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◇結
(聞こえてくるのは波の音とたくさんの人の声。
感じる香りは……磯の香りとフルーツの匂い。
目の前にみえる景色は青い空と青い海……グルーっと一回転しても360度の海。
そう……ここは。
私たちが住んでいるところから目と鼻の先にある近所の海上。
今は船の上でクルージングを楽しんでいるところ!
お嬢様でケイのストーカー状態の星が、ケイと明日もデートしたい! ということで昨日は遊園地、今日はクルージングを楽しんでいる。)
クルーザーは萌黄家の所有物で二階建て。二階部分がオープンデッキになっており、今そこでフルーツパーティーが行われている。テーブルの上には何種類ものカットされたフルーツとフルーツポンチやフルーツパフェやフルーツが入った飲み物などが置かれている。まさにフルーツ三昧!
メンバーは昨日の遊園地に行ったルカ以外のメンバーと、日和と陽。
雰囲気を出したいということから、まだ春だというのに水着着用のドレスコード指定がされている。さすがに水着だけでは寒いので上にパーカーの着用にOKが出ているが。そして当然、寒いので水着にストーブというなんとも不思議な空間が出来ている。
ちなみにみんなの服装はというと、結は白いビキニにデニムのショートパンツと白いパーカーを羽織っており、日和はデコルテとおへそを出したセクシーな黒のオフショルダーの水着を着て、星は黄色と白の大きな胸を強調するクロスホルタービキニを着用している。男子チームはみんな揃って柄や色違いのサーフパンツにパーカーを羽織っている。男子は細かく説明しても面白みがないので説明省きますっ!
「結、あーんして」とケイはスプーンにパインをのせて、結の口元に運ぶ。
「……」
結はそっぽを向き聞こえないフリをする。
結の隣はケイが陣取り、ケイの隣は星が陣取っている。
「は~い! パクン! ご馳走様でした」
星はケイの手を優しく包み込みながら、パインを自分の口へと運ぶ。
「星、美味しかった?」とケイは星に優しく微笑む。
「あ~だいしゅきれす~」と星はケイの腕に抱きつきスリスリする。
「可愛らしいね! 星は隣の家のアズキみたいだな」とケイは星の頭を撫でる。
「ごろにゃ~ん」と星はケイに抱き着き胸にぐりぐりと頭を押し付ける。
アズキは小型犬で女の子みたい名前ですが……実際はオスのドーベルマン。とても人懐っこくいつも塀から顔を出して尻尾を振っている。見た目はすごいごついけど可愛いワンちゃんです。
(うん……。確かに似ているかもしれない……あの懐き方は。)
結は星をまじまじと見ている。
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