~Snorkeling~
「あ、フワ……」
バシン。と結は真顔でルカのおでこにデコピンをする。
「ご、ごめんなさい。ワザとじゃなかったんです」と怯えるルカにニコニコしているけれど明らかに笑っていない結が「うふふ。気を付けてね」とプレッシャーをかける。
結の攻撃は普通の人が加減するツッコミのようなものとは違って、かなり痛いのだ。何故、加減をしないのか……それは本人的には加減しているつもりだからである。
相手からしたら本気モードに感じるほどの痛さを感じるツッコミは、実は結にとっては半分くらいの力であり、結のガチは今の二倍にもなるので想像するだけでも恐ろしあ……。
怯えたルカをみたケイは手を叩き大笑いをする。
パンっ! ピーターは大きく手を叩く。
「遊ぶ時間がなくなっちゃうよ!」
「はーい!」
ルカは元気いっぱいに返事をすると結の手をとり、手を繋ぎ海の中へ入っていく。その光景をじとーっとみつめるケイ。
「ケイ、大丈夫よ。ルカはこの日のためにっていうか、結に泳ぎを教えたいって一心で泳ぐ猛特訓をしたんだから」
「え? そうなの? ちゃんと泳げるようになったの?」
実はルカもカナヅチだったのだ。
ルカは結も泳げないと聞いて親近感を覚えたが、自分が泳げるようになったら一緒に泳げる、教えてあげられると考え、泳ぐのが得意なエマに猛特訓を受けたのだ。
「そうよ。七色のマーメードって言われる私が教えたんだから安心しなさい」
「それでもやっぱり……」
エマはケイの頭をポンっと叩く。
「ルカもね、いつも弟キャラ。構われキャラは嫌なのよ。だから今回はお兄ちゃんらしく見守ってあげて」
「わかったよ、姉さん」
エマはケイの頭を胸に寄せガシガシと撫でながら「うふ。良い子」と優しく微笑む。
「ね、姉さん。やめてよ」
「やだ、お顔が赤いわよ~照れちゃって可愛んだから」
ケイとエマは海の中で水の掛け合いをはじめる。
ケイは自分から可愛がったり構ったりハグしたりキスをするのは恥ずかしさもなくナチュラルに行うのだが、逆に相手からされることには慣れておらずなんとも可愛らしいピュアピュアな反応になってしまうのだ。




