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星はクルっと回って小走りでケイがいる場所へ戻っていく。
「うふふ! ケイくん! いらっしゃい。待っていたんだよ」
星のお得意のポーズ……前かがみになり内股で谷間をみせ、上目遣いで目をキラキラとさせるがケイの様子は特に変化はない。
大抵の男子はこの萌えギャップの見た目とそのセクシー可愛さで落とせたりするのだが、結のことしか頭にないケイにとってどうでもいいことである。
「忘れてたよ、ケイくんは星の好みのタイプだね」
「あら、今更ね。だから結に焼きもちをやいたんでしょうね」
「そういうことね」
「星の得意技は効くかしら」
「あの様子だと……」
「みたいね」
結と日和は顔を合わせ、クスクスと笑う。
「はじめまして、ケイです。よろしくね」とケイはキラキラ笑顔で星に微笑みかける。
「は、はじめまちて。結とは中学生の時からの友らちで隣のくらしゅの星っていいます。仲良くしてくらしゃい。結婚してくらしゃい」
星はケイの笑顔でハートを鷲掴みにされたらしく、わかりやすく動揺している。
「日本の女の子は奥手さんばかりと聞いていたのに、積極的で大胆な女の子がいるんだね」
ケイは星の目線に合わせて屈み、プロポーズをしてくれた星にありがとうの意味を込めて、星の頭をポンポンと優しく触れる。
星は嬉しさのあまり頭の中が大爆発してフラフラしている。
「う~ん。でも結婚はまだ早いし考えさせてね。気持ちは嬉しいよ。ありがとう、星」
ケイは星にハグに近い距離感で背に手を回し、背中をポンポンと叩く。
星はドキドキしすぎて立っていられなくなり倒れそうになるが、ケイはフラフラした星をヒョイと抱き上げお姫様抱っこしてシートの上にそっと座らせる。星は顔だけでなく全身が真っ赤になり気を失ってしまう。
「あらあら。ケイくんって、本当に絵にかいたような王子様ね」
「さらっと、ああいうことをしないでほしいけどね」と結は大きなため息をつく。
「家でもあれだと、苦労しそうね」
「そうなの、あれが彼にとって普通なんだろうけど……やっぱ意識はしなくてもドキドキしちゃうよ」
「あら、結ったら。陽がいるのに心の浮気かしら」
「も~そんなんじゃないよ」
結は日和をポカポカと叩く。




