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ルカは目をウルウルとさせ「強い女性も大好きだよ、結」と尊敬のまなざしを向け、エマも目をウルウルとさせ「私、今まで殴られたことなかったの。なんだかわからないけど嬉しいわ」と結を見つめる。
ケイはそんなルカとエマに冷ややかな眼差しを送り一歩後ろに下がると、ルカとエマは結の右腕と左腕にがっちりとくっつき顔をうずめる。
ルカもエマも親からも周りからもチヤホヤやれて甘やかされて育ったため誰からも怒られた経験がないのだ。そのため今まで経験したことがないことや自分を戒めてくれた結にどういうわけか好意を持ってしまったのである。
人は自分にはないものを持つものに憧れたり好いたりしますが、そんな感覚なのかもしれません。って、ほんとかよ!
ケイも今までこんなルカやエマを見たことがなくドン引きしているのか引きつった顔でどんどん後退していく。
結はどうしたらいいかわからず「ケ、ケイさん?」と声を震わしながらケイに助けを求める。
「姉さん、ルカ。結が困っているだろ」
「結の寝顔をじーっと見ていた変態がなにかいっているよ?」
「そんな変態さんの言うことなんか聞けないわよね」
ルカとエマは仲良く顔を合わせ大きく頷き、ケイにあかんべえをする。
ケイは図星をつかれ言葉を返せず、結をチラッとみると結はどうにかしてくれと目をウルウルとさせ訴えている。
「はい。僕は結というとっても可愛い妹が大好きな変態です。が、結が嫌だってことはしていません。現に今もこんなに距離を保っているわけです。二人は今、結がどんな顔をしているか、みえていますか? 結が好きで嫌われたくなければ今はどうするべきかわかりますよね?」
ルカとエマは結の泣きそうな顔を見てそっと手を放す。




