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第10話 余談という名の惚気
それから少し時間が経って、お父様たちが部屋に入ってきたとき、クリスは私の隣に移動していた。
すごくにっこにこの上機嫌で私の腕を抱きかかえている。どう考えても立場が逆だが、本当に立場を逆にするともっと不格好になるだろう。
「話はまとまったか」
「うん」
お父様の言葉に私はうなずいた。
「昔からこの子は『ノアくんと結婚するんだ』と言い張っていてね。その頃は母を亡くして毎日泣いていたものですから、ノアくんが薬みたいなものだったんだろう」
クリスの父親がくすっと笑いながら、るんるんのクリスを見つめていた。
「あら、ノアも昔ずーっと『クリス、大好き』って言ってましたのよ」
「え、そんなこと絶対言ってない」
「私は覚えてますからね」
お母様がそんなこと言うが、本当に私の記憶には残っていない。……気もしない……でもない。それを聞いてクリスはさらに一層、私の腕を強く抱きしめた。見上げると目を細めて微笑んでいるクリスと目が合った。
「へぇ、そうなの。俺たち、相思相愛だね」
その笑顔の凄まじい破壊力にあてられた私の顔から湯気があがったのは言うまでもない。
この第10話で第1章は完結となります。
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