第四十話:九条真琴という魔術師2
※前回からの続きです。
九条真琴は魔術師の御三家の一族、九条家の魔術師として生まれてきた。
真琴には一つ歳上の兄がいた。名は、深琴。
深琴は優れた魔術師であった。無論、強力な力の持ち主であるが故に、九条家の次期当主として育てられてきた。
そんな深琴の弟である真琴は兄をとても尊敬していたし、いつか自分も兄のようになりたいと願っていた。
しかし、深琴の華々しい魔術師としての人生は、実に呆気なく幕を閉じることとなる。
ーー水無瀬家当主、水無瀬暁人によって一族を追放されたのだ。
水無瀬暁人は深琴が魔術師として犯してはならない禁忌を犯したとして、彼を告発した。真琴には信じ難い事実だった。
兄がそんなことをする訳がない。誇り高き九条家の次期当主である魔術師が、そんなことをする訳がない。なにかの間違いだ。水無瀬暁人によって真実をねじ曲げられている。真琴はそう信じて疑わなかった。
しかし、真琴の思いとは裏腹にスキャンダルを恐れた一族によって、深琴は事実を明らかにすることなく、秘密裏に一族から追放された。水無瀬暁人にあらぬ疑惑を向けられ、行方不明になった。という情報を流して。
それでも多少なりともその話が本当なのか、かけられた疑惑が事実であることから、逃げたのではないかと疑う者もいたが、一族にとっては「九条家には自ら禁忌を犯し、追放された魔術師がいる」とされるよりはマシだった。
例えそれが事実でなくても、噂には尾ひれが付きもの。その噂が大きく広まれば、九条家の名を穢すことに繋がり兼ねないからだ。
その時から真琴は九条家当主として生きることになる。貪欲に強さを求め、いくら非道と言われようが汚い手を使ってでも、必死になって魔術師としての地位を上げた。
ーー兄を陥れた水無瀬家に復讐するために。
※ 次回更新は明日の予定です。
Copyright(C)2023-音愛




