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「星? あれ? クラスの方はいいの?」
「結! クラスなんてどうでもいいのよ。今日の目玉はケイくんなんだから。見てみなさいよ、この注目度を」
星はこれを見よ! というように手を高く上げながら二階席を見上げ、クルリと一回転する。
二階の観覧席にはそわそわとした多く女子たちが手すりを乗り出すように立っており、座る場所は満席状態となっており、ドアというドアからは女子たちが立ち並ぶ。
「うわぁ。こんなに集まっていたなんて」
結はぼーっとしすぎてこんな状態になっていたことに驚きを隠せないでいる。
「そりゃあ、俺が出るからね!」
守は顔が隠れるくらいまで被っていたパーカーのフードをおろし、決め顔でウインクをする。
女子たちの黄色い声が響き渡る。
お花見の時にもありましたが、守は黙っていればイケメンモテキャラなのですが……結たちの前では残念イケメンになります。守自身は自然と振舞っているのだが、女性たちには一つ一つの仕草がキュンとするようで守もある意味、天然系のモテキャラとも言えるかもしれません。
守は女子たちの声に答え、キラキラした笑顔で手を振っている。
「うわぁ……だっさ! あのね、アタシたちはマモじゃなくてケイくんを見に来てるの!」
星は頬を膨らませながら仁王立ちをして守を睨みつける。
守はニコニコ顔から真顔になり、着ていたパーカーを星の頭にかぶせる。
「ちょ、ちょっとなにするのよ」
「お前は、毎日お弁当を作ってくれている人への態度がなってないな」
守は玩具で遊ぶ子供のように無邪気な笑顔で楽しそうに星の頭をグリグリと撫でまわす。
「マモ、や~め~て~よ~」
星は手をバタバタとさせるが、守は止めようとはせず更に激しく撫でまわす。




