[解放]
学生が趣味で書いたような作品なので拙かったり誤字が多かったり「こんな展開見飽きたよ」みたいなのが多くなると思います。
適当な時間に読んで楽しんでいただければ幸いです。
それは約300年ほど前に起こった。地球上のそれぞれ15箇所の地点にて突如人が水色に発光するという怪奇現象がおきた。世界中でこの現象の理由や原因が騒がれていたが何もわからずじまいに終わった。しかし、この現象はそれだけではなかった。発光した人物やその光を浴びた人間は例外なく不思議な力を身に宿したのだ。透明になれる力、火を吹く力、鳥になる力、怪力になる力...特殊な力を持った人間は「異能者」とされ、やれ化け物だ怪物だと迫害され続けてきた。約100余年迫害され不満の溜まった「異能者」の中には人殺しや窃盗といった罪を犯すようになった。それから「異能者」の地位は向上したものの能力を悪用した犯罪者は減るどころか増える一方だった。そこで国際連合は異能者による犯罪を抑えるため目には目を歯には歯をと異能者で構成された部隊「異能犯罪対策部隊 SCCt」を世界中に設立。そして現在に至る。
「タピオカドリンクって割とウマいんだな」
これは日夜、犯罪者に立ち向かう彼らの物語である。
第一話 [解放]
ある日の昼頃、ビルの屋上で今流行りのミラクルタピオカ抹茶ラテとやらを飲みながら街を見下ろす白髪に白シャツ黒ズボンの男の名は止神 乱斗。SCCtの日本支部隊員である。
「それにしても平和だなぁパトロールなんて必要なのかよってくらい平和だぜ...イダッ!」
そう呟きながら屋上で抹茶ラテを飲んでいると背後から金髪ポニテの女にぶん殴られた。
「なに勝手に人の分まで飲んでんのよ」
ぶち殺すぞと言わんばかりの圧を彼女から受ける。
「うっせ そういう隼子こそ今まで何してたんだよ」
「アナタが隊員手帳を基地に忘れたって言ったからわざわざ取りに行ったのよ!はっ倒されたいの!?」
「ゴメンって」
ここは日本のとある街。二人はパトロール中、昼ご飯を食べるためにこの街によったのだ。すぐ近くにはショッピングモールや屋外ボルダリング場があり、たいへん賑わった街だ。乱斗はその屋外ボルダリング場がとても気になっていた。ちょっとそれが見たかったので眺めの良いビルの屋上で飯を食べようとしていたのだ。
「ほら隼子!そんなことよりアレ見ろよ!楽しそうだろ!」
「...話そらすんじゃないわよ」
「1回たったの300円でやってるんだって!やってみない?」
「パトロール中よ?一応...」
子供のように はしゃぐ乱斗に隼子は結構あきれていた。一応、これでも二人は単独任務をする事を許可された高階級隊員である。乱斗は近くのコンビニで買った食パンと野菜スティック、あとなんかよく分からないプロテイン系統の何かを頬張っていた。視線の先にはやはり屋外ボルダリング場があった。今は可愛らしい少女がチャレンジしてるようだ。
「ひいはぁ はほひほ」
「アナタねぇせめてそれを飲み込んでから喋りなさいよ」
行儀悪いわね。と呟きながらも隼子が屋外ボルダリング場に目を向けた。その時、
ビッ
「「!?」」
嫌な音がした。それと同時にボルダリングの命綱が切れた。先程の少女が頭から落下する----
高さは目測15 m。頭から落ちればいくらしたがマットでも重症、最悪は死もあり得るだろう。
「大変ッ!どうにかしないt...」
隼子が言い終わる前に乱斗は、ビルを飛び降りていた。
「乱斗!?」
隼子が驚きを声にすると同時にその場にいた人々も少女と乱斗に目を向けた。
「何だ!?男が飛び降りたぞ!?」
「危ない!!」
「気が狂ったのか!?」
「桜ぁ!!」
驚く声、焦る声、少女の名を呼ぶ声...今のは女性の声か...おそらく彼女の母親の声だろう。
乱斗は桜と呼ばれた少女を掴み、抱えた。大地に背を向けて落下する。彼女をかばっているのだ。
「ほうはいひょうふは」
口の中に頬張ったものを飲み込む。大地が迫る。
「任せなよ」
乱斗が能力を発動する。
ボオオオオオオン!と大きな音がして土煙が舞った。二人が落ちたのだ。
野次馬が集まる中、隼子が人混みをかき分けて二人の元へ駆け寄る。
「乱斗!!」
土煙が晴れた。二人はというと...
「へへ、ギリセーフだぜ...」
怪我はなく、二人とも無事なようだった。
周囲が唖然とする中、乱斗は笑顔を見せる。
「馬っ鹿 乱斗おおおおおお!」
隼子が乱斗の頭を思いっっっっきりぶん殴る。その光景を見て周囲は少し引いている。
「また考えるより先に動いて!私の能力なら確実に助けられたのにアナタが体張るほどじゃないわよ!もしアナタの能力が発動するのに少しでも遅れてたらアナタの体が壊れていたところなのよ!」
隼子の声があたりに響く。それに対して乱斗はフフッと笑う。
「たとえ成功率が何百分の一でも賭けに出なきゃいけねえときがあんだよ」
「はぁ...またそんな言い訳を...アナタらしいけどね」
野次馬をかき分けて少女の親が飛び出してきた。
「桜ぁ!!」
「無事か!!桜!!」
「お!?ご両親ですか!僕がかばいましたが何かあるといけないので一応、病院にいかせてやって下さい」
「わかりました!本当にッ,..本っ当にありがとうございました!!」
少女の父親を見た隼子はあることに気づいた。
「失礼ですが...金森さん...でしょうか?」
「え!?金森さんってあの金森財閥の!?まじか隼子!」
「一応、おえらいさんの名前と顔はある程度覚えてるわ」
少女の父は頷き
「そうです。金森財閥の金森 有助と申します」
「妻の暢子です」
金森財閥、日本有数の大企業でSCCt日本支部も援助金をもらっていた。
「この度は、娘の命を救っていただいてありがとうございました!」
「いえいえ、人助けが僕たちの仕事ですので」
その言葉を最後に金森夫妻と分かれた。
乱斗はボルダリング場を見に行った。少女がつけていたと言われる命綱の装着されたベルトを見た。縄は途中からきれいに切れていた。気味が悪いくらいにきれいに...
「.......」
乱斗は縄をじっと見つめた。何かを感じるのだ。黒く、どす黒い、なんかこう死神が命を狙っているかのように...
「なぁ、隼子」
「ん?何?」
「基地に検問の要請を出してくれ」
金森夫妻はボルダリング場から少し離れた公園に足を運んでいた。
「さっきは散々だったなぁ!桜」
「こわかった...」
「あとでアイス買ってあげるわね」
「やったぁ!」
桜は少し身震いした。
「?どうしたの桜」
「トイレいきたくなっちゃった」
えへへ...と桜が笑う。
「あらそう?漏らしちゃう前にトイレに行ってらっしゃい」
「はぁい!いってきます!」
とててて...と桜はトイレの方へ駆けてった。
その近くの木の陰には憎しみを込めた目で桜を見つめる男の影があった。
「ここ、片名荒 市から隣町に出る道路をすべて検問してくれって要請してくれ、お願いね」
「検問要請!?なんでよ!」
「時間は...そうだな1時間位を目安に頼む」
隼子の言葉をガン無視し乱斗は話を続ける。
「何でかって聞いてるでしょうが!」
「痛ってえ!!」
殴った。思いっきり乱斗の頭を殴った。
「で?何で検問要請するの?」
「なにって....勘だけど?」
「は?」
隼子は呆れた。言葉も出なかった。
「勘で...?この街から隣町へ行く道全てに検問...?何言ってるの?」
「いった通りだよ神に連絡回してくれ」
話を進める乱斗に隼子は些か怒りを覚えた。
「ただの勘でこの街全体を包囲するような検問を張らせてもらえると思っているの?」
「.....」
「勘なんて不確定要素の塊よ?アナタには勘が当たる確証なんてあるの?アナタのそういう所が....」
「確かにな」
乱斗がやっと反応した。
「だけど隼子にはこの勘が外れる確証があんのか?」
「ッ...!!」
その通りだ。勘なんて「思いつき」で「そんな気がする」だけだ。当たるかどうかもわからない。そんな能力を持ってない限り未来なんて分からないのにどうして当たるはずないと決めつけたのか。
「もしも、もしもだ 万が一の一が来たらどうする?他の9999通りの可能性を通らずに最悪の万が一が当たったときどうする?」
「.....」
「当たらないだなんて未来が分かるはずでもないのに言い切るのは違うな。もし検問しない結果、最悪の万が一が回ってきたときどうするんだ?その時、俺たちは人殺になるのかもしれない」
乱斗は淡々と話を続ける。
「そうしたら------」
「あー!もう!分かったわよ!神に連絡すればいいんでしょ!!」
「ありがとよ隼子!」
「まったくもう...ていうかアナタの携帯は...?自分で連絡すれば....」
「忘れた☆」
「はぁ.....」
プルルルル...と基地に隼子が連絡する。乱斗は例の縄をその赤い瞳で見つめていた。
ーもしもし隼子どうした?ー
「片名荒 市からその他の街に繋がる道全てに検問を張ってくれる?」
「止めるのは片名荒から出ていく車だけでいいって伝えて♪」
「わかったわ」
ー...片名荒は旧 新宿の二倍の広さがある。その規模の検問となるとそれなりの費用と人数が必要になるがそれなりの理由があるんだな?ー
「うっ...」
(乱斗の勘だなんて言える訳ない...)
ー...どうした?隼子ー
「ちょっとちょーだい」
数秒間黙っている隼子から乱斗が携帯を奪って話し始める。
「ちょ、乱斗!返しなさい!」
「よう神、俺が頼んだんだよ。後ついでに止めるのは片名荒から出ていく車だけでいいから」
ーはぁ...だろうな。微妙にそんな気はしてた...なぜ張るかの理由を教えてくれるか?ー
「勘だよ。ただの俺の勘だ」
ー勘だって?それでその規模の検問を張れと?ー
「その通りだ」
ー ......... ー
「 ......... 」
ーお前は昔からずっと変わらないなー
「そうか?」
ーあったんだろ?何かがー
「はは、まぁね」
ー何を見たかは知らないけれどもお前がそれだけ言うくらいだそれ相応の特殊能力犯罪が起こり得る可能性を見つけたんだな?ー
「はははっ...任せな今日の勘は当たる気がするぜ」
ー信じるぞ...?ー
「おうよ」
乱斗は電話を切った。そして隼子の方を向いてピースサインを送る。
「はぁ...その勘が外れたら承知しないわよ?」
「それなら平和で良かったなってことさ」
「はぁ....」
乱斗と隼子がそんな話をしていると二人の男性と女性が急いでやってきた。
「エ、エ、SCCtのお二方!」
その二人を見ると金森夫妻だった。
「娘がっ...娘の桜が行方不明になってしまいました!!」
「娘を!探してください!」
「隼子...」
「何?」
「残念なことに勘は当たりのようだな」
(ここはどこだろう...?)
目を覚ました桜は自分が縛られていることに気づいた。車の中にいるようだ。
「くる...ま?」
「...ちっ目が覚めちまったか」
「だ、だれ?」
(たしかトイレにいったあとうしろから....)
車を運転していた男は憎しみを込めたような声で話した。
「別にお前に恨みはねえ恨むなら俺じゃなくてお前の父親を恨みやがれ」
「どういこと...?」
車は高速道路を走り続ける。ただしかし、その先には...
「!?」
乱斗の要請した検問があった。
「はいその車ー 止まってくださーい」
「ちっ」
むりやり突破するのにもリスクがある。彼らの作るバリケードは車で無理やり突破するには難しく、無理やり行けば車が大破し爆発炎上してしまうしてしまう恐れがあった。ここは素直に指示に従うしかない。
(あれを使って切り抜けるか...)
「はーい一旦車の中みせてね」
と検問係に車の中を確認され
「た...たすけて...」
「あれ...?この子は...」
バギァ
刹那、車が真っ二つに切り裂かれた
「変なことするんじゃねえぞ もし変なことすればこのガキの命はないと思え」
男が脅しの言葉を吐き散らすも死角に隠れていた隊員が基地へ連絡した
乱斗が検問要請を出して30分後、二人はその場で待機していた。
「隼子も食うか?おむすび」
「探しに行かないの?桜ちゃんのこと...」
隼子が問うとその問いに乱斗は答えた
「いや、十中八九 桜をさらったやつと俺が今追っているやつは同一人物だ」
「根拠は?」
「勘だ」
「知ってたわよ 後、勘での推察に十中八九とか言わないでもらえるかしら少し期待しちゃうじゃない」
「ははっ」
ビーーーッ ビーーーーッ ビーーーーーッ
警報音がなった。隼子は通信機を取り出す。
「はいこちらSCCtの 皆神 隼子と止神 乱斗です」
ー片名荒市から逃道町に続く高速道路において検問拒否をした男が能力を乱用し暴れている。届いた映像から男は八裂 切談34歳 現無職だと判明、直ちに現場へ急行せよー
「「了解」」
「そこならここから近いわね私ならすぐつくわ」
「あーゴメンだけど隼子は俺の携帯を取りに戻ってくれねえか?」
「は?」
「頼める?」
「アンタはなんでこう,いつもいつも...はぁ...分かったわよ」
「ありがとよ そこなら俺でも早くつくからな」
「任せたわよ」
「了解!」
二人はそれぞれの目的地へと走り出した。
「おいこら!逃走用の車を用意しろ!そしてバリケードを解け!」
高速道路では男が騒いでいた。
「くっ...どうすれば」
「ほほーん派手にやってるねアイツ」
「!!乱斗さん!!」
「あ"?誰だおめぇ」
ヤツは声を荒げる。
「やぁ!俺は止神 乱斗!SCCtの隊員だ!」
「なんだと?」
「さぁ、桜ちゃんを返してもらおうかな」
「ちっ次から次へと邪魔しやがって...お前か?ここに検問張ったのは?」
「そだね」
喋りながら、近づく。ゆっくり...ゆっくりと
「なぜ張った?」
「桜ちゃんが殺されそうだったからね」
「気づいてたのか?」
「まぁ、縄が切れてたからな」
「事故だとは思わなかったのか?」
「思ったさ最初は、だけど縄を見たらきれいに切れてたからな事故なら千切れているはずだあそこまできれいに切れたら誰かが切ったとしか思えん」
「どうやって切ったと言うんだ?」
「お前の能力はまだ知らんがそう思った...勘だよ」
「ちっ読み辛えやつだ...な!」
男は地面に手を付けた。すると高速道路は真っ二つに割れ大きな谷ができた。
「これでこっちには来れね...」
「能力による器物破損を確認...というわけで特能犯と認定して...俺が取り締まる...ぜ!」
いつの間にかすぐ目の前にいた。そして腹にボディーブローが決まる。
「ガハッッ!!」
重い一撃を喰らった男は後方にとばされる。
「特能犯罪規則の一つ【特能犯罪者は操られている場合、無罪となる】お前の意思でやってるんだろ?無罪にはなんねえな。」
(クソっ!馬鹿みたいな一撃喰らっちまった!)
「一ついいこと教えてやるよ【特能犯罪を犯したものはSCCtに加入し戦力として忠実に働けば無罪、または執行猶予をつけられる】アンタの能力強そうだしSCCtは基本人手が足りねえから大歓迎だぜ?」
少し煽りじみた声色で話され男の怒りの感情が表にでる。
「動くなぁ!そこを動いたら切るぞ!」
そう言うと男は掌をこちらに向ける。だがしかし
「いいぜ?撃ってみろよ」
「「「「「「!?」」」」」」
その場にいる全員が驚いた。高速道路を真っ二つにするほどの威力だ。当たれば大怪我では済まないはずである
しかし約一名がそれとは違う驚きを表していた。
「あれ?撃たねえの?」
「わかってんのか...俺の能力?」
「いや?だけどあらかた予測は付いてるぜ?お前の能力は、掌で触れることで発動するんじゃないか?いいね、俺と違って戦闘向きじゃん」
「...なんで分かるんだよ」
「その手、縄の跡がついてるだろ?桜ちゃんが掴んでいた命綱の跡と一致してんだよ。どうやって切ったっていうのか聞いたな?お前は係員に扮して縄に触れ、切ったんだろ?」
乱斗がニヤニヤしながら話し続ける。
「つまりお前の掌さえ警戒すればいい....ってわけじゃないんだ....ろ!」
斬撃が、飛んだ。
「ちっ」
「なるほどねぇ空気に触れて空気を切断するのに俺を巻き込む...それで飛ぶ斬撃の完成ってことか」
「クソが...」
「でもこれで遠近両方ともOKなバケモンの完成か...さてどうしたものか」
飛ぶ斬撃の散弾が乱斗を襲う。斬撃はうっすら見える。速度も大したことはない。しっかり見れば躱せないことはない。
(俺は接近戦型の戦い方だからな...飛ぶ斬撃、アイツの後ろに縛られた桜がいる、俺の背後はアイツが斬撃で作った大きな谷...退がるはないな、前に出る!)
乱斗が真正面を突っ走る。しかし、斬撃の弾幕が更に多くなる。
「おおっと...あぶねえな...」
避けるのに精一杯だ。だが果たしてこの斬撃は高速道路を真っ二つにするほどの威力があるのか?一か八かだ突っ切ってみよう...そのほうがきっと楽しいよ
これならきっと助けられる
「いくぜ?おっさん!」
「!?」
激しい斬撃の嵐の中乱斗は男に向かって突っ込んだ。ある程度の斬撃を避け、進む。
「くそぉ!来るなぁ!」
ニッ
乱斗は男の脇をすり抜けた。
桜に乱斗の手が触れる。
(こいつ!俺じゃなくてガキを狙って!だが...)
男はギリギリ乱斗の左腕を掴んだ
「!!」
「一歩遅かったようだなぁ!」能力発動-----[切断]
ババババスッ
と音がなり乱斗の腕に無数の深い傷が刻まれた。
せっかく桜に届いた手は離してしまった。
「ははっ惨めだなぁ!手が届いたのにも助けられず!自らが傷ついただけ!面白いよ...本当に面白い!傑作だ」
「...めるなよ?」
「あ"?」
「SCCtを舐めるなって言ったんだ」
圧倒的な気迫。背後を取られたわけでもないのに気取られた。
「手が届いても助けられない人がいないようにするために...俺はこの能力でせめて手が届く範囲の人は助けたい」
意思、信念、心、全てが乱斗を突き動かす。
能力発動--------
「 [解放] !!」
途端に桜を縛ってた縄が解かれた。
「は?」
一瞬、呆気にとられた。
「俺の能力は、[解放]俺が一度触れた対象のしがらみ、束縛、拘束、全ての囚われから開放する。今のが分かりやすいだろ?」
なんて非戦闘用の能力。全くのハズレだ。だからこそ男は桜を真っ先に狙う。
(アイツの能力は非戦闘型!だからこそガキが逃げ切る前にガキを始末してやる...!)
「舐めるなと言ったろう?」
[解放].....
「“空気爆弾”!!」
ボオオオオオオン!と音がなった。男と桜の間の空気が、爆ぜた。
「なっ.....!」
「空気はよ、分子っていう小っっっさな粒の集まりでできてんだ...その分子も原子っていうもっと小っっっっっっさな粒がお互いを引っ張り合い、分子として存在する。空気に触れることによって俺の能力の条件を満たし、原子同士の繋がりを俺の能力で解放させる。それで起こる爆発的なエネルギーが空気爆弾だ。これって便利でな、落下時の衝撃を軽減させることもできるんだわ」
桜は落下するのを助けてもらったときを思い出していた。“空気爆弾”の衝撃により男は乱斗の方に飛んでいく。
「『罰拳』って知ってっか?ま、知らねえだろうけど俺がガキの頃習った武術だ。八つの型で構成された武術で、悪を罰する拳術だ」
拳が空を走り風を切る音がなる。
「『罰拳』弧型“罰改弧薩”!!」
会心の一撃が決まる。
「がはぁあ!」
男は白目をむいて倒れてしまった。
「う、うぅ...うわあぁぁん」
乱斗は小さな天使を抱きしめてその場から離れさせた。
「くそ!くそくそくそくそくそくそくそおおおおおお!」
大声で叫びながら男は錯乱していた。意識はほとんどない。...今の彼を動かしてるのは矮小なプライドだろう。
手当たり次第、斬撃を周りに撃ちまくる。誰も近づけなくなっていた。
「遅えよ」
その時、天空から何かが落ちてきた。
「“射撃”!!」
ズタアアアアアン!と轟音がなって金色の髪の少女が男を天空から踏みつけた。隼子だ。
「遅えよもっと早く来れただろ」
「携帯!忘れたのって!嘘だったのね!!」
隼子が声を大にして怒鳴る。
「ゴメンって」
「何でこんな事したの!?」
「まぁ他のとこで検問かかるやつがいたらソイツとっ捕まえさせるためにお前は別行動にしたんだよ」
「なにそれ!なら最初から言いなさいよ!」
「行っても聞かないだろ...お前」
「まぁ...そうだけど...」
そんな話をしていたら、捕縛帯が到着した。
男は捕まった。「特能器物破損罪」、「特能傷害罪」、「特能殺害未遂」etc...
どうやら男はある会社の元職員だったが金森財閥の勢力が上がった際に商品が売れなくなり倒産したのだという。しかし、これはたまたまであり金森財閥が直接的にも間接的にも彼の勤めた会社が倒産したのに何も関係ないのだ。
「つまり、完全なる逆恨みだったわけかぁ」
「そのようね」
「はぁ...下らねえな」
くあ...と乱斗は大きなあくびをする。
「まぁ、いいお礼ももらったことしいいんじゃない?」
二人の手首には事件の日から数日後桜から貰ったうさぎのビーズのブレスレットがあった。
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
「あら?もう時間なのね...」
「あーもう少し休憩したかったなー」
「仕方ないでしょ仕事なんだから」
「うーい」
気の抜けた返事をしながらも二人は会議室へと足を運んだ
これは日夜、犯罪者に立ち向かう彼らの物語である。
第一話 [解放] 完
第一話 [解放] をお読みいただきありがとうございました!
前書きでも書いていますが、学生が趣味で書いた程度の作品なので見苦しい場面が多かったと思います。
それでも!最後まで読んでいただきほんとに感謝です!
能力バトル物なんて呪◯廻戦やヒ◯アカ、ワ◯ピース等といった巨塔達がいる中で何番前事だよ...ってなりますがすみません。こんなものしか書けないのです...
趣味で書いてるものなので投稿頻度はヒドいと思いますがご了承ください...
後書きではちょっとした設定開示を行っていきたいと思います!
SCCtは
異能 Special abilities
犯罪 Crime
対策 Countermeasure
部隊 troops
でSCCtです!
まじで!読んでいただきありがとうございました!