~Parasailing~
* * *
一行はパラセーリングを行う場所へと向かう船に乗る。
雲一つない空に青い海、そして目が開けられないほどの眩しい光を放つ太陽。結はその太陽に手を伸ばす。
「ダイヤモンドの指輪をしているみたいだね」
「え?」
太陽にかざした結の指と指の間に太陽が挟まり光り輝く指輪のようになっている。
「あ、ほんとだ」
結は目を輝かせながら太陽の指輪と自分の指を重ねている。
そんな結を横でニコニコしながら眺めているケイ。
「いつか結に似合う指輪を買ってあげるね」
「え? なに?」
こういう大事そうな言葉をスルーしちゃうところが、結らしさである。
まぁケイのそのセリフがどこまで本気なのかも不明なのだが。
船が停止し、パラセーリングの準備開始!
「さあ、結。お手をどうぞ」
「あ、どうも」
船の上とはいえ、沖にいるため船はユラユラと揺れている。
ケイは結が転ばないようにと手を握り、ハーネスへと向かう。
「えへへ。やっと二人きりになれるね」
「またそういうことを……」
「まあまあ。ほら、そろそろだよ。お空の旅を楽しもう、ね」
「……はい」
今回のパラセーリングは二人乗りで、ケイと結がペアで乗ることに。
船の上でハーネスとパラシュートを身に着け、いざ空へ。
一気に空高く上がっていく。同じ高さに他の人はいなく二人だけの世界が広がる。
(スカイダイビングとは違う空の散歩。波と風の揺れでフワッとした感じが時々あって、きっとこれが空を飛ぶに近い高さで感覚なのかな。)
「うわあ、すごい!」
結は太陽に負けないくらいの眩しい笑顔を見せる。
「とっても気持ちいいね」
ケイは結の笑顔をみて、微笑む。
「うんうん、こんな感覚はじめて!」
「気に入ってもらえてよかったよ。結は海が好きだけどカナヅチでしょ? だから海の上の空をゆっくり飛ぶのはどうかなって考えたんだ」
「そっか。ありがとう。ケイさんもみんなも私のことを考えてくれて、私はホントっ幸せ者だね」
「みんな、家族になれて嬉しいんだよ」
「ここ三日で色んな事が起きたけど、すっごく楽しかった」
「これからも楽しい毎日にしていこうね」
結とケイは顔を見合わせニコッと笑いあう。
ケイは頬を赤く染めながら「結、大好きだよ」とはにかんだ笑顔を見せる。
結は目を逸らしながら「はい、どうも」と返す。
(そういうセリフも顔も反則だよ。)




