表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/115

第三十七話:帰郷と新たな情報1

※更新が遅くなり、すみません。

続きです。

翌日の早朝。私は寝ている琥珀を叩き起してヨツバさんとミツバさんがいる洞窟へ向かった。もちろん、センリュウさんから借りた水晶を持って。

「水晶を借りることができた!?」

「はい。早速試してみましょう」

驚くヨツバさんをよそに、私は寝ているミツバさんの元に身を寄せる。水晶を彼女の方に向けて呪文を唱える。センリュウさんが教えてくれた呪文だ。

「悪しき力よ、光に還れ……!!」

呪文を唱えると水晶から強い光が放たれた。その直後、水晶がミツバさんの中に宿っていた、黒い靄のような禍々しい邪気をみるみる内に吸い込み始めた。それはもう一瞬の出来事だった。全ての邪気を吸い込んだ後で、水晶は徐々に光を弱め、やがてはそれも完全に消えた。ミツバさんに宿っていた呪いを解いてくれたのだろうか。少しの不安を抱えたまま静かにミツバさんを見つめると、その瞼が震えた。

「ミツバ!!」

ヨツバさんの呼びかけに応えるように目を開いたミツバさんは兄の顔を見て柔らかな笑みを浮かべ、掠れた声を発した。

「お兄ちゃん……心配かけてごめんね」

ヨツバさんは頷きながらミツバさんの手を握る。その瞳からは大粒の涙が零れていた。

こうして私は無事にヨツバさんの依頼を遂行することができたのだった。


翌日の夕方。日が落ちる前に私は水晶を持って花咲神社に赴いていた。センリュウさんから借りたこの水晶を返すためだ。

境内に着くと、センリュウさんがそこで待っていた。

「約束を守ってくれたのだな」

「もちろんです」

ありがとうございました。と水晶をセンリュウさんへ返す。

「とても助かりました」

「昨日も思ったのだが……」

「はい?」

「お前は暁人に似ているな」

「兄をご存知なんですか?」

「兄?そうか。通りで千暁という名前に聞き覚えがあると思ったわ。お前が例の目に入れても痛くないほど超絶可愛い妹か」

どこかで聞いたことのあるセリフがセンリュウさんの口から漏れる。だが、つっこみはしない。さすがに聞き飽きた。

「諦めろ。お前の兄は重度のシスコンだ」

私の心中を察したらしい琥珀がしれっと呟く。

「暁人ともよくここで飲み比べをしたものだ。めっぽう弱かったがな」

兄と過ごした時間を懐かしむようにセンリュウさんは目を細めて空を見上げる。センリュウさんはきっと、兄を慕ってくれていたに違いない。それだけ、今のセンリュウさんの瞳には優しげな光が灯っている。

「実に愉快なやつだった。それなのに、若くして亡くなるとは残念だ……」

「センリュウさん……」

「私は今でも九条家が暁人を殺したのだと思っている」

センリュウさんの思いがけない言葉に私は目を見開いた。

「知り合いの妖から聞いた話では、九条家にはある疑惑があった」

「疑惑?」

「九条家は密かに魔術を使って凶悪な妖を生成しようとしている、という噂があった」

「なに!?それは禁忌のはずだろう!?」

声を荒らげた琥珀にセンリュウさんは静かに頷いた。

「あぁ。だからこそ秘密裏に計画が進められていた。暁人はこの事実を掴んでいた。暁人が亡くなる数日前、一緒に飲んだ時に話していたのだ。真実を突き止めに行くと」

「それで兄は、遺体が発見されたあの山に向かった?」

「私はそう思っている。暁人が山で亡くなったと風の噂で聞いた時、その山で九条家の邪悪な企みが進められていたのではないかと思った。証拠はないがな。それでも私は、暁人は九条家に口封じのために殺された。そう思っている」

それが本当だとすれば、兄は事故死ではないことになる。私は静かにその情報を受け止めた。

※第三章もう少し続きます。

Copyright(C)2023-音愛

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ