"英雄"
どうもこんにちは藤井譜雲です
今日は少し短めです
治「絶 対 安 静だボケ」
乱「ヤダ」
医療室204号室で2人の言い争いは始まった
治「ヤダじゃねぇよ アバラと片足、粉砕骨折とかどんな戦闘したらそうなるんだよ」
乱「相手を油断させるために超火力の爆弾を0距離かつ無抵抗でくらった☆」
治「純っっ粋にバカだろてめぇ!!!」
フォーチュンランドのテロ事件から数日たち一旦治療のために診察みたものの、なんで動けてんの?ってレベルの大怪我をして治はひっくり返るほど(物理的にマジで)驚いた しかも、そのまま任務を受けに行こうとするので日本支部医療班班長として、それ以前に人として全力で止めに入っているのである
治「歯医者嫌がるガキじゃあるめぇし 大人しくしてろ!! 蹴んぞ!!」
隼「怪我を増やしてどうすんのよ...」
お見舞い(しぶしぶ)に来た隼子が呆れる
隼子は怪我の規模や数が乱斗よりも圧倒的に少なかったため、治がササッと治療したのだ
治「俺の[治癒]はなぁ他人を治すことも確かにできる だけどその分、自分を治すときよりも源力の消費が激しんだよ だからできるだけ怪我してほしくねぇのにこいつは...」
乱「いつもすまん 恩に着る それはそうとフォーチュンランドで買ったカチューシャあるんだけど着ける?」
治(ぶち殺してぇ!!)
心底そう思ったそうだ
治る「とにかく!!てめぇは絶対安静だ!! 俺は任務に出る!!決して部屋から出るんじゃねぇぞ?」
隼「私も報告書を書きに行ってこよーっと」
二人が外に出る
バダァン!!
治が力いっぱいにドアを閉めた
うるさい
乱「ふぅ... ま、取り敢えず寝ておきますかぁ」
1時間後
乱「...暇だ」
ベッドの上で大の字になって寝る乱斗はもう既に暇となった
ゴロゴロゴロゴロとベッドの上で寝転がる
乱「...抜け出すか!」
ベッドから飛び起き、扉の前に行く
ある程度の痛みはあるものの、さすが医療班班長だ全然動ける
ドアノブに手をかけ、回すも扉は開かない
乱「治の奴め、外から鍵かけやがって」
乱斗のいる医療室は外から鍵を掛けるタイプであり、乱斗みたいに絶対安静にも関わらず出ようとする患者専用の部屋だ
乱「ま、意味ないけど」
[解放]!!
鍵が勝手に開く
乱「お、開いた開いた」
扉を開ける
扉を開け、廊下に出る
乱(俺の部屋でゲームしよっかな〜)
医療エリアを抜け、自室へ向かう
SCCtは職員に自室が設けられるのだ
隼「何やってんの」
乱「あ」
寮エリアに入る直前に隼子に見つかった
乱「いやーそのーえーっと」
隼「説明しなさい」
表情は笑っているものの、目が笑っていない
割とキレてる...そうとしか見えない
隼「怒らないから正直に言って?」
乱「キレてるやつの台詞じゃん」
隼「説明して?」
暇になったのでゲームしに安静命令無視しましたなんて口が裂けても言えない言ったらボコられる
...言わなくてもボコられそうだけど
隼「取り敢えず治に報告ね 反省しなさい」
隼子が治に電話する中、乱斗はその横でラ◯オ体操第一を行っていた
隼「...何やってるのよ」
乱「準備体操」
隼「何のよ」
乱「何って...」
乱斗がクラウチングスタートの構えをする
乱「逃げるための!!」
隼「な!?待ちなさい!!」
途端に追いかけっ子が始まった
隼子の能力は[加速]
追いかけっ子では敵うはずがない
しかし
隼「待ちなさい!!」
乱「ヤダ」
隼子は能力を使わなかった
彼女の能力の加速度は大きく体に負担がかかる
なおかつ、加速により生まれる衝撃波や突風で基地内をメチャクチャにしないように隼子は基地内で能力を使わないのだ
それでも隼子のほうが速い
隼「もう少し!!」
乱「ほい、“空気爆弾”」
風船が破裂するような小さな空気爆弾を起こす
隼「ギャッ!」
いきなりの爆発で目をつむる
目を開いたときには乱斗は消えていた
隼「あんのバカ乱斗ぉ!!」
乱「ふぃーっありがとうございます」
キッド「いいってことよ見てて楽しかったし」
乱斗はいきなり消えたのではなく近くにあったキッドの部屋に「ここに隠れな」と引きずり込まれたのである
キッド「まーたなんかやらかしたのか?乱斗」
乱「絶対安静命令くだったのに病室出てきてしまいました!!」
キッド「ははっお前もバカだねぇww副支部長の俺に堂々とそれ言うんだw」
キッド=L=マスターは日本副支部長というSCCt日本支部のNo.2であり、乱斗の上司でもある
その上司に命令無視しましたなんて言う事にキッドは笑っている
キッド「ナメてる訳じゃないだろ?」
乱「キッドさんは告げ口とかしない上に楽しければ何でもいいタイプの変人ですし」
キッド「え、なにそれ傷つく」
部屋の外で隼子が声を荒げながら探す声が聞こえる
乱「ま、それ以上に信頼してますし」
キッド「信頼?」
乱「守ってくれそうな信頼ですね」
キッド「へぇ」
キッドはさっきまで流していたラジオの電源を切る
愛用の帽子に乗った埃をフッと吹く
キッド「信用なんてしてるんだね俺に」
乱「しないわけ無いですよ 俺はアナタ達に助けられたんだし」
キッド「はぁー!泣ける話でもしたくて抜け出したの?」
乱「いや、暇すぎて」
キッド「うん、わかるわ 安静命令は俺も嫌い」
コンコンコン
隼「失礼ですが、入ってもいいですか?」
キッド「やっべ隠れて」
隼「失礼します」
キッド「おーっ!隼子ちゃん!どうしたのー?」
隼「いえ、乱斗を探してて」
キッド「そんなことよりお茶しない?☆」
隼「はぁ...訴えますよ」
キッド「ごめんマジでそれだけは」
隼子はすっごいため息を付いた
キッドは隼子に対してこうイジってくるので隼子は地味に嫌悪感を抱いている
●「うるむアアあゝナナナぽるなあ」
気味の悪い声がした
隼「...何でこの子出してるんですか?」
体が丸く、4つの丸い足のあるこの世の生物ではないであろう「ナニカ」がそこにはいた
巨大な口でテレビを飲み込もうとしてる
キッド「あ、おいこら“普怪”テレビを食うな」
●「ルムらパぱパパ」
キッドの言葉に反応しテレビを吐き出す
隼「で、なんで出してるんですか」
キッド「たまにはいいだろ?どうせ俺の部屋だしさ」
隼「いやまぁ...そうですけど」
キッド「外に出さねぇよーに気をつけるからさ!!ほら行った行った 俺は“普怪”ちゃんをかわいがってんの」
隼「わ、わかりました」
隼子が部屋を出ていく
それを見届けたキッドが口を開く
キッド「もう出てきていいよ」
●「どうぶらぁぁん?」
乱「ありがとうございますね色々と」
“普怪”と呼ばれた「ナニカ」の口から乱斗が出てきた
キッド「よく普怪の口の中に入れたね 牙とかすごいから俺は入るの嫌だよ」
乱「ヨダレすごかったですよ」
キッドがゲーム機を取り出してテレビに繋げカセットを差し込み起動する
キッド「ちょっとやらな...」
乱「やります」
ゲーム「タッグシューターズ」
戦闘機を操作して弾幕を避けながら地球外生命体を倒すゲーム(最大二人プレイ)
キッドはそのゲームの世界ランクトップの実力者だった
乱「あっぶね!!」
キッド「はは、まだまだだね」
乱「ぐぬぬ...」
2人はそのスコアを競っている
二人の間の実力差は結構あるようだ
キッド「技が多種多様なやつの倒し方はねぇ落ち着くことだよ」
乱「急になんです?」
キッド「苦戦してるようだから手助けしようと思ってさ」
乱「敵に塩を送っていいんです?コイツ倒したら僕のほうがスコア高くなっちゃいますよ?」
キッド「越せるもんなら越してみな♪」
舐めたイントネーションで告げる
キッド「技が多種多様なやつの利点は”手数の多さ”だ 当たり前だろうけど 落ち着いて一つづつ対処すればな~んにも問題ない」
乱「くっ...難しい...」
キッド「ほらほら〜がんばれ〜」
乱「煽んないでください!!」
キッドはゲーム操作を放棄しポテチを口に放りながら煽る
キッド「複数のことができるやつは”何か”に特化することができなくなる 何に特化させればいいか難しいからな 逆にできることが少ない人は何に特化させればいいかヒジョーにわかりやすい お前みたいな殴る蹴るしかできない脳筋が作戦は立てられないし銃はゴミ標準だから撃てないだろ?だから肉弾戦に特化してるじゃんお前」
乱「後半バカにしてませんでした!?」
キッドは笑いながらバカにしながらアドバイスをする
キッド「よーするに複数のことができるやつは決め手に欠けてんだ」
乱「...キッドさんも?」
キッド「うっせーな 黙って聞け」
乱(図星か)
キッド「多少被弾してもいい落ち着いて対処しろそしたらその敵も倒せる」
乱「うす....」
STAGE CLEAR
その文字が画面に映る
約二時間、24回の戦闘は幕を閉じた
乱「ふーっやっと終わった」
キッド「え?もう?ちぇっもうちょい負ける姿見たかったぜ」
乱「非道い」
ゲームを閉じ寝転がった途端、キッドが口を開いた
キッド「なぁ乱斗」
乱「はい?」
キッド「何でSCCtに入隊る気になったんだ?」
唐突な質問で二人のいる部屋の空気が少し重くなる
乱「いきなり...何です?」
キッド「いや...少しな あの頃のお前はなぁ”アイツが憎い”だの”殺したい”だのほざいてたからそんな奴がなんでSCCtに入隊ったんだろって思ったからな」
乱斗の脳内でキッドや流と出会ったあの時の記憶が蘇る
辺りに香る血の匂い、燃える炎の熱、その「犯人」の巨体を...
乱「"英雄"って知ってますよね?」
キッド「知らんわけねーな」
"英雄"
それはかつて存在した賞金稼ぎの異名
SCCtが創られる前、世界中で起こる能力犯罪の対処の策としてできたのが
「懸賞金制度」
だった
能力犯罪者の情報提供、能力犯罪者の捕獲・戦闘不能化などの協力を行ったものに対してそれに見合った懸賞金を報酬としてもらえるという制度である
しかし、能力犯罪を犯しているものは戦闘経験が豊富なパターンが多く制度は取り入れられたものの協力してくれる一般人はほとんど現れなかった
協力するものはいつしか「賞金稼ぎ」という職とされるようになった
キッド「だけど、ざっと60年前に突如現れたとある最強の賞金稼ぎそれが"英雄"...だろ?」
乱「彼の登場で世界中の犯罪件数は3分の2に減ったとかいう逸話もありますし知ってますよね」
キッド「知らなかったらこの職を辞めたほうがいいレベルだろ で、その"英雄"がどうした?」
乱「その"英雄"みたいになりたい だからSCCtで働きに来たんです」
キッド「へぇ子供っぽいな」
乱「うるさいなぁ そういうキッドさんは何でSCCtに?」
キッド「うーん...」
空気が張る
キッド「ヒミツ♡」
張った空気は一瞬にして解けてしまった
乱「な!?俺には聞いたんだから教えろください!!」
キッド「おいタメ口漏れてんぞ」
キッドが立つ
キッド「ま、しいて言うなら」
棚の上にある花瓶に生けられた黄色の花を手に取る
キッド「この花、知ってる?カサブランカって花でさ〝陽気〟なんて花言葉のある俺がこの世で一番好きな花だ」
乱「ほえー」
キッド「ただこの花が咲き続けるくらい平和な世界を保てれば...てな」
乱「いい理由ですね」
治「ほんと、いい理由だな」
二人がいる部屋の中にはいつの間にか
治がいた
乱「え?」
治「絶対安静命令を言い渡したのにもかかわらず、[解放]で脱出した上にゲームしていただぁ?」
乱「ちょとまてちょとまて!!お前なんでいんの!?」
治「キッドさんから聞いたんだよボケ」
乱「!?」
乱斗がキッドの方を見るとニコニコ笑顔でこちらを見ていた
乱「え?」
キッド「いやぁ副支部長としての最低限の責務は果たさないとねぇ〜」
治「教えてくれてありがとうございます」
乱「ええ!?」
黄色のカサブランカの花言葉は〝陽気〟そして
キッド「〝裏切り〟♡」
治「こっち来い!!ぶっ飛ばしてやる!!」
乱「うぎゃあああああああ」
乱斗は引きずられて部屋を去った
キッド「はぁ、行っちゃったか」
乱斗が出ていった後のドアを見つめる
キッド「なるほど、"英雄"か....」
自室のソファにどしっと座る
MAZETの資料を見つめる
キッド「さて、どうしようか」
第五話 "英雄" 完
第五話を読んでいただきありがとうございました
今回はSCCt日本支部のS階級のキャラ紹介です
日本支部長
"時の神"
動神 流
能力:???
日本副支部長&情報管理班班長
"詐欺師"
キッド=L=マスター
能力:???
日本支部医療班班長
"無才の医師"
神谷 治
能力:治癒
日本支部参謀長
"天才"
七海 神
能力:???
日本支部人員管理班班長
"不死身"の
神奈 生太
能力:???
日本支部巡回捜査班班長
"疾風"の
皆神 隼子
能力:[加速]
日本支部火器処理班班長
"狙撃手"
神居 恐一
能力:[恐眼]
日本支部戦闘班班長
"革命家"
止神 乱斗
能力:[解放]
日本支部隠密調査班班長
"二刀龍"の
黒神 感三郎
能力:???
日本支部援護班班長
"豪運"
落神 幸
能力:???