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ケイはエマとルカの見送りを終えると結の部屋に戻り、再度ドアを叩く。
「そうだ! 結を起こさなきゃ!」
コンッココン。ココンッコン。
ケイは結の部屋のドアをリズミカルに叩く。
結は気を失っていたがフッと目が覚め、布団から顔だけだしキョロキョロと部屋中を見渡す。
(あれ? なんかさっきルカくんが隣に寝ていたような?
まさかね。お母さんに毎日のようにみせられて夢にまで出るようになったのかな?)
ココンッココン。
「ねえ、結ってば~」
(あれ? さっきもドアをノックする音が聞こえたような?
気のせいか! よし! 心の準備も出来ていないし……
寝ているをフリをしちゃおう。)
ガチャ。
結の部屋のドアが開けられ、ケイがそっと静かに部屋に入っていく。
結は部屋が開く音がした瞬間に何かを察したのか布団の中に潜り込む。
「ゆ~い。ゆ~いちゃん!」
静かに入ったのがなんだったのか……ベッドの前で部屋中響き渡る大きな声で結を起こす、ケイ。
(うそでしょ? なんで勝手に部屋に入ってくるの???
布団を被って寝ているし、その様子を見たら帰るよね?)
「結、起きて。ご~は~ん。……しょうがないな~王子様のキスがないと目覚めないのかな~」
ケイの声が元気いっぱいから、フワフワ~とゆったりした口調になり、悪戯っ子のような陽気な声色に変化する。
(ちょ、ちょっとやめてよ。何もしないでよ~。)
結は不覚にもおでこより上の部分を出したまま、布団に潜り込んでいたのだ。布団から出ている結の前髪をかき分け、おでこにキスをするケイ。
(今のはフリじゃないのに~!!!)
結は驚き、頭まで布団を被る。




