爆
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
「ハァッ――― ハハハハァァ!! 無様!! 火嵐琉樹!!」
美のホビーコレクター洲葉徹…その歪みし笑いが闇夜の空に鳴り響く!
「さぁてぇ…、火嵐琉樹ィ…貴様のホビーもこの私が貰い受けるとしようかぁ。」
地に倒れ伏した琉樹に歩み寄り、その手を踏みつける。そして、メンコを1枚奪い取り、それを掲げ、まじまじと目に焼き付ける。
「嗚呼ァ…。これこそかの玩具職人、火嵐琉造が創りしホビー…!」
「クッ…てめぇ…!そのメンコに…触れるな…! それはァ…!」
琉樹の瞳が洲葉を射抜く! 力尽きようとその眼光は未だに突剣の如き鋭さを放っている。
「醜し…。勝者は全てを得、敗者は全てを失う。勝利こそ『真』『正』『美』、敗北こそ『偽』『悪』『醜』。此れ…、この世の摂理。それを知らず吠えること…、世界を冒涜せし大罪!」
琉樹の言葉を一蹴した洲葉はゆっくりと歩きつつ、本日の戦利品、良囲のおはじきが入った巾着袋と琉樹のメンコを眺める。そのとき、洲葉の眉がピクリと動き眉間に僅かに皺が生まれる。
「しかし、この巾着袋…、なんと汚らわしい。 所々糸が解れ、汚れや汗が染み付いている…。」
そして、その巾着袋を開け、中のおはじきを手に取り…
「うう!!? これは…、おはじきに大小様々な傷が無数に付いている!これでは、江戸硝子の光沢と透明感を楽しむこと…ままならず! 更には欠けているおはじきも在り!何という醜さ…!」
露骨に顔を顰める洲葉。それに対し、良囲は覚束無い足取りで立ち上がった。
「テメェ… 人の大事なモン掻払っといて、それを侮辱するたぁ…どういう了見でい…!!」
ボロボロの身体で、洲葉に向かいユラユラと歩き出す。
「フッ…それは失礼した。なら、豊武良囲。貴様のおはじきが醜いという言葉…訂正する。」
「何…?」
洲葉は廃ビルの外へ目をやり、…微笑ひとつ。
「こうすれば…、貴様のおはじき、最高にィィィ…
『美』となるゥ!!」
洲葉が勢い良く巾着袋を投げる!大きく宙を舞う巾着袋!その開かれた口から溢れ出る色とりどりのおはじきが夜の町の光に照らされ、綺羅びやかに光沢を放つ!その光景…、低空に架かる天の川!
そしてそれは散る桜の如く輝きつつ下方へと落下!ガラス星の天の川は廃ビルの隣、薄汚れた水の流れる本物の川へと幾つもの水音をあげ滑らかに吸い込まれる!
「ハァァァァァァァァアアア美しィィィィィィィイ!!
…最高ォウ!!!!」
洲葉徹、その歪みし喜びの感情…、遂に頂点へ!!両腕を可能なかぎり大きく広げ尊大なる雰囲気をその身に纏う!!
「醜きおはじきもその散り際のその一瞬のみにこれほどの美を生み出すのだァ!!!! そして最期に一瞬のみの凝縮された美を放ったおはじきが醜き反吐川へと堕ちてゆく様はこの世の不浄の体現にして至高ォアアアアアアアアアアアアアア゛ッ!!!!!!!!」
琉樹、空珠…、絶句。今更ではあるが、どうして彼がこのような事を平然と出来るのか理解することが出来ないでいた。
そして膝から崩れ落ちる良囲…。ホビーファイターである自身の相棒となるホビー、愛を込め使い込んだおはじきが川底へと沈むショックは、もはや言葉で表すことなど不可能であろう。意気消沈のまま、心が無になったかのように動かない。
「そうか…、それほどまでに嬉しィか豊武良囲ィイ! 貴様の汚らわしきおはじき…、私の手にヨりィ美麗なル最期をォ迎えられたコとがァアア!!!!」
――バクン… バクン… バクン… バクン…!!
そのときである!突如、空気が激しく振動を起こす! 何度も、何度も…! それはまるで心臓の鼓動の様に…!空珠、良囲、洲葉、何が起こっているのか分からず周囲を見回す。
「琉樹…!?」
良囲は気付く! 空気の、精神波の振動、鼓動の発生源が火嵐琉樹であることに! それは巨大で力強いホビー魂であった…!!
バクン… バクン… バクン…
ゆっくりと立ち上がり、洲葉を睨みつける琉樹。その身体には炎を…
否… 否ァ!!
紅蓮に輝き、沸々と噴出する爆炎を纏っていたァ!!!!
バクン… バクン… バクン…
…爆ンッ!!!!!
「洲葉オオオオオオオオオオオオオオ゛!!!!!!!!」
一際大きくなる爆圧の如き鼓動! そのとき、空珠呟く!
「スピリット… エヴォルブ…。」
「『スピリットエヴォルブ』? アレが …か?」
良囲はオウム返しに問い返した。
更に大きく、激しくなる鼓動。まるで一帯が琉樹の心臓の内部であるかのように、強烈な波動が伝播する!
洲葉に向け一歩… また一歩… ゆっくりと歩き出す琉樹。
「人の大切なホビーを川に捨てて何が『美』だ…!
ホビーってのはそれを使って楽しむためのもんだ…!
人がそれを使ってる時が、人と一心同体になる瞬間が…、一番輝くんだ!!」
琉樹に向かい見下す視線を送る洲葉。
「フン、敗者が…。ホビーの定義を押し付けるな。」
「でも、その定義は勝者だろうがなんだろうが、 …お前1人が決めれるもんじゃねぇんだよ!! それからなぁ――」
琉樹、ホルダーから新たにメンコを取り出し構える!
「――俺はまだ…
負けてねぇ!!!!」
「醜い…。大人しく倒れていればいいものをォ!!!!」
琉樹、洲葉… 互いにメンコとトランプを投擲! 両者ともそれを紙一重で回避しつつ急接近! クローズレンジ下で激しい攻防が始まる!!
その様子を見守る空珠、良囲。
「…ホビー魂は精神エネルギーの一種で、それは精神状態と密接に関わっとるんや。精神状態が様々な変化を起こすように、ホビー魂もその性質を急激に変化させることがある。それが『スピリットエヴォルブ』。」
「空珠…。 俺も知ってるぜい。過度の興奮やショックが引き金となり、精神の深層域構造の一時的な部分崩壊と、精神エネルギー制御系統の麻痺による、出力肥大と性質暴走。 …でもよう『大丈夫』だと思うか? あれ、多分初めてじゃねぇのかい?」
「問題はソコや。エヴォルブはたしかに強力やけど、それはあくまで『何度もエヴォルブを反復し、エヴォルブ特有の非制御エネルギーを技の動きを崩すことなく威力に変換する技術や、戦術的アドバンテージが得られるタイミングでノーマルとエヴォルブをシフトし、使い分ける技術』などを身に付けてることが前提や。何よりエヴォルブ状態が琉樹の戦術に合わんかったら何の意味もあらへん。」
「ああ…。 エヴォルブは『単なる上位互換』でも『出来たら便利なパワーアップ』でもねぇ。 膨大なパワーと引き換えに、エネルギーの出力、流速、圧力の細かな調整が効かなくなって動きが大味になりやすいって聞いたことがあるぜい。」
「この圧力…、くぅッ!!」
ラッシュの最中、琉樹の格闘攻撃と共に発生する、爆風を叩きつけられるような圧力と熱量に押される洲葉は、思わずバックステップで後退!即座に速射技『ストレート』を放つ。だがそれが琉樹に命中すると思われた瞬間、爆発音と共に琉樹の姿が消失した!
――消えた!?
次の瞬間、今度は洲葉の右隣で爆発音!洲葉はその方向を見るが琉樹の姿は既に無し! 直後、洲葉は背後に熱を、気配を感じる!
「シィィイ!!」
洲葉、反射的に180°右旋回と同時に後方を右手トランプで薙ぎ払う!しかし、琉樹は後方に急加速し回避!
洲葉は直ぐ様両手より2枚のトランプを、琉樹は1枚のメンコを同時に投擲!互いが投擲したトランプとメンコが接触し相殺!
爆発が発生し、爆煙が一瞬両者の視界を塗りつぶす!
「ッ!」
直後、爆煙の中より、洲葉が投擲した2枚目のトランプが琉樹に迫った!そう、1枚目のトランプは琉樹のメンコと相殺することを見越した上での囮!当然、琉樹のメンコが炎と煙を発生させる事を利用し、それが2枚目のトランプの姿を隠す事も計算の上!
いくら機動力に優れる琉樹であっても、爆煙で姿を隠していた2枚目のトランプを視認してから動き始めては回避は間に合わない!
洲葉は、直ぐ様琉樹に急速接近!
回避不能距離より飛来する2枚目のトランプを慌てて防御し、その直後の僅かに動きが止まる一瞬のスキを突き、琉樹にトドメを刺すためである!
狙い通り、琉樹は回避行動が間に合わず、トランプを防御する
…事は無かった!! 代わりに爆発音が響き琉樹の姿が再び消失!投擲したトランプは虚しく虚空を切り裂く!
「何ィ!?」
スピリットエヴォルブを発動させた現在の琉樹の圧倒的瞬発力…、それが不可能と思われた回避を可能としたのだ!
洲葉は直ぐ様その場に踏みとどまり周囲を警戒…
――する暇さえ無かった。
なぜなら、琉樹の消失を確認した直後、既に洲葉の身体は、左サイドに回りこんだ琉樹のブローの衝撃により吹き飛ばされていたのだから!
「ンガハァッ…!!」
完全な直撃により吹き飛ばされ屋上のフェンスに激突する洲葉!
空珠、良囲…、驚愕!
「あの動き、『エアダイブ』…やんな!? 何やあのアホみたいな加速と制動は?」
「エヴォルブの非制御エネルギーが技の爆発力に活かされてやがる! どうやら、エヴォルブ状態は琉樹のファイトスタイルに合ってるみてぇだぜい。」
「エヴォルブという名のレアカードは… 火嵐琉樹という名のデッキに最適な一枚ってことやな!!」
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次話も見てくれよな!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




