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やっぱり「物理」が最強!  作者: 和紗泰信
共闘のススメ
33/55

久しぶりの反省会とその後で

すみません、遅くなりました。

投稿時間直前まで書いていたのは久しぶりです。

 トウキョウ・シティに戻ってきた俺たちは、合同反省会を開催していた。なんだかんだで、久しぶりの反省会になったような気がする。カレー、チュニスとキャシーに邪魔されて作戦がキチンと機能しなかったので、今回はクルンテープ以来のまともな反省会だ。それも合同作戦だったので、反省会も合同となる。いつもの会議室だとちょっと手狭なので、今回は打ち上げを行うときに使う食堂というかゲストスペースを使っている。

 ちなみにこの食堂。俺がいた時代のちょっと良さげな社員食堂みたいな雰囲気に仕上げている。いや、この時代の食堂はホテルの宴会場みたいな感じでゴージャスすぎて、普段使いするのには落ち着かないんだわ。窓際に観葉植物が置かれている程度がちょうど良い。


 俺は口を付けていたコーヒーカップをテーブルに置かれたソーサーへと戻し、会の開始を宣言する。


「さて、久しぶりに作戦通りミッションが推移したわけだが、まずは流れを見ていこうか。ミク、お願いできるか?」

「はい、お任せ下さい。」


 ミクが何らかの操作をしたのであろう。目の前に大型の画面が広がる。ナノマシンを導入してからというもの、ディスプレイを用意してもらう必要もなければ、ゴーグルのようなデバイスを装着する必要もない。傍から見ていると、俺たちは椅子に座って、全員が空中を眺めているだけである。うん、考えてみるとシュールだな。俺のいた時代で言えば、無線ヘッドセットを付けて誰かと喋りながら歩いている人がいて、「一人で話している変な人がいる」と思ったことがあったが、あんな感じだろうな。


「まず、今回検証できたポイントをまとめました。」


 1つ目はルォシーチーム単独での戦闘能力把握。2つ目はルォシーチームを前衛とし、俺たちのチームが支援するパターンでの能力。3つ目はチームメンバーを完全に合流させて、その中で役割分担するパターンでの能力だ。

 今回の攻略ポイントがたまたま3ヶ所に分散していたおかげで、すべてを1回の攻略戦で試すことができたわけだ。


「1つ目については大きな問題はないと思われます。旧サウス・ケンジントン駅攻略で検証した結果、細かい連携の部分などは詰めていただく必要があると思いますが、今後、単独での攻略が可能であると判断できます。」

「そうね、短時間での連携訓練しかできていなかったから細かい修正点はあるけど、私たちだけで拠点攻略ができるだろうというのは間違いないわね。そうでしょ、ヒトミ、イヨ。」

「はい、マスター。大きな問題はないと考えます。」

「同じく」


 ミクのまとめに対し、ルォシー、ヒトミ、イヨがそれぞれ答える。これで同時に2ヶ所の攻略を行えるようになるわけだな、俺たちは。


「2つ目の検討ポイントです。タカシマチームによる支援についてですが、これも旧サウス・ケンジントン駅攻略で検証した結果、ナノマシンを使った魔法の範囲を設定するのに慣れていなかったこともあり、当初は的確な支援ができていたとは言えない状態でした。最終的にはずいぶん良くなったと思います。ただしもう少し訓練が必要でしょう。」

「そうだな。ナノマシンの散布濃度と発動エリアの調整が必要だな。」


 悔しいが、もう少し調整が必要だ。キャシーはどうやって適切なバランスを見極めているんだろう? もしかしたらあのウーニとかいうロボットがバランス調整をしているのかもしれないな。


「3つ目です。こちらは最初の攻略ポイントであるクード運河東岸施設で検証しました。最初の合同作戦としては申し分ない結果かと。最も効率が良かったのもこの攻略戦でした。」

「そうなのか?」


 一番慣れていないはずのポイントだけどな。コーヒーを一口飲んでから、ミクに続きを促す。


「はい、最も慣れていなかったのは事実ですが、近接戦闘要員と遠距離支援要員とを分けたことにより、攻略になれているタカシマチームメンバーからの指示がある程度あったため、効率が上がったと思われます。」

「困ったときに訊ける相手がいましたからね。」

「そういう意味では旧サウス・ケンジントン駅の時には迷っても訊くに訊けなかったし。」


 シイとナオが同意する。そういえば確かにあまり詰まらずに、さらっと攻略できた印象があったからな。


「つまり、場数を踏んで『慣れろ』ってことね。」

「そういうことになります。細かい連携なども、皆さんには私たちの経験をフィードバックしてはいますが、場数という意味では我々も不足しています。判断までの速度を上げなければいけない、というのを実践できているかどうかという点だけの違いかと。」

「じゃあ、明日、明後日は休むんだっけ? その後から場数を踏む訓練に当てるとしましょう。」

「そうだな。そうしよう。」


 全員の顔を見回す。特に異論があるわけではなさそうなので、今回の反省会はここまでとして、そのまま慰労会に突入だ。一働きした後は美味いメシを食って休むに限る。


 ミイ、ミサ、そしてルォシーチームのサヨとサヤが食べ物と飲み物をセッティングする。みんなメイド服だ。まぁ俺の趣味が全開になっているともいうが、ルォシーも反対していなかったので、こういう時の服装としてお願いした。ちなみにルォシーも着たがっていたが、シイに止められていた。いや、着てもいいんだよ?


 一応アルコールも出ているようだが、ウチはミサがアレだからなぁ……あんまり飲ませないように注意しないとダメだ。というわけで、常に俺の隣にいてもらうようにして、酒量をコントロールした。最近はミサの方も分かってきているようなので、俺と食事をするときは控えめにしている。

 ホムンクルスなんだからみんな同じ様な体質なのかと思いきや、適当な個体差を割り振ったのが影響して、酒乱だったり、酒が弱くてすぐ寝るヤツがいたり――ウチの場合はニックだが――メッチャ食べるシロウ達やあまり食べないミクとかに分かれる。ちなみにミナは意外と大食漢だったりする。でも太らないのでクミとニーナにうらやましがられていた。


 ちなみにルォシーチームのホムンクルス達も同様だ。俺は「酒に関してだけは酒乱のヤツが出てくる設定は止めた方がいいぞ」とアドバイスをしたんだが、「それはそれで人間味があって良い」というルォシーの一言で、完全にランダムな設定をされている。どこに爆弾がいるのかわからんから怖いなーと思っていたんだが、ヒトハとフタバの双子として設定した2人の酒癖が悪かったようだ。言わんこっちゃない。ルォシーが絡まれて、ヒトハに羽交い締めされたところへフタバに瓶ごと口へ突っ込まれてる。

 ヤオはヤヒチと馬が合うのか、武器談義に花を咲かせている。シイは双子がルォシーより前にダウンさせてたな。逆にイヨとヨナがウワバミ状態ですごく飲むので、標的がルォシーになったようだ。ヒトミは「我関せず」とばかりに、1人で黙々と食べている。あー、ミナと同じタイプか。似たもの同士の気配を感じたのか、ミナがスイーツを山盛りにしてヒトミの前に座ったな。楽しそうに食べているから、あそこも気が合うんだろうな。こうやって仲良くなって交流が増えることで、新しい戦術なども生み出されていくと良いな。


 しかしルォシーは強いな。もしかして肝臓も強化されているのか? 2人がかりで飲まされているのに、まったく動じる気配がない。むしろ逆襲を受けたヒトハとフタバがダウン寸前だ。そろそろ宴会も終わりかねぇ。


「マスター、1つお願いがあります。」


 ミサと2人で椅子に座って食後のデザートとコーヒーで一息ついていると、後ろ手に手を組んだミクがやって来た。なんだ?


「どうした、ミク?」

「はい、どうやら私だけ他の方々よりも感情の起伏が少ないようで、もしかしたらこういう場での振る舞いがうまくできていないのではないかと思っているのです。」

「……ああ、なるほど。しかし、そう簡単に性格を変えるわけはいかないぞ。」


 ミクの顔を見上げながら、そう答えた。無表情な顔で上から見られるというのは、ちょっと圧迫感があるよな。仕方がないんだが。


「はい、それはわかっています。ですので、せめて行動だけでも変えてみようかと思いまして。」

「『壁の花』になるとか言ってたけど、進歩したな。」

「ありがとうございます。それでお願いというのは、こういうことです。」


 俺の顎に左手を添えて上を向かせたミクは、右手に隠し持っていた焼酎の壜を俺の口にねじ込んできた。アルコール度数の高い液体が喉を一気に通り抜けていく。さすがにむせそうになるが、ミクの左手はそれを許さない。


「ルォシー様とヒトハ、フタバのやりとりが楽しそうでしたので、是非とも私もやってみたくなりまして……」


 ちょっと待て、それはおかしい! ギブ、ギブ! この状態はまずい。さすがにこれなら途中でミサが止めに……入って来ない! ミサは……あー、いつの間にやら飲んで良い感じになっていた。目が少し潤んで俺とミクのやりとりを楽しそうにケラケラ笑って見ている。しまった、酒量コントロールをミスったか!


 そのまま俺の意識は途絶えた。またかよ。



 翌朝、ベッドの上で目が覚めた。さすがにナノマシンが分解してくれたのか、二日酔いにはなっていないようだがひどい目に会った。あー、ミサが左腕に裸で抱きついてるな。ダウンした後、ここまで運んでくれたんだろうか。前もそうだが、よくあの状態で運べるもんだと感心する。

 右手でミサの頭をなでようとするが、動かない。あれ、右腕にも誰かが捕まってるな。なんだ、この状態は。一体誰が……ミクかよ。しかも裸で。


 え、ちょっと待って。夕べ何があった? やべぇ、覚えてないぞ。意識を失った後、ずっと寝てたんだよな。まさか手を出したりしてないよな?


「ん……うん……」


 頭がパニクっていると、ミクが目を覚ました。うつ伏せになり、顔をこちらに向けて左手で目をこすっている。


「おはようございます、マスター。昨夜は満足していただけましたでしょうか?」

「え……満足って、お前……」

「はい、ミサさんの指導の下、頑張って励ませていただきました。」


 おおい、ミサ! お前、何やってんの?!


 俺の左側に寝ているミサを揺すって起こす。


「あー、マスター……おはようございます。」

「おはようミサ。今日もかわいいね……ってそうじゃなくて、ミクもいるんだけど?!」

「あら、ミクさん。おはようございます。」

「ミサさん、おはようございます。昨夜はご指導ありがとうございました。」

「いえいえ、お気になさらず……に……?」


 そこまで言って、ミサはぱっちりと目が覚めたようだ。やっぱりいつも通り、寝ぼけてたか。


「ミクさん?! えっ、どうして?」

「いえ、一緒にマスターを部屋までお送りした後、『ご一緒しませんか?』とお誘いを受けましたので。」


 ミサの顔がさーっと青くなる。あー、覚えてないのね。そんなことだろうと思ったよ。前の時も覚えてなくて、でも折角だからなかったことにもせずに今の関係に発展したんだからなぁ。とはいえ、今回はどうしよう。


「マスター、まさかミクさんにも手を出したんですか?」

「……覚えてない。でもミクが言うには、ミサが指導したとか何とか……」

「はい、マスターの喜ぶことを手取り足取り教えていただきました。」


 ミクさんや。そこは恥じらうところなんだよ。真顔で言うのはやめてくれる、お願いだから。


「とりあえずシャワーを浴びて、服を着て、朝飯を食べながら考えようか。」

「……そ、そうですね。そうしましょう。」

「では、ベッドメイクをしておきますので、お二人はシャワーを浴びてきて下さい。」

「……はい……」


 気まずい。でもその場に居つづけるのはさらに気まずいので、ミサと2人でシャワーを浴びた。いつもならここでもちょっとイチャイチャするんだが、外にミクがいるのでさすがに遠慮する。

 交代でミクがシャワーを浴びている間に、俺たちは着替え、ミサが3人分の朝食を用意する。修羅場の朝ってこういうもんなんだっけ? 俺の元いた時代でもこんな経験はないので、全くわからん。


 食事中、ミサがいろいろと気を使いながら会話を回していく。とはいえ昨夜のことに触れないのには限度はある。だって、この状態だし。


「ところで、昨夜の話をお二人とも避けているようにお見受けしますが、やはりマズイのでしょうか?」

「マズイというか……ミクは嫌じゃないのか?」


 ミクは頭をコテンと倒して疑問形のポーズを取る。こいつ、わかってないな。

 

「私たちはマスターに仕えるために生まれたのですよ。何が嫌なのでしょう?」

「うーん、そういう意味では私も嫌じゃないんですよね。」

「お前達、それで良いのか?」

「マスターは全員と関係を持つようなハーレム展開をお望みですか?」


 待て。俺も健全な男だが、好みはあるし、ハーレム展開……も悪くはないのか? いやいや、何か不誠実な感じがしてイヤなんだよ。どうするかなぁ。

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