ようこそ死闘都市バトルロイヤル・シティへ
「次のニュースです。ただいま国際連合に対し全世界の数百人に対する誘拐予告が届いており国際警察は一部警戒を強めて――」
「へぇ……全世界からランダムで誘拐なんてできるのかよ……。」そう僕は思いながら朝の高校へ向かう支度をしていた。
そして、学校へ向かおうと玄関の取手を掴もうとしたその瞬間、体がフワリと浮く感覚がしてそのまま目の前が真っ暗になった。
段々視界がぼんやりと元通りになってきたあとで目に入った光景はいつも見ている通学路とは全く違う光景だった。
全面ガラス張りの建物やホログラムの掲示板などゲーム内でよくあるような近未来都市を連想させる光景が広がっている。
「は……?どこだよここは!」そう叫んでも返答はもちろんない。
どうしようもないのでしばらく街をぼーっと歩いていると大きなホログラム投影板のついている建物が見えてきた。
「ん?あそこに何人か人がいる。行ってみるか。」
そのままホログラム板の近くに進むと405/500という数字が投影されている。
カウントは段々と増えていき、500/500になると今度はカウントダウンが始まる。
カウントダウンの数字が0を示すとよく100円均一ショップで売っているようなキリンの被り物をした人のホログラムが現れ、ボイスチェンジャーを通して話し始めた。
「全世界より選ばれし500名の方々、ようこそバトルロイヤル・シティへ。まずはこの街についての説明から始めさせていただこう。まず、この街は自動通訳ツールがあるため君たちは普通に会話可能だ。そして、この街は生き残りをかけたサバイバルゲームの舞台でもある。」覆面がそう喋ると周りの人達がガヤガヤと騒ぎ始める。
「驚くことではない。君たちは選ばれた人間なのだ。生き残ればいい。ただし、この街で戦いに負けてしまうとこのゲームが終わるまでこの世界で昏睡状態となってしまう。昏睡状態になってから復活アイテムが使われずに一週間が経つと死に至ってしまう。この世界は決して夢の中ではないので死なないように気をつけてほしい。」
既にホログラムを見ている人達は混乱し、泣き叫ぶ人もいた。
「君たちも死にたくないだろう?私も鬼ではない。この世界には生き抜くためのアイテムがあり、ショップで購入することができる。今君たちに10000ポリムの入ったこの世界での通信ツール『メルトフォン』を送信した。受け取りたまえ。」
覆面が言い終えた後で僕の手の中が急に光り始め、スマートフォンのようなものが段々と姿を表し始めた。
「その端末のショップというところを押すことで戦闘で身を守ったり戦ったりするアイテムを購入することができる。それからこの街の生存者が何人いるかはニュースの欄を確認すれば一目でわかるようになっている。また、チームを作ることもできるのでチームで生き残りを目指すのもありだ。頑張って生き残ってくれたまえ。この放送が終わってから30分間は一切の戦闘が行えない準備時間だ。自由に準備をしてくれて構わない。」
そう言って覆面のホログラムは消えていった。
「おい、どうすればいいんだよ!」「戦いたくなんてない!どうしろって言うんだよ!」
周りの人々は混乱して動けないままの人もいるが一部の人は端末を使ってショップへ向かったようだ。
そこで一瞬脳裏に浮かんだ言葉があった。
「購入制限……。」
そう、ゲームでは稀に購入制限というものがある。
これは個人の場合もあるがもしこれが全体で共有だったらと考え、僕は急いでショップのボタンを押す。
ワープした先はコンビニエンスストアの店内のようなもので店内戦闘禁止の掲示があちこちに貼られている。
中にはアイテムが何個か並べてあるがその下には『個数制限 全体で200個のみ』などと書いてある。
「早いところ必需品は買っておかないとだな……。」このショップは数日で品物が更新されるようだがそれだとしても最初の数日で襲われて昏睡状態になるのはリスクがあるので最低限のものは買うことにした。
買ったものは以下の通りだ。
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スタンボム 2個
煙玉 3個
包帯 4個
復活の十字架 1個
電子ガン 一丁
電子ガン用弾薬箱 3個
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これが揃えられる最低限の武器だった。
他にも罠やロケットランチャーなどが置いてあったらしいが既に売り切れていた。
「これで少なくとも数日は生き残れるだろう。」
まずは一安心といったところだろうか。
しかし、まだ疑問は残っている。
このバトルロイヤル・シティというものがどこにあるのか、またなぜ死が現実とは違って一週間後なのか。
何が目的でこの街に覆面は500人も集めたのか。
「まだまだ調べていかなくちゃいけないことがたくさんあるな……。」
その後、3日ほどは生存者人数に変化はなく、平和に時間が過ぎていっていた。
しかし、その後覆面によって恐ろしい内容のメールが全員の端末に届いたのであった。
初めまして。
ぽてぃと申します。
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