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「あ、あの。ケイさんもエマさんも落ち着いてください」
結はその場から逃げ出したいところだし、口を出すところではないとわかってはいるが咄嗟に間に入ってしまう。
結はどうしていいかわからず、アワアワと焦りながら二人を交互にみて手先だけフラダンスをしているような状態になっている。
「結ちゃんったら、ホント良い子。そして可愛いわ」とエマは結に抱き着く。
「え? あ? ありがとうございます?」と首を傾げる結。
「実は私も日本で暮らすことにしたの。これからよろしくね」
「そうなんですね! はい! こちらこそ、よろしくお願いします」
結は笑顔で軽くハグ返しをする。
「やん。可愛いすぎ。大好き」といって、エマは結にキスをする。
(えーーーーーーーー!!!!!)
「だから、姉さんやめろって」とケイが叫ぶが、エマはキスをやめようとしない。
(え? え? なに? この状況は???)
「エマっ!」
ケイは強引に結を引っ張り腕に抱きしめ、エマを突き飛ばす。
ドンっ! と大きな音を立てエマは床に倒れこんでしまう。
(え? え? 何が起きているの?)
エマはゆっくりと起き上がりながら「いったぁ。なによ。その扱いの違いは。今日のケイは何か変よ」と眉を顰める。
ケイとエマの無言の睨み合い。
天気も分乗して自分をアピールしたいのか、モクモクと薄暗い雲が広がっていき、ビュウビュウと荒々しい風が吹き始める。まるで今から戦闘がはじまるかのような雰囲気が漂う。
「こらこら。大人げないよ、エマ、ケイ」と声がしたかと思うと、空は爽やかに雲一つない空に変わり、カラッとした穏やかな風が通り過ぎて行く。
嵐が来るような天気を晴れやかにした男、その正体は……ピーター・テイラー。
結の新しい義理の父親である。
彼の説明は前にしたのでここでは端折ります。




