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キーンコーンカーンコーン。
今日の全ての授業が終わりのチャイムが聞こえる。
結はケイとのドラマのような非日常の出来事にあったことで、心身ともに疲れてそのまま自分の机の上で眠ってしまう。
窓が開いた教室にはグランドの運動部たちの声が、どこかの教室からは吹奏楽部や軽音部の音が、料理部からは甘い香りが運ばれてくるが、結はスヤスヤと寝ている。
そこに学校のオリエンテーションを終えた、ケイが教室に戻ってくる。
結が寝ているのに気が付いたケイは、着ていたパーカーをそっと結に掛ける。肩に違和感を感じた結はむくっと起き上がり、うつらうつらしながらも椅子に座ったままエビぞって大きく背伸びをする。背伸びをしきったところで目を開けると、ケイがニコニコして上から覗き込んでいた。
結は驚き「うわああ」と声をあげたかと思うと、そのまま後ろにひっくり返り倒れそうになったところをケイに受け止められる。
「君は本当に面白いね」
ケイはクスクスを笑いながら結と椅子をゆっくりと元に戻す。
「ありがとう。って今のは!」
今のは結の体勢も悪いが、ケイが覗き込んでいなければこんなことにはならなかったのかもしれない。
「結! まだいた! ねえ今日バイトないでしょ? パンケーキ食べいかない?」
ドアから顔をひょこっと出したクラスメートの女子が結を誘う。
「え、あ、うん! 行く!」
結が立ち上がると、ケイが結の行く手を阻む。
「えっと?」
結が不思議そうにケイの顔をみると、ケイは結の顔に近づき耳元で「またね」と囁く。
「うん。また明日ね?」
結は戸惑いながらも挨拶をし、教室を出ていく。
結が学校を出てパンケーキ屋に向かっているとスマホに母からメッセージが届く。
メッセージには
『今日は学校が終わったらすぐ帰ってきてね♡
重大ニュースがあるので! よろしくね♡』
と書かれており、母から重大ニュースというのも気になり、結は寄り道をせず家に帰ることにする。