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Colorful♡Drops  作者: かなたつむぐ
★第一章☆colorful drops★【♯1 ふぁーすとキスは甘酸っぱいレモン味】
3/167

1‐3

「お母さん! 私、ハワイに住みたい」


 これは突然の話ではなく、日課のように繰り返されるセリフである。

 なので母にこの言葉が届くことはないだろう。


 何故、こんなことを言うか。

 それは、ルカのドラマの舞台がハワイだからである。


「え~なあに? 聞こえないわ」


 ほら! 届くことはないのだ。

 今回のは聞こえていないとも言える気がするが。

 まあいい。


 結母は何事もなかったかのように納豆をぐるぐると混ぜながらゆっくりと席に着く。


 (いやいや、母よ。本当は聞こえているのでしょう? 都合の悪いことは聞こえないフリをしているってことですよね?)


 結は母の顔をじーっと睨みつけるように目を細くして見つめている。

 が、母は納豆の粘りに夢中のため視界には一切入っていないのである。


「だ~か~ら! ハワイに住もう!」

 結は首を大きく傾け、納豆に目を向けている母の視界に入り込むように話しかける。 


 先ほども言いましたが、母はこのセリフを毎日聞くのでこの「ハワイに住む」という言葉は鳥の囀りのように聞こえている。


「ねえ! 今じゃなきゃダメなの! ジョンとジェリーが住む、ハワイに今すぐ行きたいの!」


 ジョンとジェリーというのは、ハワイを拠点に活動をしているカップルのモデル。結の憧れの人たちなのだ。

 そう、結がハワイに行きたい理由は彼女らに憧れを持ちすぎているためである。


「そ・れ・は~大人になったら自分で叶えなさい」

 母はウフフと笑いながら結の口に納豆を押し込む。


「う。これは梅なし……。くしゃい。きらい……」

 そう結は……梅入り納豆しか食べることが出来ないのだ。


 普通の納豆は匂いも味も大嫌いなので、母のノーマル納豆攻撃により結のテンションが下がっていき、借りてきた猫のように大人しく静かにご飯を食べはじめる。

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