チーム・ラブアワーハンズ
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
…ふと、玲が自分たちをこのライブに誘ってきたときのことを思い出した真奈。そうしているうちに、ステージの上ではMCを終えたバンドチームが舞台袖へと次々と退場していくのが見えた。
その時、前触れ無く頭の中に琉樹、良囲、空珠達3人の顔が浮かぶ。
――そういえば今頃、琉樹達なにしてんだろ? 玲はあのとき『マキキョウダイがどうたらこうたら』とか言ってたけど…。
突然、エレクトリックギターの猛々しき音色が真奈の耳朶を震わせた。ステージの方を見ると、そこでは次のチーム、『ラブアワーハンズ』の5人の面々が定位置につき、それぞれが担当する楽器から軽く音を出し、楽器や機材の調子を伺っていた。まもなく彼等の演奏が始まるようである。
「ッ………!?」
突如、ステージ上の奏者達の姿を見ていた真奈は、息を飲み僅かに目を見開いた。そして玲に問いかける。
「…玲。このチームの『メンバーの名前』教えて…!」
「ああ、いいぜ? えーと、まず左でギター持った背の高ぇ男子がリーダーの『ショウ』、右でベース持ったピンクの服来た女子が『ミソラ』、後ろの、おかっぱ頭のキーボード担当の男子が『スー』、そのとなりの、片目隠してるドラム担当の男子が『サトル』、
で…、中央のヴォーカルの女子が『シオン』だ。」
――『シオン』! そうか、やっぱり…。
玲の説明を聞いた真奈は、何かを納得したように、喉を震わせることなく口元だけで一言そう呟いた。その何気ない様子を見ていた巴心は、真奈に声を掛ける。
「真奈、どうしたの?」
真奈は巴心の方を振り向き、続いてステージの方を軽く指さす。
「ステージの真ん中でギター持ってる、あの『シオン』ってね…、アタシの…昔の友達なんだ。」
「昔の友達…?」
「うん、何年も前の、昔の友達…。」
真奈の瞳の中央に映り込むシオン。脱力したような瞼が少し落ちた暗い目付き。頭髪はハネ気味のパサパサとしたショートカットで、後ろ髪はそのまま下ろすと同時に、幾束かは頭の後部のやや上で纏められ、後ろに向かいフワリと流れている。後ろ髪を纏めているのは漏斗状に形作られた布。その漏斗状の布はロケットなどのブースターを連想させ、その中から後ろに流れる髪は、まるでブースターノズルより噴流される炎…、に見える者もいるかもしれない。
薄い黄土色のノースリーブシャツは、胸の下あたりで左右に分かれ、布が腰の辺りに垂れ下がっている。その腰まで垂れ下がった部分は朱に塗り分けられ、その部分自体が大きなポケットになっている。
首に巻き付くように羽織られたケープは右の肩と腕を覆い、首の後ろ側は羽毛で覆われ、そこから細長い羽飾りが放射状に4本垂れ下がっていた。
紺のショートパンツはダメージ感を演出するように、裾の部分が解れると同時に脱色されている。
「髪型とか雰囲気とかぜんぜん違うけど、やっぱりアイツ、シオンだ…。」
「…ッ?」
懐かしい友人を眺める真奈の瞳…。それなのにその瞳は、何処か寂しさを感じさせるものに見えた。
――程無くステージ上で演奏を始める『ラブアワーハンズ』。彼等の演奏音が、ヴォーカルを勤めるシオンの声が、アンプにより増幅され、体育館内に響き渡り、真奈の耳に滑りこんでゆく。
そして、その歌声は――旧友の歌声は――真奈の心の奥へと染み込み、古い記憶を想起させた…。
――シオンとはあの頃よく一緒に遊んでたっけ…。シオンは親友だった…。
でも、それは長くは続かなかった…
あの日から… アタシ達の繋がりは、突然壊れてしまったんだ…
………………
ライブが終わり、観客たちが次々と体育館より出て行く。巴心と彩祐佳も出口に向かおうとしたとき、真奈が2人を呼び止めた。
「…ちょっと待って。 2人が良ければさ、さっきの人達と、『ラブアワーハンズ』の人達と少し話してかない?」
続いて、真奈の隣にいた玲も、続いて口を開く。
「そうだな。面白ェ奴らだし、気が合うと思うぜ。 せっかくこの学園に来たんだしよ、歌だけ聞いてすぐ帰るなんてもったいねぇだろ?」
2人の誘いに巴心と彩祐佳は快く同意。4人は『ラブアワーハンズ』の面々がいる場所に向かって歩き出した。
…『もう一度シオンに会って話がしたい。』
今日のライブで、かつての友人の姿を目撃した真奈の心には、そういった感情が沸き上がっていた…。
壊れた友情も、時の流れが修復してくれているかもしれない…。もう一度、あの頃のように友達に戻れるかもしれない…。
そんな望みを抱き、真奈は歩みを進める。
………………
ラブアワーハンズの面々は、体育館内の、小さな控え室の様な場所にいた。
「ショウ、お疲レイ!! 良いカンジにノッてたじゃねぇかよ、オォイ!!」
控え室に入るなり、真っ先に声を上げるは玲。それを聞いたスラリとした長身の男子、ショウが椅子から立ち上がる。
玲とは対照的な冷めた目付きは、高身長と相まって落ち着きを感じさせる。頭髪は前髪を左右に分けたボブカット。
その身に纏うは落ち着いた灰色のスーツ。だが、肩の部分の切れ込みや大きく開いた胸元などから肌が除くなど、若干の派手さはある。
受ける印象は、ホストといったところだろうが?
「ああ、久しぶりだな、玲。相変わらず元気を有り余らせたような奴だ。」
「そういうお前は相変わらずクール面だな!」
「…お前が五月蝿すぎて、相対的に俺がクールに見えるだけだろ? それより、後ろの3人は、お前の知り合いか?」
そう言ってショウは真奈達の方へ目を移す。それに気づいた真奈は一歩前に出て、手早く自己紹介を始めた。
「――ああ、アタシは水乃真奈。 この2人は戸松巴心に虹衣雫彩祐佳。アンタ達の演奏凄い良かったよ。 上手い …っていうか、ホント激々熱々な感じだった。」
「そうか、楽しんでもらえて光栄だ。 俺はチーム『ラブアワーハンズ』のリーダー『ショウ』。ギターとかヴォーカルを担当している。」
真奈の褒め言葉に、ショウの冷めた醤油顔が、僅かに柔らかみを帯びた。
続いて真奈の方へ歩むは、頭に赤いバンダナを巻いた男子、サトル。左目と両の眉は赤のバンダナで隠れ伺えない。唯一露出された右目からは、柔らかな印象を受ける。
頭髪はやや長めのショートで、右耳の前で1箇所と後ろで2ヶ所、髪の束がオレンジの紐に巻かれ纏められていた。
深緑のタンクトップに薄い青のダメージジーンズ。
腰には、左右2本づつ、黒とオレンジの細い帯が取り付けられ、ユラリと垂れ下がる。
右腕は、肘から指先までが灰色の手甲で覆われ、それは片目を隠すバンダナと相まってアウトロー的な雰囲気を放っていた。
「どうも。ドラムの『サトル』ッス。よろしくッス。」
アウトローな衣装なのに、砂糖顔の静かな人だな。 ――と真奈は感じた。
次に、にこやかな笑みで丁寧にお辞儀をする、物腰の柔らかそうな女子、ミソラ。パッチリとした目にショートの頭髪。頭の上にはピンクのリボンが巻かれた黒きミニハットが斜めに取り付けられていた。
襟付きの半袖シャツに黒のネクタイ。その上からはピンク色の半袖の上着。肘から手首までは白の布で覆われている。
ピンクのフレアミニスカートは、形状維持のための骨格が内蔵されているのか、重力を無視して放射状の広がりを見せていた。そしてその下は、縞模様のニーハイソックスに、黒の厚底靴。
全体的にピンクを基調とした、典型的な派手目のステージ衣装といった印象だ。
「始めまして、私はラブアワーハンズのベース担当、『ミソラ』と申します。ショウさんと同じく、ヴォーカルを担当させていただくこともあります。」
――衣装が派手なのに、なんかお淑やかそうな味噌顔の人だな。
「よろしく。 ショウ、ミソラ。ところで、アイツは?」
真奈が指差すは、奥の方で椅子に座り静かに目を閉じている男子。
「あの方はキーボード担当の『スー』です。ライブの前と後は、暫くああやって目を閉じてます。あの間は話しかけても何も答えないんですよ。いわいる瞑想ですね。」
両目を隠すような長めのオカッパ頭の上には、青と黒に塗り分けられたヘッドフォンが乗せられている。白シャツの上からは、薄い青の半袖の上着。首には黄色の帯が緩く巻かれ垂れ下がる。
深緑のズボンは、腰の辺りが茶色の腰布で隠れている。
――前髪で完全に目が隠れてるけど。あんな髪型で演奏できるのか? と、胸中にツッコんだ。
真奈はミソラに問いかける。
「ところで、シオンは居ないの? 見当たらないけど?」
そう言われてミソラはあたりを見回す。
「あら、本当ですね。 シオンさん何処に行ってしまわれたのでしょう?あの方、よく一人で黙って居なくなってしまうんですよ…。」
そう説明するミソラの顔には影が落ちていた。続いてサトルも口を開く。
「シオンさんは、なんか『壁がある』って感じなんスよね…。 いまいち俺達と打ち解けてないっていうか。 自分の事も殆ど話してくれないッスし…。 歌は凄くうまいんスけど…。」
「…そうなんだ。」
静かに返事を返しつつ、真奈の視線は僅かに泳ぐ…。 その視線の先には、心に映る『過去の情景』が広がっていた。
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次話も見てくれよな!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




