第3話 勇者
昔、憧れているものがあった。それは冒険者だ。依頼人から依頼を受け、その依頼を成功させ報酬を貰う。そんな仕事だ。でも、冒険者には何より技術的がいる。いかに早く依頼をこなすかと良い技術だ。でも僕にはそんなものは無いので、偶に村の近くで依頼をこなしていた冒険者が疲れを癒す為に教会で休む時があり、その時によく話を聞いていた。
例えば、ドラゴンを倒す話や、千のアンデットを一瞬のして浄化させる話など、ワクワクするような話をしている。普段、村の中で過ごしているので知らなかったが、そういう魔物を倒すと魔石や素材を残してその肉体が光になって消えるらしい。面白い、と思ったりした。今では懐かしい記憶だ。
今日も何もすることなく一日中ゴロゴロしてると、扉からコンコンと音がした。誰か来た。
「誰だ?」
「私よ」
「お前か。で、何だ?」
「あんたどうせ今もぐうたらしてるんでしょ。なんか今、村に勇者が居るから歓待の手伝いをして欲しいのよ」
勇者。確か王様に呼び出され、勇者の称号を得た兵士だったはずだ。そんな奴がなぜこんな村に
「面倒だからやだ。他を当たってくれ」
「はあ?じゃあ良いわよ。あんたはいっつも変わんないわね。この堕落野郎!」
そんなことを言って帰って行った。