6‐12
「姫! コウとヒナがイジメてくるよ~」
守は泣き真似をしながら、結の腕をそっと掴む。
結は微笑みながら「よしよし」と守の頭をポンポンと撫でる。
「姫だけだよ。優しいのは」守は結の肩に寄り添う。
「そんなことないよ、みんな優しいよ」
「み~んな冷たいから、俺は姫だけいればいいよ」
結と守の距離感はとても近いです。
この二人は他人からみたら恋人に間違えられてもいいくらいの距離感を保ちます。
これには大きな理由があるのですが……その話はまた別の時に。
「あ~マモ! 僕の結にくっつかない!」
ケイは結と守の間に入り二人を引き離し、守をじーっと見つめプレッシャーをかける。
「ケイは俺の手作り弁当を静かに食ってろよ」
ケイはとっても優しくてよゐこなので、先ほどまで座っていた場所に戻り守に言われたように守のお弁当を手に取りニコニコしながら食べ始める。
守はその隙に結の腕にピトっとくっつく。
「マモ、これじゃあお弁当食べられないよ」
「じゃあ、食べさせてあげるよ」
「うまうま! ほんと美味しい。マモはいいお嫁さんになるね! じゃなくて! 結にくっつくの禁止! ダメ!」とケイは大きな声をあげ立ち上がる。
「マモはいいお嫁さんになれるって。よかったね」
「じゃあ、姫のお婿さんにもらってよ」
守は結の首に手を回し、おでことおでこをくっつける。
「マモ! 結に近すぎ! もう色々ダメだよ~! あ、でも。弟はほしいかも? ってやっぱ! ダメ~!」
ケイは結と守の間に入り二人を引き離し、結に背中を向けて守を両手で近づかないようにと押す。
「え~ダメダメ! アタシはケイくんのお嫁さんになるんだから、結とマモが結婚したら姉弟になっちゃうじゃない! アタシは絶対に嫌! こんな弟いらない!!」
星も立ち上がり大きな声で叫ぶ。
「わあ、楽しそうというより、煩そうな……」
「そして結とケイくんはそれに対して何も言わないってところがいいわね」
光優と日和はニコッと笑って小さくハイタッチをする。
(これが最近のお昼の光景。
楽しいけど少し賑やかすぎる気もするかな?
星もマモも結婚とかいうけど、まだ高校生の私には先の話な気がしている。
そもそも、私の初恋の人はそういうのに鈍感そうだしね。)




