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「う、う……ん」
(ここで好きではないといえないし、普通?
とかなんか空気的に難しいし……わぁどうすればぁ!!)
「それじゃあ、わからないよ」
結をじっと見つめる、ケイ。
「嫌いじゃない……」と結は下を向きながら小声で言う。
結的には言葉選びが上手くできないということからの表現なのだが、ケイフィルターを通すと”結は好きって言いたいけど恥ずかしくて言えない状態”に映っているのでケイは勘違いをしキラキラの笑顔をみせる。
ケイは首をかしげて考えた結果が「じゃあ、好きってことでOK?」になったようだ。
「それはちょっと違う……」
(ホントはちょっとではなく大いに違うんだけど)
「じゃあ、嫌いなんだ……」
ケイはまた涙をポロポロと流す。
(も~なんでこうなっちゃうんだよぉ~~~。)
結は大きく深呼吸して「あ~もう。好き!」と大きな声で叫ぶ。
「誰が?」
ケイはご褒美を待つワンコのように目を輝かせて、結の答えを待っている。
少し小さめの声で「ケイさんが……」と答える。
「僕が?」
結は深呼吸をしてから目をギュッと瞑って大きな声で「ケイさんが好きです!」と叫び、もう一呼吸して「これでいい?」とケイに問う。
ケイは結からのその言葉が幸せすぎて、嬉し涙をジャージャーと洪水のように流す。
(結局泣くんかい!)
「両思いだね!」
(ん? 両想い??? なんか違くない?)
「大好きだよ、結」
ケイは結に抱き着き、頬に優しくキスをする。
(ああ、これは……そうなるよね……。)
窓の外では三匹の鳥が戯れ、桜の花びらがフワフワと舞っている。
そんなこんなで結は結母にルカが夢に出来たと話すと、それは現実だと教えられる。
(テレビや雑誌でみている男の子が目の前に現れる。
芸能人って私にとっては別の世界の人間だし、まさか存在するなんて!
ってレベルで遠い存在だと思っていた。
本物のルカくんは想像していたより大人で色気まであって爽やかな香水の香りがした。
こんなに細い人がいるんだってくらいガリガリで強く抱きしめたら壊れてしまいそうだなと思った。
二回目のキスはひんやりしてちょっと甘くって、しゅわしゅわとはじけるようなラムネのような感じがした。)
今回もケイのペースに流されていく主人公。
これからどんな生活が待っているのやら。
次回へ続く。




