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結は説明を諦め、テンションが下がりまくりテンションゲージが0に近い状態となる。
その影響は顕著に表れ……。
死んだ魚のような目で「う……ん。わかった」と言い、力が入らない手をペラペラと差し出す。
結は「ごめんなさい、ケイさん」と見事な棒読みと無表情で謝る。
ケイはコクリ頷くが、立ち上がろうとしない。
結は結母のプレッシャーを背中で感じ、我に返る。
(私が悪いのかな。傷つけちゃったのかな……。
これから兄妹になるんだし、こんなんじゃダメだ!)
結は引きつった作り笑いをしながらケイの顔を覗くと、ケイが少し顔を上げる。
「ケイさん、仲直りしましょう! はい! 握手」と手を出すと、ケイも手を出し握手をする。が、ケイは体勢を変える様子がなく、じっと結を見つめている。
「えっと、どうすれば許してくれますか?」
ケイは上目遣いで「……ギュってして」と小さな声で言う。
(へぇ……ほぉ……)
結はケイの言動に固まってしまう。
結母は結の背中をポンと叩き、無言のプレッシャーをかける。
(あ~もう!)
「これで仲直り完了ね」
結はそっとケイをハグするとケイは頷き笑顔で立ち上がる。
「よかった。仲直り出来て。ちなみになんで喧嘩をしちゃったの?」
と結母は不思議そうに首を傾げ尋ねる。
(ええ、それを今聞くの!!!!!!!)
「結が僕のことを嫌いって……」
ケイは涙をポロポロ流し出す。
(あ、そっちを理由にするのね……へぇ。
仕方がない。面倒だし、今回は話を合わせますか!)
「え、えー! そ、そういう意味ではないんだけどなー。日本語って難しいなあ」
結はくねくね体を動かし、目をキョロキョロさせて誤魔化そうとする。
「結ちゃん」
結母の声が更に低くなっていく。
「えっとね、難しいな? 嫌いっていうのはパーソナルスペースの取り方がって意味であって……ケイさんを嫌いとはいっていないですよ?」
結は結母とケイを交互にチラチラと見て、理解を求める。
「じゃあ、僕のことは好きってこと? 僕は結が大好きだよ」
ケイは目をまんまるくしてキラキラした眼差しを向ける。




