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「うふふ。なあに? ジェリー」
結は名前を呼ばれるだけでも頬を染めて目をキラキラさせてじっと見つめてくる。結のそんな表情をみていたら……やっぱり言えないや。家族だからとか結だからとかそういうのではなく、ある程度の秘密はあってもいいと思うから。今回はやめておこう。
「ジェリー?」
結が優しく呼ぶので挨拶という意味で軽いハグをしてみると、ゴンっという鈍い音が聞こえたと思ったら目の前がグルグルと回ってみえるような? あれ? 僕は夢をみている?
今が夢ではなく現実だと気が付いた結は、痛みがあるか確認しようと頭突きをしたのだが痛みを感じたのは結ではなく、ケイという結果に。結のパンチもそうだが結の攻撃は本人が思っている以上に強いため、ケイは視界が悪くなり意識も少し飛んでしまっているのだ。
「ああ、ごめんなさい。手加減をしたつもりだったけど、痛かった?」
「痛いというか、ぐるぐるする」
「私としては優しく頭突いてみたつもりだったんだけど、本当にごめんなさい」
「あれ? 起きてたんだ? おはよう、結」
「え? あ、えっと今起きた感じかな? おはようございます。ってそうじゃない! おかあさーん!」
結はまだまだお子様なので何かあるとすぐに母を呼ぶのでした。
* * *
「おはようございます、みなさま」と結は身なりを整え、家族たちが揃うテーブルに着く。
「おはよう、結」とルカは結にハグをしてから頬にキスをする。(挨拶)
「おはよう、ルカくん」
「Good morning, 結♡」とエマも結にハグをしてから頬にキスをする。(挨拶)
「おはようございます、エマさん」
「おはよう、僕のキュートな天使!」
ルカとエマの流れに乗ろうとピーターは椅子から立ち上がるが鈴がとエマが止めに入る。
「二人ともどうしたんだい? これじゃあ結ちゃんにハグもキスも出来なじゃあないか」
「パパったら、それはセクハラよ(結が家族だとしてもやっぱりヤキモチは妬いちゃうから挨拶だったとしてもハグもキスも嫌よ。まあ、ハグならいいけど」
「うふふ(挨拶とはいえ、私というものがありながら他の女性にハグもキスも嫌かしら、うふふ)」
エマも鈴も爽やかな笑顔をみせながらもピーターの両腕をしっかりと掴み、一歩も前に進めないようにしている。
老若男女誰からも好かれちゃうピーターは状況をすぐに察し、エマと鈴の肩を抱き、二人の耳元で「愛しているよ」と甘い声で囁く。
推しというか、好きな人にそんなことを言われたらもう幸せでしょう。エマと鈴は嬉しくなり抱き合い強くハグをする。ピーターは二人を微笑ましく見ながら、結の元へ行き軽くハグをしてからおでこにキスをする。エマも鈴はそのことに気が付かないでいる。
「おはよう、結ちゃん」
「おはようございます、おとうさん」
「ああ、おとうさん! なんていい響きだ。もっと呼んでくれていいからね」
ピーターは結をハグしながら頭をなでまくる。それに気が付いたエマはピーターをバックハグしながら後ろに下がっていく。ピーターは笑顔で手を振りながら。
「おはよう、結。スキンシップが好きな家族なんだけど、エマはヤキモチ妬きさんだから父が誰かに取られるのを嫌がるんだよね」
「そうなんだ。なんだか可愛いね。それよりケイさん、具合は大丈夫?」
ケイはニコッと笑いながらガッツポーズをしてみせる。
「正直まだちょっと痛いけど問題ないよ。それよりご飯にしよ」
「うん」
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