシにはまだ…



 「真奈…、どうしたの?」


 前方から巴心の声。真奈はその声で我に返る。どうやら、頭の中で思いを巡すうちに、足が完全に止まってしまっていたようである。真奈を除く3人は、6メートルほど先から真奈の方を振り返っていた。


 「…みんなは先帰ってて。」


 「えっ…?」


 真奈は、不意に打たれたように告げると皆の言葉を待たずして、一人校舎の方へと足速に引き返していった。


 「おい、真奈…!?」


 声を上げる玲。

 突然のことに驚きつつも、玲と巴心、彩祐佳は心配そうに真奈の行方を見つめていた。



 ………………



 機材の片付けは思いのほか速く進んでいた。シオンとサトルが体育館に戻ったときには、既に殆どの機材は片付けられており、2人は手持ち無沙汰(ぶさた)となり周りを見渡す。

 それぞれチームごとに固まり、雑談や、演奏の反省点などを議論しながら楽器を背負い、体育館の外へと少しずつその姿を消していく軽音部員達。そのなかに、ショウ、ミソラ、スーの3人が向い合って会話をしている光景が目に止まり、シオンとサトルはその3人の方へ移動し合流する。


 そして5人全員が集まり、自然と円を描くように向い合って立つメンバー達。


 そのとき、体育館に1人の部外者が舞い込んできた。部外者はまっすぐにラブアワーハンズの方へと歩き出す。メンバー5人の内、ショウ、ミソラ、サトル、スーはその方向へ顔を向ける。だが、シオンだけは微動だにしなかった。無論、直ぐそばに近付いて来た部外者に気付いていないわけではない。顔を合わせたくなどないのだ。 この部外者…、水乃真奈とは…!


 重く、沈降する周囲の空気。真奈はシオンに歩み寄りながら恐る恐る口を開く。


 「シオン、アタシさ…」


 だがそこから先、言葉を続けようとしたが続けられず、沈黙の間を作る。


 「アンタ、まだいたんだ…。」


 シオンは口を開くが、その目線は真奈の方へと動くことはない。それに対し、サトル達4人の視線を浴びる真奈は、気丈に喋りだした。


 「…1つ、お願いがあるんだけど。」


 「………。」


 やはりシオンは動かない、完全なる無視。だが、それをあえて気にすることなく――否、気に止めた素振りを見せること無く、真奈が次に発した言葉は意外なものだった。


 「アタシと…、ホビーファイトしない?」


 「…ッ?」


 突然のホビーファイトの申し入れ。シオンは少々驚き、呆れたように真奈の方を振り向く。

正直…、全く訳が分からい、といった顔。


 「昔、アンタとアタシでファイトしたことあったよね? あの時みたいにもう一回やらない?」


 「何でそんな事しないといけないの?」


 「アタシは、アンタにあの頃の楽しかった気持ちを思い出して欲しい…。」


 「そういう理由で…、ファイトを?」


 シオンが真奈に向ける眼差しは厳しく、その声には嘲笑(ちょうしょう)と疑念が溶け込んでいた。


 「一戦だけでいい…。 短い間だったかもしれないけど、あの頃、アンタとアタシは間違いなく親友だった。 だからもう一度ホビーファイトをすれば…、魂をぶつけ合えばきっとあの頃に…」


 「うっさいなアンタは!」


 シオンは静かなる苛立ちを声に乗せ、真奈にぶつける!  それに気圧され、真奈は言葉を詰まらせた。


 「全く…、自分の都合と考えだけで…。 図々しいにも程がある…! 帰って…、さっさと!!」


 「帰らない…!」


 真奈はシオンの怒気を押し返すようにはっきりと言葉を紡いだ。相手の主張に真っ向から抗する言葉を…!


 「アタシは帰らないから…、だから…、アンタが『力づく』でココから帰らせてみてよ…。アタシを…!」


 「………ッ!!」


 僅かに目を見開くシオン。そう、ホビーファイター同士の会話で『力づくで』という言葉が意味するところ… 正に一つ!


 『ホビーファイトで打ち負かしてみろ』…


 つまり、真奈の言葉の要約、

 即ちそれ…、

 『私を帰らせたいのなら、ホビーファイトで倒してみろ』の意…!


 言葉の意味を解したシオンの目は再び細められ、しばし考えこむ。だがその直後、不意にシオンのすぐ隣から伸びるは男子の声。


 「シオンさん、こんな人の言うことなんて聞くことないッス!」


 声の主は、先程控え室でも真奈に突っかかってきた男子、サトルであった。彼はバンダナの下より(のぞ)く右目を鋭利に細める。


 「…いいッスよ真奈さん。アナタの言うとおり力づくで帰らせてあげるッス…。」


 サトルの方をチラリと見る真奈。シオンも黙したままサトルの出方を横目で観察する。


 「――俺が…、『力づくで』アナタを正門まで叩き飛ばしてやるッス!!」


 ピシャリと言い放たれたサトルの意思。それは、シオンではなく、自分の手で真奈を倒すという意思。それに対し、真奈は抗する。


 「アタシはシオンとやりたいって言ったけど? 分からず間に出るなっつーの!」


 「アナタが図々しいからッスよ!」


 今度は真奈とサトルが互いに言葉をぶつけ合う。

 真奈、シオン、サトルの3人がいる空間は、彼等の苛立ちが可燃性ガスとなり充満しているかのようだ。今にも、ちょっとしたきっかけで火花が飛び散り、ガスに引火して一瞬で燃え広がりそうな気配を感じる。


 「………。」


 リーダーのショウでさえ今は何も言えなかった。(ただ)でさえ入り組んだ口論、更にその口論にはチームとは無関係の人物、真奈も絡んでいる。チームリーダーといえどこの口論を辞めさせる術をショウは持たなかった。


 その時である…!


 「…ッ、やるから。 一戦だけ。」


 「シオンさん!?」


 突然発せられたシオンの一言に、サトルは思わず素頓狂(すっとんきょう)な声を上げ、シオンの方に頭部を回転させる。


 「どうせコイツさ…、自分の要求が通るまで動かない。 確か、そういうヤツだったと思う。」


 シオンは、サトルにそう説明すると、再び真奈に鋭い視線を戻す。


 「でも、条件…、一つあるんだけど。」


 「…条件?」


 真奈の眉がピクリと動く。シオンは、より一層口調を強め、ハッキリと言葉を紡ぎ出した。



 「私が勝ったら、『2度と私の視界に入らないで』…!!」



 その一言が、真奈に対するシオンの感情をそのまま表現したものであったことは言うまでもない。1度だけ戦って、それに勝てば、もう水乃真奈という自らを苛立たせる存在は永遠に目の前から消え失せてくれるのだから。対する真奈は、予想外の条件提示に僅かに困惑し、目線を斜め下にズラし黙りこむ。 しかし、直ぐにシオンの眼をまっすぐに見つめ、こう言い放った。


 「…わかった、その条件でいい。ワガママ聞いてもらってんのはアタシの方だし、どんな条件でも構わない。 …アタシが負けたら『二度とアンタの前に現れない』って約束する…。」


 この瞬間、互いに要求を飲むことで、真奈とシオンとのホビーファイトは成立。だが、1人割って入る者がいた。

 サトルである。


 「シオンさん。ここはやっぱり俺にやらせて下さいッス!」


 そう言い張るサトルに、シオンは軽い声で静かに告げる。


 「いいって、私がやる。 コレさ、別にアイツの要求を飲んであげてるとか…、そういうのじゃないから。」


 「…?」


 言葉の意味を測りかねるサトル。シオンは何を見るとも無く視線を泳がせ続ける。


 「私自身の心でアイツを真っ向から否定しないと… アイツは否定されてるって気付けない。」


 「でも、ココは俺が…!」


 シオンだけではない。サトルも、真奈をいけ好かない人物だと感じていた。 そして、ファイトで真奈にその感情をぶつけたいと考えていたのだ。

 だが、基本的にホビーファイトは1対1で行うものであるため、シオンかサトルの何方か一方しか真奈と戦うことはできない。とはいえ、今の、気の立った様子からして、何方か一方が引くということは考えにくい。


 今度はシオンとサトルの口論が始まるかと思われたその時、体育館の入り口より男の声が響き渡った。


 「じゃあ、2人一緒にやりゃいいじゃんかよ。」


 聞きなれた声に、真奈は反射的にその発生源を振り返る。


 「玲!? それに巴心、彩祐佳! 皆なんで?」


 声の主は玲。その後ろには巴心と彩祐佳も立っていた。彩祐佳は、こちらへ歩を進めながら口を開く。


 「真奈は『理由』を確かめたいと思ったから、ここに戻ってきたんだよね? 理由もわからないまま友達を失ったことが納得できなかったんだよね? 私には、理由を求める人の気持ち、少し分かるから…!」


 真奈の様子を見に行こうと提案したのは彩祐佳だった。


 「…そっか、ありがとう。」


 真奈は、僅かに表情を軟化させ3人を見つめた。友人達が自分を心配してくれるのはやはり嬉しい。だが、自分とシオンとの問題に、3人を巻き込みたくないという思いもあり、素直には喜べない部分もあった。不意に玲と目が合い、真奈は、『2人一緒にやればいい』という先程の彼の言葉を思い出し、その意味する所に疑問を持った。


 「…で、玲。『2人一緒にやれば』ってどういう事?まさかアタシ1人でシオンとサトル2人相手にしろとか?」


 当然の疑問。1対2では数の差は2倍。明らかにフェアとは言えず、ファイトを成立させることはできない。玲は、真奈の疑問に対し軽い口調で答える。


 「オイオイ、そりゃただの無茶振りだろ? 『2on2(ツー・オン・ツー)』だよ、『2on2』。」


 「あー、そういう事。」


 『2on2』とはその名の通り『2人対2人でファイトを行う』という意味である。成る程、これならシオンとサトルが2人でチームを組み、真奈も誰かとチームを組むことで、2人対2人の戦いとなり、シオンとサトルが望み通り真奈と戦えるというわけなのだ。

 数秒考えた後、玲の提案に対し先に答えを示したのは、真奈ではなくシオンだった。


 「チーム戦はあんまり好きじゃないけど…、まあ、それでいいよ。 …サトル、アンタは?」


 「はい、俺もチーム戦は好きじゃないけど、OKッス。」


 2on2形式を承諾したシオンとサトル。


 「…で、アンタは?」


 シオンに昔の気持ちを思い出させることが目的であるなら、2on2より1on1、つまりシオンとの1対1でのファイトであることが望ましい。だが、それが成立困難な以上、2on2で妥協するしか無い。また、たとえ2on2であっても、自分の相方にサトルの相手を任せれば、実質的にシオンと1対1でファイトすることも可能となる。そこまで考えた所で、真奈はゆっくりと答える。


 「…アタシもそれでいい。『2on2』で…!」

『激戦炸裂ホビースピリット!!』

 次話も見てくれよな!!


 ホビーファイト… スピリット・・・

 クラーーーーーッシュ!!!!

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