第三十四話:更なる依頼4
※若干短めです。
「召喚術とは本来、それ専用の陣を用いて発動させる。ほれ、お前が私を呼び出したあの陣だ」
そういわれて、あぁ、と頷く。確かにあの時、私は薄汚れた古紙に描かれた陣を使って琥珀を呼び出した。
「じゃあ、その魔術師は召喚陣を使わずに召喚術を発動させたってこと?」
「可能性の話だ。召喚陣は紙や地面に魔力を込めながら描く。そうして作成した陣を使う。召喚陣の作成手段は自由だが、召喚陣そのものを使わなかった場合、召喚術は成り立たない。すなわち、自身が望む妖は呼び出せない。当然、魔力が弱すぎると召喚陣を用いたところで身の丈に合った妖しか呼び出すことはできない」
「なるほど……でも、召喚術って幽世にいる妖を呼び出す術じゃなかったっけ?」
「魔術師の意思の強さやレベルによって、離れた場所にいる現世の妖を呼び出すこともできる。召喚陣を使わずに自らの魔力を利用して作成した陣を用いても、強い魔力があれば妖を呼び出すこと自体はできる。ただし、その方法はあくまで代替措置に過ぎないから、自身が望む妖を呼び出すことはできない。魔術にもある程度のルールが存在するからな。魔力が強いだけで、その魔術師は未熟な術師だったようだな」
「そういうことか……」
「いずれにせよ、ミツバは誤って魔術師に召喚されてしまったのです。ですが、すぐに自身が呼び出すはずだった妖とは違うことに気づいた魔術師は憤慨しました。この広い森のどこかにいる上位種の妖を呼び出し、主従関係を結びたかったようです。ですが、叶わなかった。故にミツバにある呪いをかけたのです」
「呪い」という言葉で一気に雲行きが怪しくなる。
だが、上位種の妖を呼び出そうとしていたのだとすると、やはり、ある程度の魔力が備わっていたことは確かだ。琥珀の見立て通り、今回の場合は召喚陣を使用しなかったが故に召喚術に失敗したと見て間違いないだろう。
「その呪いとは?」
「寿命で死ぬ間際まで、身体を鋭い痛みが襲う呪いです。最初の頃は会話をする程度の体力はありました。今話した情報は全てミツバ本人が見聞きした情報です。ですが今はそれすらできません。最近では近くにある薬草を使っているおかげで痛みが和らぎつつあるようですが、ミツバは床に伏せったまま身動きが取れません」
「問題は呪いのことだけではないだろう」
※続きます。次回更新は明日の予定です。
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