5‐8
「にゃ、にゃちわん。え~。予定時間より五分遅れただけでしょ。許してよ」
「ダメです! 遅刻は遅刻です。罰ゲームです」
結に遅れて到着したケイが「なになに? 罰ゲームって?」とニコッとしながら首を傾げる。
「あ、ケイくん、遅刻したから私たち罰ゲームになっちゃった」
「はぁ? 私たちですって? なんでセットなわけ? 結だけが罰ゲームをうけるの!」
「え~! そうなの? わかったよ」と大きなため息をつく、結。
「う~ん。僕が一番遅かったから結じゃなくて、僕が罰ゲームを受けるよ」
「ケイくん、大丈夫! アイスを買ってくるだけだから私がやるよ」
「それなら二人で行こう、ね」とケイは笑顔で結の手を握る。
「ご、ごほん。結、ちょっといいかな?」
星は結と日和を少し離れた場所に連れて行く。
「なんですか? 結と王子の二人は付き合ってるんですか?」
星は血走った目でギリギリと歯ぎしりをしながら結を睨み、結の肩を激しく揺らす。
「星、痛いよ~。ん? 王子って?」
「王子っていうのはケイさんのことよ。絵にかいたような白馬に乗った王子様ってとこからそのあだ名がついたみたい」
日和はうふふと微笑みながらゆっくりした口調で話す。
「で? なんなの? その距離感は?」
「だからね、そんなんじゃないよ。星……近い」
星は手を結の首に回し、頭をコツンと合わせている。
「そもそも変だよね。なんで結とケイくんが一緒にいるの? ってかすご~く馴れ馴れしいし。そんでもって突然、今日参加することになったのか教えていただきたいですね、結さん」
「えっとね、それはね……」と結は家族の事情を簡単に説明する。
星は少し頬を膨らまして、軽くため息をつき「それなら仕方がないか。許す」と小声で言う。
日和は結の頭を撫でながら「色々と大変だったね。今日は陽もいるし楽しもうね」と優しく微笑む。
「うん、ありがとう。星、日和」
このホワっとして優しい女の子が橙楓 日和。
結の幼稚園の時からの幼馴染で心友。
見た目も雰囲気も大人っぽくてしっかり者の皆のお姉さん的存在。
髪は長くてユルフワで、その髪のように優しく包み込んでくれそうな包容力の持ち主。
そして、いつも結の恋のサポートをしてくれる。そのため結は日和が好きな人が出来たら全力でサポートして応援するって決めている。
結が男だったら彼女にしたい女の子だそうだ。




