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やっぱり「物理」が最強!  作者: 和紗泰信
召還されたら無双したい
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第1回反省会

時系列としては第1話の続きです。

 最初の攻略ポイントからトウキョウ・シティに戻ってきた俺たちは反省会を行うことにした。プロジェクトが終わったら問題点を洗い出し、それを次のプロジェクトに活かす。これが大変重要なのだよ。

 参加者は俺と、俺が作ったホムンクルス12体。一応、心の中では「十二神将」と呼んでいる。……「イタイヤツ」とか言わないでくれ。徹夜明けのノリで作っちゃったんだから、反省はしてるんだよ。まぁもう受け入れたけどね。ちなみに表向きは「12ガーディアンズ」というチーム名にしている。まぁ「十二神将」と大して違わんという話もあるが。

 ホムンクルス達の名前は数字シリーズで統一してある。秘書兼ボディガードという名目だが作戦立案を行うのがミクとミナ。最初にミクを作った後にさ、なんとなく思ってしまったんだよ。


「ミクって数字で書くと39だよなぁ……じゃあ全員数字で統一すればいいんじゃね?」


 そんなノリで、ミクの次に同じく作戦参謀として作ったのがミナ【37】だ。俺とこの2人で基本的な作戦を立案する参謀チームだ。


 続いて戦闘チーム。これはシロウ【46】、ロイ【61】、ロック【69】の近接戦闘組と、遠隔攻撃を得意とするヤヒチ【87】の4人で構成している。

 他には諜報活動チーム、そしてサポートチームがある。

 諜報活動チームは電子戦を担当するニーナ【27】とニック【29】、そして潜入などの物理的な活動を行うクミ【93】とクウヤ【98】。

 最後にサポートチームは俺の生活面でのサポートと事務処理担当ということで、ミイ【31】とミサ【33】がいる。一応、男性型と女性型の数は同じだけ作った。もちろん筋肉ムキムキの女性は個人的な好みではないので、戦闘チームは男性型、参謀とサポートチームは女性型。諜報活動チームは男女型が半々だ。だってデブガリ王が「個人の好みで構わない」って言ったもん!


「さて、今回のミッションについて反省会を行いたい。ミク、司会をお願い出来るか。」


 俺たちの拠点内にある会議室にはドーナツ型をしたテーブルが置かれている。円卓ならぬ輪卓とでも呼ぶべきものかな。輪卓を囲むようにして俺たちは腰掛けている。俺の左側にミクとミナ、そしてニイ、ミサが座っている。反対側の右側にはシロウ、ロイ、ロック、ヤヒチと並び、向かい側には諜報活動チームのニーナ、ニック、クミ、クウヤだ。


「イエス、マスター。ではまずミッションの経緯を振り返ります。」


 俺たちの目の前に、録画されていた映像を含めたミッションログが浮かび上がる。これは脳に直接働きかけて映像を見せているらしい。VRゴーグルとかもいらないというのは便利だな。


「今回のミッションはトウキョウ・シティから直線距離で約1500km離れたハバロフスク・シティ内に構築された不正アクセスポイントを無力化するというものでした。」


 トウキョウ・シティとハバロフスク・シティの位置が地図上でハイライトされる。ちなみに最初のミッションだということで、最も近い攻略ポイントを選んでいる。その際、ニーナとニックの電子戦組、ミイとミサのサポートチームは同行させなかった。まぁ物理的な戦闘ではあまり役に立たないしな。


「本来ならハバロフスク・シティに設置されている転送機を利用して我々が突入できれば良かったのですが、あちらの転送機がロックされていたために利用できませんでした。そのため、クミとクロウが操縦する小型航空機にロックされていない転送機を搭載してハバロフスク・シティに突入させました。到着した転送機を使い、マスターと我々ホムンクルス6体、アンドロイド12体、そしてガン・ドロイド50両を送り込みました。」

「転送機ネットワークがあるのに、物理的に転送機を運び込む必要が出てくるとは思わなかったけどな。」


 ミクの説明に対し、シロウが面倒くさそうな感じで応じる。それに物言いを付けたのがクミとクウヤだ。


「その航空機を操縦してたのはあーしたちだしぃ。ねぇ、クロヤ?」

「……帰りも操縦したから疲れた。」

「そうそう。こっちの身にもなって欲しいって、マジで。」


 確かに。この辺は自動操縦で突入できる方法を考えるべきかもしれん。


「次のミッションまでに、突入用の機体を自動操縦で送れるようにできるか?」

「そうですね……高空からの突入であれば可能です。ただし迎撃される可能性も高くなります。今回の様に低空からの侵入ですと迎撃を避けやすくなりますが、気流や地形などから受ける不確定要素が多くなりますので、かなり高度な人工知能を搭載する必要があるかと。」

「確か田中氏だったか川本氏の話だと、研究用の航空機があったはずだろ。あれはそういうのを積んでるんじゃないのか?」

「低空侵入を想定したものでは無いので、そこまで高度なものは積んでいないですね。」


 なるほど。するとデブガリ王と交渉する必要があるか。まぁ、そのくらいの要求は飲ませるか。


「わかった。そのあたりは王様と交渉してみよう。」


 俺たちがミッションに利用する転送機の輸送方法についてはこれで良いとして、次の話題だな。と思ったら、電子戦担当のニックから別案が提示された。


「マスター。転送機の輸送は航空機にこだわる必要があるのか?」

「というと?」

「航空機だとどうしても速度が遅くなる。であればミサイルというかロケットのペイロードとして打ち込むという方法があるのではないかと。」

「着弾の衝撃で壊れてしまうのでは?」


 ニックの提案に対し、ミクから問題点が挙げられる。そうだな。速度が上がれば上がるほど衝撃も大きくなるしな。

 だがニックの返答は簡単なものだった。


「その辺はどうとでもなると思う。マスターの時代にも火星探査機がパラシュートとエアバッグだけでハードランディングさせていたという記録もあるし。衝撃力の計算は必要だが、最悪は緩衝材でくるんでおくという手もある。」


 なるほどな。俺の時代の火星探査機って、そんな感じで送られてたんだ。すげーな、NASA。


「すると、使い捨てるわけですから、残る問題はコスト面ですか。」

「いや、そこは無視して構わんだろ。むしろ今回の様にターゲットポイントの近くに航空機の離発着可能な場所があるとは思わない方がいい。」

「つまり、狭い場所であってもピンポイントで転送機を繰り込むことができる、と。」

「ああ。なんなら一緒に防衛用のガン・ドロイドも送り込んで周囲を制圧して、その後にマスターや俺たちが乗り込む形だな。」


 シロウが戦術面からの指摘を加えて形にしていく。この辺りは現場指揮官という感じだな。

 ミク、ニック共に頷いているから、この提案はOKということだろう。今後は操縦しなくて良さそうだとわかったクミとクウヤも表情が柔らかい。うん、では次回のミッションではそういう方向で行くか。でもミサイルぶち込んで大丈夫なのか?


「1つだけ気になる点があるんだが、今回のハバロフスク・シティだと先方の許可ももらわずに強行突入しただろ。航空機はともかく、ミサイルだと戦争にならんか?」

「許可を取らずに突入した段階で、航空機だろうが、ミサイルだろうが、どっちもどっちですよ。それに都市の建造物を破壊するために爆弾を積んでいるわけではありませんし。」

「まぁ、後からやってくるマスターや俺たちの方がよっぽどやべーけどな!」

「ちげぇねぇ!」


 ロイとロックがそう言って笑い飛ばす。戦闘チームはこういうメンタリティで揃えたけど、良い感じだ。緊張した雰囲気も吹き飛ばしてくれる連中というのはありがたいもんだ。これは元いた会社でもムードメーカーがいるチームとそうでないチームで、プロジェクト進行に差が出ていたことから学んだ経験だ。


「じゃあ、突入については次回以降はそういう方針にしよう。」

「はい。では続いて建造物内への侵入と戦闘ですね。」


 ここからが本番だ。何しろ今回の編成が正しかったのかどうかをしっかり検証する必要があるからな。ガン・ドロイドをかなり使い捨てる形で乗り切ったが、それでも突入戦と撤退戦とでアンドロイドも合計9体が破壊され、12体中3体しか戻らなかった。9体は頭脳だけを回収したが、ボディを使い捨てる形になった。


「今回はガン・ドロイドの損耗率が最終的に80%を超えました。いくら使い捨てを前提としていたとはいえ、敵の戦力分析が甘かったと言わざるを得ません。」

「それについては弁解できません。ハバロフスク・シティが提供してきた情報を基にして投入戦力を弾き出し、安全係数を200%見込んでいましたが、まさかここまで提供された情報との差があるとは思いませんでした。」


 ミクに指摘された点について、敵戦力についての情報分析を担当したニーナが素直に謝ってきた。今回は初めてのミッションではあったものの、だからこそ安全係数を多めに見積もってもらったのだが、まさかここまで齟齬が出るのは想定できなかった。


「それなんだが、ガン・ドロイド、アンドロイドは撤退戦の時に多く破壊されてるだろ。撤退戦が想定違いだったのか?」

「いえ、シロウやミク、ミナとも話をしていましたが、撤退戦も厳しくなるだろうというのは想定していました。敵からすると、他の拠点に対して同じ攻撃手法を採られるのは避けたいでしょうから、マスターを捕らえにくるというのは明らかでしたし。」

「例えマスターでなくても、そんなところに出てくる人間がいれば、それは脅威だからなぁ。」

「はい。そう考えると今回の戦術は敵にとっても分析に値するものだったでしょう。」


 なるほど。こちらが分析をしているのと同様、当然相手側も反省会をしているということか。だとするとまったく同じ戦術でミッションを行う事は自殺行為だな。面倒くせぇ。


「次回はサーバールームの破壊を皆に手伝ってもらいたいんだけどな。」

「サーバールーム内の武装を無力化してもらえれば、あとは俺たちで何とかできると思う。」


 シロウがロイとロックの方を確認してから提案してくれた。そうだな、あの防衛用レーザー銃だけ破壊すれば、あとはお任せでいける。だとすると、破壊工作をやっている間の防衛戦力をアンドロイドに任せるか、もしくはガン・ドロイドに任せるか、か。


「ガン・ドロイドは転送機の防衛と突入時の後方支援に特化させて、アンドロイド兵を増やすのが良いと思います。」


 俺が悩んでいるのを見て、ミナがアイデアを出してきた。しかし、俺は個性を持った連中が破壊されるのは好まないんだよ。


「マスターが、個性を持っているアンドロイドが破壊されるのを避けたいのはわかります。ですので、思考回路がコピーされている大量生産型のアンドロイド兵を投入してはいかがでしょう。指揮をするアンドロイドはこれまでと同じにしておけば、不測の事態にも柔軟に対応できますし。」

「いや、それだったら俺たちがそいつらを指揮するから、サーバールームの破壊もそいつらに手伝わせればいいんじゃねぇか?」

「なるほど。それもそうですね。」


 うちの連中は優秀だなぁ。おれが口出しをしなくても、どんどんアイデアを出して詳細を決めていってくれる。俺は最後に「承認」って言うだけ。こういうのがいいよねぇ。


「すると、サーバールームに突入するアンドロイド兵は、マスターの指揮下に置きますね。」

「それでいいと思う。もちろん、ミクやミナの指揮下に置いてもいいんだが。」

「マスターの安全確保を担当する一部の機体はそうなるでしょう。ですが、内部に突入する機体については、基本的にはマスターの指揮で動いた方が良さそうです。」

「それもそうか。」

 

 いいねぇ。これで次のミッションの骨格は固まったかな。そんな感じで「うんうん」と頷いていたら、ミクが俺の方を見て、「重要なことだから言いますね」という雰囲気を漂わせて言ってきた。


「あとはマスターの問題だけです。」

「ん、俺か?」

「はい。『貧弱な坊や』では困りますので、体を鍛えていただく必要があります。パワーアックスを私に回収させるなど、あってはならない事だと思いませんか?」

「……鍛えるのって、大変じゃん……」

「鍛えないと、また筋肉痛ですよ。」

「なんかさ、こう……『肉体強化魔法』みたいなのはないの?筋力を増幅させるとか、そういう感じの。」


 魔法が存在していないのは知っている。でもこれだけ科学技術が発達してるんだったら、そういう技術があるんじゃないかと思うんだ。あるだろ?あると言ってくれ!

反省会をやったら、打ち上げ会も必要だと感じたので、このあと書く予定。

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