大切な思い出… 絆の奇跡… 友情が私を強くした!
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
「私は… 私はあの時の『罪』を………!」
――あの時に刻まれた
敗北という名の『罪』を償わなければ
…………………………
――それは美しかった…。
ときに激しくときに靭やかに、規則的かつ摩訶不思議に私の手の中で舞い続けるダンサー。この世のモノとは思えない程、そしてそれを自分が踊らせているということを自分で信じることが困難なほどに…
それは、美しかった。
それを見るのが楽しくて、もっと美しいダンスを見たくて。私は毎日その四角い紙のダンサーを踊らせ続けた。私に友達と呼べる人は居なかったけど、彼等がいるから孤独ではなかった。
「凄いな。洲葉徹君っていったっけ?こんなに上手いトランプマジックは初めて見るよ。まるでトランプ自身が意志を持ってるみたいだ。」
私のダンサー達を見て彼はそう言った。友達の居なかった私に初めて出来た友達、それが彼…。つばの付いた黒い帽子に青のパーカーが彼のトレードマーク。彼もトランプマジックをやっており、直ぐに意気投合。
――嬉しかった。
それから私と彼は、毎日トランプについて語り合った。こんなに人と話をして、想いを共有し合ったのは初めてだった。
「徹君のトランプマジックはどれも本当に凄いな。全部徹君が考えたものなんだよね? 憧れる…、それができる徹君はうらやましいよ!」
そう、私がいつも行っているトランプマジックやテクニックはどれも私自身が考えた物。それは毎日トランプを触っているうちに自然と増えて言った技の数々だ。それをちゃんと見て評価してくれた人はこれまでいなかった。
認められた事が嬉しくて、毎日私は、彼に自慢の技の数々を見せた。そして毎日、私と彼は共に練習を重ねた。
嫌なことがあっても、彼と一緒にいるだけで心が温かくなった。
…ある日、学校近くの空き地に人集りが出来ていた。人の集まる場所はあまり好きではなかったが、気になってその人集りに近づく。
人集りの中央にいたのは彼だった。 彼は言った。
「さあ、まだまだ見せるよ! 僕のホビー技を!」
ホビー技、その言葉には聞き覚えがあった。ホビーファイトと呼ばれる異なるホビーの使い手同士が行う格闘遊戯において使用される技のことだ。彼がホビー技を披露しているということは、ホビーファイターであるようだ。
私はトランプマジックはやっていたがホビーファイターではない。私は戦うのはあまり好きではないし、なにより私にはホビーファイトの相手はいなかった。ホビーファイトに興味はなかったが、彼のホビー技がどのようなものか気になって見物することにした。
「さあ、次はこの技だ!」
空中を舞うトランプ。その動きを目で追う。
「――――――ッ!?」
思わず声が漏れそうになる。トランプの軌道に見覚えがあったのだ。その軌道は明らかに――
…私のトランプマジック・テクニックの軌道と同じだった。
「次は…、これだ!」
次々と繰り出されるホビー技。またしても、トランプは私の技と同じ軌道を描く。
彼の繰り出す全てのホビー技が、私の技と同じ軌道を描き続ける。
「これでフィニッシュ! 皆、僕が開発した最高のホビー技の数々を見てくれてどうもありがとう! またこんど一緒にホビーファイトしようね!」
美麗なホビー技の数々に見入っていた人達は一斉に拍手を起こし、その中で私はただ呆然と立ち尽くしていた。
拍手の音が静まり、拡散していく人集り。そして、その場に残ったのは私と彼。彼が私に気付き、目があった。彼はにこやかな表情で僕に歩み寄る。
「徹君も見ててくれたの? 凄いでしょ、僕のホビー技は?」
「うん、凄かった…。」
言葉が窄む、彼が披露したホビー技があまりにも私のトランプマジックに酷似していることが気掛かりでならなかった。
「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ。 それじゃ、僕はもう帰らないといけない。」
彼もまた、空き地の外へ向かって歩き出した。一瞬戸惑うが、私は覚悟を決め彼を呼び止めた。
どうしても確認を取らなければならなかった。彼が、私のトランプマジックを真似てホビー技を開発したのかどうかを。彼を疑いたくはなかったが、彼が見せていたホビー技は全て、私のトランプマジックそのものだった。
私が彼に質問をぶつけた後、彼は一呼吸間を開け言った。
「徹君が気にする程のことじゃないよ。だって徹君はホビーファイトしないんだよね?だったら僕が徹君のテクニックを参考にしてホビー技を作っても、何も問題はないよ? むしろ、トランプマジックの分野だけに留まった技を、もっと違う世界へ飛び立たせるっていう可能性の模索だと僕は思うんだ。 あとね、『僕が開発したホビー技』って言い方だけど、それはそのままの意味だよ。 僕は『徹君のテクニックを参考にしたうえで、自分でホビー技っていう違うモノをつくった』んだから。」
――屁理屈だ。
…私はそう思った。何か上手く言いくるめられてしまったような気がした。私のトランプマジックの数々は私が毎日の練習の中で生み出した努力の結晶。それが奪われたような形になることに私は納得がいかず、更に説明を求めた。
すると…。
「ちょっと待ってよ徹君? なんでそんなこと言うの? 僕は泥棒みたいなことなんてしてないよ! 僕は… 僕はただホビーファイトの可能性を模索したいだけなんだ!」
彼の表情が曇る。
「徹君のこと信じてたのに…。 信じていい人間だって思ってたのに。 もういいよ徹君。
――絶交だ。 僕を泥棒呼ばわりする徹君とはもう一緒にいられない…。」
『絶交』、その言葉を聞いた瞬間、私は胸を杭で貫かれる感覚がした。頭の中が冷たくなり、指先が震えた。
「もう徹君は僕の友達じゃない! もう我慢できない! 僕の努力を泥棒みたいに言う人なんてもう沢山だ!! そんなに僕から、『僕のホビー技』を…、『ホビー技を開発した僕の功績』を…、 みんな奪い取ろうっていうんなら… 僕は正々堂々と受けて立つ! 僕は戦う…! 僕の技を… 僕の努力を… 僕自身の手で守って見せる!!」
そして彼は呼吸を整え、こう宣言した。
「徹君、ホビーファイトだ! ホビーの問題はホビーで決着を付けよう! 僕の守りたい物、徹君の奪いたい物。 それが同じなら、その全てをホビーファイトの勝敗に賭けよう!! これが僕の覚悟だ!!」
……………………
こうして私はたった一人の友達を失った。友情は固いものだと読み聞いていたが、それが誇張であることは元より分かっていたことなのでショックからは直ぐに立ち直った。何より今の私にはやるべきことがあったのだ。
必ず彼を倒し、私の技を取り返す…!
それから毎日ホビーファイトの練習をした。私のトランプマジックやテクニックは全て、攻撃能力を持った『ホビー技』として改修した。彼の使うホビー技もまた、私のトランプマジックを基にしたものであるため、彼のホビー技と私のホビー技は同一の物となる。技が同じなら勝負は五分五分…。 いや、各技を開発したのは私。技の全てを知り尽くしているのも私。技は、全てを知る私が使うからこそ本当の威力を発揮できる。 この戦いはきっと勝てる。 私が放つ本物の技の威力ならきっと勝てる!!
そして数日後、決戦の日がやってきた!
ホビーファイト…
スピリット…
クラッシュ!!
学校近くの空き地で始まった戦い。私と彼との間で、互いのトランプが激しく美しく舞う。周りには、戦いを見物するクラスメイト達で賑わいだした。
勝負は今のところ五分。彼から技を取り戻すため、そのために出来る限りのことをしてきた。絶対に負けるわけにはいかないのだ。
「なあ、徹の技。おかしくないか? あれって…?」
「ああ、俺もそう思う。」
不意に、見物するクラスメイト達がどよめき出す。
「徹のホビー技って、みんな、全く同じだよね?」
「そうだよな、やっぱ、あの時見せた技のパクリだよな!」
クラスメイト達は、以前デモンストレーションを行った彼こそがこれらのホビー技の開発者だと信じ込んでいる。一番初めに技を披露した彼こそが『オリジナル』で、今日はじめて技を見せた僕が『コピー』。見物人達の目にそう写るのは当然のことなのだ。
「おい徹、技を盗むなんて汚ねぇぞ!!」
「お前、そんなことして…、それでもホビーファイターかよ! ホビーファイターの誇りはどうしたんだよ!」
「人の技で勝てる程ホビーファイトは甘くないよ! 分かってよ!」
空き地に響く私への罵声。 …歯痒過ぎる!あの技も、この技も、皆私がつくったものなのに…、それを知る人はだれ一人居ない。
「本物なら勝てるって信じてる! そうさ、どれだけ精巧に真似たって、偽物は本物には敵わないんだ!」
「偽物よ!! 消え去れ! 勝敗など最初から決している! ファイトの場に立つ資格の無い者が、何食わね顔でそこにいる時点ですでに敗北していると分からんのか!」
「もうやめるんだ。その汚れた手で… 穢れた心で… ホビーファイトを侮辱しないで!!」
好き勝手言うな… 私は…、偽物なんかじゃ…!!
「みんな…。 ありがとう。 僕は… 僕は諦めない! 守るモノが、僕の手にはあるんだああ!!!!」
突如、彼の動きが変わる!先程までとは明らかに別次元のスピード。あまりの速さと途切れなく繰り出される攻撃に全く対応できない。そこから先は一方的な試合展開が続き、私は瞬く間に地に倒れ伏した。周りからは尚も罵声が飛び交う。
「中身のない空っぽのパクリファイターめ。これで自分の愚かさが分かっただろ!」
「どうなってんだよ100%全部猿真似って、やっぱおかしいぜ。 すぐ病院に行って来い!」
「いや執刀医さん、もう手遅です。 2、3回死なないと、もうどうにもなりません。」
「あのね… 徹君。 言葉分かる? 徹君ねぇ『技を全部盗んでごめんなさい』って言わなきゃならないんだよ? もう赤ちゃんじゃないんだからね?悪いことしたら謝らなきゃいけないんだよ?」
「罪人、洲葉徹! 罪状、他人の技を全て奪って何食わぬ顔で戦った完全猿真似罪…。」
「よし判決、スーパー死刑!! よし死ね! 明日から死んで死んで死にまくって頑張って宇宙の全てに謝罪することに決定!」
「死刑! 死刑! 死刑!!!!」
…強まる罵声は、まるで交響曲! 罵声と罵声の壮言なるバーモニーと体の痛みは絶妙に折り重なりあい、芸術へと昇華していくようだった!
地に伏した私に、彼が歩み寄る。そして、一言こう言った…。
「どうしてなの徹君…。 僕はずっと徹君を信じていたのに…。 君に勝ったのに僕はこんなにも虚しいんだ。 君は人に虚しさを振りまいて何が楽しいの? 君はもうホビーファイトの場に立つべきじゃないよ! 虚しさの連鎖は…、 僕が断ち切る!」
彼は右手を天に掲げ、フィンガースナップを打ち鳴らす。直後彼のトランプが周囲で激しく飛び回り、同時に刃物で何かを引き裂くような鋭い音が聞こえ出した。程なくしてトランプは動きを止め、彼の手元に集まる。
…そして、虚ろに開かれた僕の目に映ったもの、それは
バラバラに引き千切られた私の四角い紙のダンサー達が、枯葉のようにパラパラと地面に落ちる光景だった。
♪死刑 死刑♪
♪大事なトランプがバラバラになって可哀そうだから、そのトランプの破片を土で練り合わせておしゃぶり作ってあげたよ、おしゃぶりだよ、しゃぶらなきゃだよ♪
♪おーっとォ!? おしゃぶりが大きすぎて気道を塞ぐゥ これは手に汗握る展開だーァ♪
♪こういう時は、名医にお任せ♪
♪おーっとォ! さすが名医! 死刑囚の腹に倒れ込みつつヒザで圧迫し空気圧で吐き出させるゥッ! 手に汗握る熟練の技だァ♪
♪あれ? なんだか色んなモノが口からあふれ出してきてるよ?♪
♪汚い徹から汚い汚物…、汚さの相乗効果だとでも言うのか!? 臭いが世界を腐らせる前に、汚物および周囲の砂を徹の口に押し戻さねば世界は救われん♪
♪世界を守れるのは俺たちだけ… この命にかえても… 世界を守り明日を掴み取る♪
…………………
――あれからどれくらいの時間が経ったのだろう?日は沈み、彼も、周りのクラスメイトもとっくに居なくなっていた。
心が急激に冷静さを取り戻し。私はどうしてこんなことになったのか分からず、いや、ショックでそんなことを考える気力さえもなく。ただ呆然と死体のように倒れ伏していた。
たった1人の友達に裏切られ、全ての技を奪われ、皆に偽物だと罵られ、そして、何よりも大切なトランプを引き裂かれた。
――――どうして…? どうしてかわからない! これはわからない!
だがその時、私の脳に閃光が差し込めた!
「理解した…! この私、状況の理解…、確定…!」
…そういうことだったのか!! 冷静に考えれば、『どうして』などという理由を考える必要すらないのかも知れない。 この結果は必然。
考察の余地もなく当たり前のことだ。 そう…、彼に敗北したことが全ての原因。彼に勝っていればよかったんだ。私が『本物』なのに、彼に負けたことで『偽物』のレッテルを貼られたのだ。
彼を倒していれば皆は私を『本物』だと認めたはずだ。
何故なら… そうだろう…!
“『偽物』は『本物』には敵わない”んだろう?
『本物』か『偽物』か、『正義』か『悪』か、『美しい』か『醜い』か…。そんな考察は無意味。勝てば、問答無用で『真実』であり『正義』であり『美』であるんだ…。そして、負ければ『偽物』であり、『悪』であり、『醜』…。つまり、敗北という行為それ自体が罪…!
ああ…、
ああ゛…
嗚呼ァァ゛…!
「嗚呼ァアア゛アアアアアアアア゛…
ゥゥ嗚呼゛ァアアアアアアァアァアアア゛!!!!!!」
なんて罪深いんだ!! 彼に、アイツに敗北した私はなんて罪深い存在なんだ!!
この『敗北した罪』は償うべきモノだ!! 勝たないと!! 目の前のもの全てに対して私の存在は勝利である必然が今、生じたんだァ!!
なんとしてでもォ、どんなことをしてでもォ、勝って!倒して!、罪を償うんだ!
そして、勝てば『正義』であり『美』であるゆえにィ、罪を償うための過程には『悪』であり『醜』となる手段も許されなければならない!!!!
勝ってしまえば全て『美』にィ、それゆえに!!!!
「ゥ嗚呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼ァァ゛!!!!!!!!」
私は勝つぞ!! 私が勝利、私の名こそ勝利、私のみが勝利!!
私の存在そのものが、勝利の必然のその中に!!!!
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次話も見てくれよな!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




