~Parasailing~
結は冷たく深い海に投げ出され、ゆっくりゆっくりと沈んでいく。
真っ青の海に太陽の光が見えていたかと思うと……ドンっという衝撃と共に深い底へ引き摺りこまれていく。深い海はとても重く熱く、どんどん息苦しくなっていく。
「うぁ~死ぬ~」と寝ぼけた結の声がしたかと思うと、ドンガラガッシャ―ン。と大きな音と共に結の後ろの荷物が結を埋め尽くす。
「結!」と呼ぶケイの声がどんどん小さくなっていく。
なんのこっちゃなので説明しよう。
結は次のアクティビティに向かう車の中でエアコン冷え冷えガンガンの中で寝ていた。前にも言いましたが結は一度寝ると起こすのが大変なくらい爆睡します。そのため次の目的地に到着したのだが起きないため、アクティビティの受付前にあるビーチベッドに寝かされていたのだが、結の後ろにある道具たちが崩れ、結が埋もれてしまったというわけである。
ケイは結を救い出したが、結は爆睡をしているため起きる気配がない。この状況的に気絶していると勘違いしたケイは人工呼吸をしようと結の唇に触れそうになった瞬間……結は何かを察したのか突然目覚め、結とケイの頭が大激突してしまう。あれ? 朝もこんなことがあったような。
「いった~」
「結、大丈夫? ケガはない?」
「ケガ? よくわからないけど、頭がちょっとガンガンするくらいかな」と何一つケガも痛みもない結に対して、ケイはクラクラするほどの衝撃を受けている。
「ならよかったお~」
ケイの頭の上にはピヨピヨとヒヨコがグルグルと回っている。
「ケイさん? 声がユラユラしているけど大丈夫?」
「らいじょーぶ」
ケイは結との激突で三半規管がやられてしまい世界がユラユラとみえている。
バシャ―。ルカはケイの頭にペットボトルの水を流す。
「目が覚めた? 俺が目を離すとすぐこれだから」
「あ、視界がはっきりする! ありがとう、ルカ」
「いや、これはそういうことじゃなくて結にさ……」
ケイはルカに抱き着き、頭を撫でまくる。
ケイは「ルカは優しいね」と言いながら頬にキスをする。
「うわあ、やめろよ! キモイし暑苦しいから、くっつくな。ってかそうじゃないってば」
エマもケイに便乗して「あら、仲良しさんね。私も」とルカを抱きしめ、頬にキスをする。
「だからくっつくなよ~」
(なんだかよくわからないけど、仲良しだな。)
結はその光景をみてクスクスと笑う。




