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「きゃ~お二人さん! ラブラブですね~」
光優は女子のような高い声を出し守と星をひやかすと、守同様顔まで被っていたパーカーのフードをおろし、そのままパーカーを脱ぎ日和の膝の上にそっとかける。
「ヒナ、ここ少し寒くない? ちょっとの間、預かってくれる」
「うふふ。あったかい。コウ、ありがとう」
光優は天然女たらしと前にもご説明しましたが、光優は姉と妹たちに囲まれて育った関係もありとても紳士です。女性への気配りは当たり前で、相手の考えていることや相手がどのような状況かを先読みする天才でもあります。光優が当たり前としている行動が周りからするととても気遣いが出来る人と映るため、天然女たらしというより、天然人たらしと言うわけです。
「あらあら。光優様はとってもお優しいのですね」
守は光優のように女子のような高い声を出し、目をパチパチさせながら上目遣いをする。
「誰かさんと違って紳士なんでね」と光優は優しく微笑む。
「紳士ね~。へ~。俺は優しい王子様ってよく言われるんですけどね」
守はウインクをする。
「マモは俺様変態王子って感じがするのは俺だけだろうか?」
光優はウインクを返す。
日和はクスッと笑い、星と結は何度もウンウンと頷く。
守は星を裸絞めにしてさっきより強く頭をガシガシと撫でまくる。
「ギブギブ~」と星は手をバタバタさせる。
ピー。と笛の音が鳴り行われていた試合が終わり、ケイたちの出番が回ってくる。
ケイは着ていたパーカーを結の背中にからかけながらバックハグをする。
「結! ポッカポカ~」
「お兄様! 前にも言いましたよね~人前でこういうのは……」
「あはは! まあまあ! 試合が終わるまで僕のパーカーをよろしくね」
「も~」
ケイは結の頭をポンポンと撫でる。
「あ! 陽もパーカー預かるよ」と日和が声を掛ける。
「ああ」と陽はパーカーを脱ぎ、奇麗に畳んで日和に手渡す。
日和は陽のパーカーを体育座りしている足と胸の間に挟みギュッと抱える。
「ねぇ、マモ。アタシたちのやってたこととの温度感よ」
「なんだろう。俺、キュンってしたわ」
星と守は結とケイ、日和と陽のやり取りをボーっと眺める。
「自称おーじさまはそういうことできないわけ」と星は守を横目で見ると、守は星の肩にパーカーをかける。
「お! マモおーじさま、できるじゃん」と星が守を褒めると、守はパーカーの両袖を持ち星の首前でギュッと結ぶ。
「一瞬だけキュンとした時間を返せ~」
星は守の胸をポカポカを叩く。
「マモ、早く来いよ」
「あ、呼ばれたわ。姫! ついでに星も! ちゃんと俺の活躍もみてよ」
結はニコニコしながら小さく手を振り、星はあっかんべーをする。




