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(さて、朝ごはんも食べ終えたし、出かける準備でもしようかな。
今日はみんなとお花見の予定。とっても楽しみすぎる!
思いを寄せている陽くんも来るし、ドキドキワクワクしちゃう。さて、何を着ていこうかな。)
結は朝ごはんを食べ食器を洗い終えると、ハイビスカスの柄のエプロンを身に着け、お花見用のお弁当の準備をはじめる。
結は同級生の日和、星、陽、光優、守の六人でお花見の約束をしている。
結は陽という子に片思い中で、その片思いの陽の胃袋を少しでも掴みたい!
ということでメインのおかず作りをすることになっている。日和はおにぎり担当、超絶お金持ちの光はデザート担当になっている。男子の陽、光優、守はシートや飲み物を担当している。
大好きな人のことで頭がいっぱいの結は、陽が好きなものを中心におかずを作ろうとしている。結の頭の中はハートでいっぱいでそれが表に駄々洩れ、ユラユラと揺れながら鼻歌を歌っているが、本人は無自覚である。
恋とは恐ろしい……。
そんな結を見て、なんだかわからないがご機嫌だ! 今なら何を言っても一つ返事をしてくれそうだ! と勘違いをしたケイが結に話しかける。
「結、今日はバイトお休みなんでしょう? 僕とデートしよう?」
ケイはご主人様構って! と尻尾をブンブンと振っているようなワンコのようになっている。
結は目をキョロキョロとさせ「……えっと。予定が……」と気まずそうに答える。
ケイは結が明らかに誤魔化している! と気づき、ワンコの耳は垂れ下がり、尻尾も動かなくなる。
「あらあら、いいじゃない。お天気もいいし、ケイくんも一緒にお出かけしてきたらいいわ」
「いやいや。皆と約束があるんだってば。ということでごめんね。私、友達とお花見に行くの」
結は目をギュッと閉じ、ごめんねという意味で手を合わせる。
「え? お花見? 僕も行きたい。日本の桜をじっくりみたいよ!」
ケイはご主人様構って! と、再び尻尾をブンブンと振っているようなワンコのようになっている。
ハワイでも桜は咲くが、日本のソメイヨシノではなくカンヒサクラなので、ケイは日本の桜をみてみたいというわけである。まあ、結の行くところにもいってみたいという好奇心の方が高いような気もするが、今は突っ込まないでおこう。
結はケイの顔をじーっとみて、悩みはじめる。
「……」




