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「お姫様、やっとお目覚めですね」
バサァ!
結がかけている布団を思いっきり捲りあげるケイ。
「えええ? 何するんですか!!!」
布団を取られた結は仰向けの体勢からくるりと回転し、うつ伏せになり頭の上に枕をのせ正座をする。
要するに頭隠して尻隠さずの状態となる。
「あはは、結は本当に可愛いね」
ケイは結のお間抜けの行動が可愛すぎて、パジャマがはだけた腰にキスをしてしまう。
「もお、やめてよ~。セクハラ~」
結は枕をギュっと抱きかかえ、背中をピッタリと壁に着け、ケイからのセクハラ攻撃を受けないように体育座りをする。
「だって、結が可愛いから……ついね」
ケイはごめんね、許してね。という感じにペロっと舌を出し、ウインクをする。
ご紹介が遅れました、このキス魔ことセクハラ王子はこの物語のヒーロー(※女性主人公の相手役という意味の)、ケイ・テイラー。
ハワイの出身。フレンドリーが良いところで、フレンドリーが悪いところでもある人物。
人にはパーソナルスペースというものがあるわけだが、彼の中にはその概念がないというか『距離感=仲良し』という考え方の持ち主である。
そして『可愛いは正義』という考えがあるので可愛いものは全て肯定し、可愛すぎるものは愛でてしまい、過剰な愛情表現をしてしまうことがある。
まさに、昨日からの結への行動にそれが如実にでてしまっているのである。
「どんな理由であろうと、セクハラです。キスとか嫌です。フレンドリー嫌いです」
結は目を真っ赤にして半泣き状態となり一粒の涙を流す。
「ごめんね」
ケイは優しく結の頭を撫で頬にキスをしようとするが、結のストレートパンチがケイの顔面に直撃をし、ケイは床に投げ飛ばされノックアウトされる。
女子高生のたかがストレートパンチがと思うかもしれない!
が、結は趣味でボクシングをやっていたりする訳で……
そこら辺の女子高生よりは攻撃力が高かったりするのだ。
ケイは一瞬、あちらの世界に行き……フワっと意識を取り戻す。
「ひいばあとひいじいが、笑顔で手を振っていたよ~! じゃなくて! そんな拒絶しなくても」
ケイは信じられないと言わんばかりに驚き、目を大きくし、結をじっと見つめる。




