第一話「戦闘員、転生」
イー…?(何処だここは…)
目を覚ました俺は辺りを見渡すがどこも見覚えのない景色ばかり
イー…(俺は…自爆装置が作動して死んだはずじゃ…)
確かにあの時俺は死んだ。
戦闘員には情報漏洩を防ぐために死ぬと自爆する装置が胸に埋め込まれている。
イー?イー…(ここは天国か…?いや、俺が天国に行けるわけないか…)
俺は戦闘員としてライダーと戦う以外にも沢山の悪逆非道を尽くした。じゃあここは何処なのか。
…っ!
近くから物音が近づいてくる…!
ガサッ!
「人属…?いや真っ黒の肌に骨の文様…、魔物か…!?」(こいつ、魔力を一切感じない…何者だ)
飛び出してきたのは馬にまたがった美しい少女。耳が長い。人間では無さそうだ。
「何処から来た。ここはエルフの森だぞ。」
イー?(エルフ…?)
ライダーの名前か?そういえばこいつ馬に乗ってる…、ライダーか!
イー!
(【いー】としか鳴かない、やはり新種の魔物か)「ほう戦闘態勢に入ったか、この私がハイエルフの長と知っての行動か?どちらにせよ運が悪かったな。」
少女が弓を構える。
愛用していた剣は無い…、だが
「うっ…!」(目潰し…!?)
砂で怯ませ一気に間合いを詰める…!
イー!
ガッ
ヒヒーン!
「うがっ!」
馬を蹴り飛ばし降ろさせた、あとは…!
「!?なにを!」
固め技で押さえつける!
「いっ!いだだだだだだ!やめろ!折れる!折れるぅ!」(なんだこの力は!?細身の男が出せる力を遥かに越えている!しかもなんだこの技は!ぬ、抜け出せん!ま、まずい意識が…、)
おとなしくなったか、ここが何処なのか、お前が何者か聞きたいことは沢山ある。生かすしかない。
バッ!
っイ!?(なっ!?)
力を緩めた隙に脱出した!
(危なかった…こいつ力だけでなく知能がある、この私を殺そうとはしてなかった。こいつはよく調べなくては)「汚いと思うか?お前はここで生け捕りにする」
イー(できるものなら)
再び構える…が、
ガサッ
ガサガサッ!
…囲まれたようだ
「騎馬隊の訓練中だったのが功を奏したようだ。どうだ降参するなら痛い目を見なくて済むぞ」
そうしたいのは山々だが戦闘員には降参や逃亡するとその場で自爆装置が発動してしまう。
イー!
「ほう、この数とやる気か!」
このハイエルフとやらは並みのライダーと比べて大したこと無かった。これなら数が多くても…
イー!(殺れる!)
ダッ!
俺は力強く踏み込んだ。
第一話「戦闘員、転生」