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「結!」と日和が大きな声を出すと、ケイと守の飛び蹴りがチャラ男たちに炸裂し、男たちは海へと落ちて行く。バッシャーン。
「結!」
「姫!」
ケイは前から結を抱きしめ、守は後ろから結を抱きしめる。
「く、くるしい……」
「あ、ごめん。何もされていない? ケガはない?」
ケイは結から離れ、あちこち触ってケガなどが確認をする。
ケイはハグし続けている守をニコニコしながら見て「ねぇ、守」と話しかける。守はキョトンとしながら「ん?」と返事をする。
「いつまで結にハグしているつもり?」
「あ、えっと。姫が落ち着くまで……。姫?」
結はボロボロと涙を流している。
「結? どっか痛いの?」
「姫?」
守は結の頭を優しく撫でる。
「結、ごめんね」
日和も涙を流している。
結は日和に駆け寄りギュッと抱きしめ、泣きじゃくる。
光優は日和が持っていたレモネードをスッと横から受け取る。
日和は結をギュと抱きしめる。
「コウ、お前のそういうところ感心するわ」
「どうも。自他ともに認める紳士なもので」
「その一言はいらない気がするけど」
「それをいうのもいいところってことで」
光優は守にウインクをしてみせる。
そんな光優に後ろから抱き着く、ケイ。
「あの、俺。ハグされるなら女子がいいんだけど?」
「ああ、その気持ちはよくわかるわ」
「結が無事でよがっおー」
ケイは涙と鼻水を流しながら光優に泣きついている。
「そうだね。結は正義感強くて無鉄砲だからね。たまに心配になるよね。まあ何もなくてよかったよ。それにしても今回は、結の姫ってあだ名、あらがち間違えではなさそうに感じたわ。結は運がいいというかなんというか」
「そういえば。俺はよく知らないけど、姫って昔、事件に巻き込まれたんだってな」
「あー。その話は本人の前でしない方がいいよ。覚えていないから。だから俺らも話さないようにしてるんだよね」
「そっか。わかった。とにかく無事でよかった」
「あー」
ケイは結たちの方を向き、指をさしながら大きな声を出す。
「なに?」
「うるさいなー」
守と光優はケイが向いてる方を向く。
「結!」
「ん?」
日和は頬を赤く染め、結の顔をじーっと見つめている。
「結は私の王子様ね、大好き」
日和は結の首に手を回し、少し背伸びをして結にそっとキスをする。
結は日和の行動に驚き顔を真っ赤にする。日和は結の腰に手を回し結の胸に顔をうずめる。
「日和~」
黒い仮面をかぶったような顔に白い体をした百合鴎がフワッと優雅に飛んでいく。
(今回はケイくんたちがいなかったらどうなっていたかと思うと少し怖い。そういえばなんでタイミングよくいたんだろう? まあいっか。
私は無鉄砲なの自覚しなきゃって思っているのに浅はかだったな。
さすがに反省しないと。それにしてもいつもケイくんとマモと違ってかっこよかったな。やっぱり……男の子なんだな。
よし! 私は力不足ってことがわかったし、もっと鍛えるぞ!)
気持ちはわかりますが、やっぱり何かがズレている主人公なのでした。
次回へ続く。




